=encoding utf8 =head1 NAME DBIx::Custom::Guide::Ja - DBIx::Customの日本語ガイド =head1 ガイド Lはデータベースへのクエリの発行を簡単に行うための クラスです。LやLと同じように Lのラッパクラスになっています。Lよりも簡単に、 Lよりもはるかに柔軟なことを行うことができます。 LはO/Rマッパーではありません。O/Rマッパーは 便利ですが、O/Rマッパのたくさんの文法を覚える必要があります。 また、O/Rマッパによって生成されたSQLは非効率なことがありますし、 複雑なSQLを生成することができないので、 生のSQLを発行しなければならない場合がたくさんあります。 LはO/Rマッパとは対照的な設計が行われています。 Lの主な目的は、SQLを尊重しつつ、Lだけでは とてもめんどうな作業を簡単にすることです。もしSQLについて 多くの知識を持っているならば、Lでそのまま 活用することができます。 Lの仕組みを簡単に説明しておきましょう。 Lでは、タグと呼ばれるものを SQLの中に埋め込むことができます。 select * from book where {= title} and {=author}; {}で囲まれた部分がタグです。このSQLは実際に実行されるときには 次のようにプレースホルダに展開されます。 select * from book where title = ? and author = ?; これらの展開にはどのような意味があるのでしょうかと質問 されることかと思います。この簡単な仕組みの上に非常にたくさんの 有用で便利で使いやすい機能が構築されます。それは以下のようなものです。 =over 4 =item 1. プレースホルダのパラメータをハッシュリファレンスで指定 Lをそのまま使うのであればプレースホルダのパラメータは配列 で指定する必要があります。 $sth->execute(@bind); Lを利用するのであればハッシュリファレンスで指定すること できます。 my $param = {title => 'Perl', author => 'Ken'}; $dbi->execute($sql, $param); =item 2. パラメータのフィルタリング たとえば、日付の列は、Perlで扱うときにはCなどの日付オブジェクト で扱い、データベースに格納するときはデータベースの日付型に変換したい と思うのではないでしょうか。またデータベースから取り出すときは データベースの日付型から日付オブジェクトに変換したと思うのでは ないでしょうか。 このようなときはフィルタ機能を使うことができます。 まずフィルタを登録します。 $dbi->register_filter( tp_to_date => sub { ... }, date_to_tp => sub { ... } ); 次にテーブルの各列にこのフィルタを適用します。 $dbi->apply_filter('book', 'issue_date' => {out => 'tp_to_date', in => 'date_to_tp'} ); outはPerlからデータベースに保存する方向、inはデータベースからPerlに取得する方向です。 SQLを発行するときにテーブルの指定を行えば、自動的にこのフィルタが適用されます。 $dbi->execute($sql, $param, table => 'book'); =item 3. 選択的な検索条件 生のDBIを利用しているとき一番たいへんなのは選択的な検索条件を作成したいときです。 たとえば、検索条件にtitleとauthorが指定された場合は次のSQLを select * from book where title = ? and author = ?; titleだけの場合は次のSQLを select * from book where title = ?; authorだけの場合は次のSQLを発行した場合を考えましょう。 select * from book where author = ?; これはとても大変な作業なので、通常はLを動的に生成してくれる モジュールを利用することになります。 Lはさらに簡単で便利な方法を用意しています。 my $where = $dbi->where; $where->param({title => 'Perl'}); $where->clause( ['and', '{= title}', {'= author'}] ); my $sql = "select * from book $where"; 詳しい説明は後ほど行いますが、上記のように記述すれば、 Lでは選択的な検索条件を持つWhere句を生成することができます。 検索条件が入れ子になった構造やorについても対応しています。 =item 4. 挿入、更新、削除、選択を行うためのメソッド LではSQLをさらに簡単に実行するための メソッドも提供しています。 C, C, C,Cなどの シュガーメソッドを使って、挿入、更新、削除、選択という操作を行うことが できます。 my $param = {title => 'Perl', author => 'Ken'}; $dbi->insert(table => 'book', param => $param); =item 5. テーブル単位の操作の登録 テーブルに対して操作を登録することができます。これによって テーブル名を繰り返し指定する必要がなくなり、ソースコードの 見通しが良くなります。 $dbi->talbe('book', list => sub { ... }, list_somethin => sub { } ); 登録したメソッドはそのまま利用することができます。 $dbi->table('book')->list; 通常O/Rマッパはテーブルに対応するクラスを作成しなければ ならないことが多いですが、Lではこの作業を簡便に しており、上記のように登録することができます。 =back LはLを補うとても便利なモジュールです。 興味をもたれた方は、この後で詳しい解説を行いますので、 ご覧になってみてください。 =head2 1. データベースへの接続 まずLを読み込みます。 use DBIx::Custom; Lオブジェクトを生成し、データベースに接続するには Cメソッドを使用します。 my $dbi = DBIx::Custom->connect( data_source => "dbi:mysql:database=dbname", user => 'ken', password => '!LFKD%$&', dbi_options => {mysql_enable_utf8 => 1} ); Cはデータベースシステムに応じたフォーマットで 指定する必要があります。以下にデータベースごとのフォーマット 方法のサンプルを掲載しておきます。 B "dbi:mysql:database=$database" "dbi:mysql:database=$database;host=$hostname;port=$port" B "dbi:SQLite:dbname=$database" "dbi:SQLite:dbname=:memory:" B "dbi:Pg:dbname=$dbname" B "dbi:Oracle:$dbname" "dbi:Oracle:host=$host;sid=$sid" B "dbi:ODBC:driver=Microsoft Access Driver (*.mdb);dbq=hoge.mdb" B "dbi:ODBC:driver={SQL Server};Server=(local);database=test;Trusted_Connection=yes;AutoTranslate=No;" また認証が求められる場合は、CとCユーザ名と パスワードを指定する必要があります。 LはLのラッパです。 LのデータベースハンドルはCで取得することができます。 my $dbh = $dbi->dbh; Lではデータベースハンドル属性にはデフォルトで次のものが設定されます。 $dbi->dbh->{RaiseError} = 1; $dbi->dbh->{PrintError} = 0; $dbi->dbh->{AutoCommit} = 1; この設定を行っているので、致命的なエラーが起こると、 例外が発生しプログラムは終了します。 またクエリが発行されると自動的にコミットされます。 =head2 2. 挿入、更新、削除、選択のためのメソッド Lは、 C、C、C、C のような挿入、更新、削除、選択を行うためのメソッドを持っています。 簡単なことをを行うのであれば、SQLを自分で記述する必要がありません。 =head3 データの挿入 C データベースにデータを挿入するにはCを使用します。 $dbi->insert(table => 'book', param => {title => 'Perl', author => 'Ken'}); Cにはテーブル名、Cには挿入したいデータを指定します。 次のSQLが発行されます。 insert into (title, author) values (?, ?); =head3 データの更新 C データベースのデータを更新するには、Cを使用します。 $dbi->update(table => 'book', param => {title => 'Perl', author => 'Ken'}, where => {id => 5}); C
にはテーブル名、Cには挿入したいデータ、Cには 条件を指定します。 次のSQLが発行されます。 update book set title = ?, author = ?; Cメソッドは安全のため where句のないSQLを発行することを許可していません。 もしすべての行を更新したい場合は Cを使用してください。 $dbi->update_all(table => 'book', param => {title => 'Perl', author => 'Ken'}); =head3 データの削除 C データベースのデータを1件削除するには、Cを使用します。 $dbi->delete(table => 'book', where => {author => 'Ken'}); C
にはテーブル名、Cには条件を指定します。 次のSQLが発行されます。 delete from book where id = ?; Cメソッドは安全のため where句のないSQLを発行することを許可していません。 もしすべての行を削除したい場合は Cを使用してください。 $dbi->delete_all(table => 'book'); =head3 データの選択 C 行を選択するにはCを使用します。 my $result = $dbi->select(table => 'book'); C
だけを指定して、他の条件を指定しない場合は次のSQLが発行されます。 select * from book; Cメソッドの戻り値はL オブジェクトです。行をフェッチするにはCを使用します。 while (my $row = $result->fetch) { my $title = $row->[0]; my $author = $row->[1]; } Lについてはこの後L<3. 行のフェッチ/"3. 行のフェッチ">で詳しく扱います。 さまざまなCの使い方を見ていきましょう。 次のCだけでなくC、C、C C、C、Cで使用することもできます。 =head3 SQLの実行 C 任意のSQLを実行するにはexecuteメソッドを使用します。 $dbi->execute("select * from book;"); CはLの根幹のメソッドでありタグを展開します。 $dbi->execute( "select * from book {= title} and {= author};" param => {title => 'Perl', author => 'Ken'} ); 上記のタグを含んだSQLは次のように展開されます。 select * from book title = ? and author = ?; SQLが実行されるときにプレースホルダ(?)に対応する位置にtitleとauthor の値がが自動的に埋め込まれます。 タグについてはL<5. タグ/"5. タグ">で詳しく解説しますが、 ひとつの注意点があります。 タグを展開するためにC<{>とC<}>は予約語になっています。 もし利用したい場合は直前に\をおいてエスケープを行う必要があります。 $dbi->execute("... \\{ ... \\} ..."); \自体がPerlのエスケープ文字ですので、二つ必要になるという点に注意してください。 またexecuteのキュートな機能として、SQLの最後にセミコロンをおかなくても かまいません。 $dbi->execute('select * from book'); =head2 3. 行のフェッチ Cメソッドの戻り値はLオブジェクトです。 Lには行をフェッチするためのさまざまなメソッドが 用意されています。 =head3 1行づつフェッチ(配列) C 一行フェッチして配列のリファレンスに格納するにはCを使用します。 while (my $row = $result->fetch) { my $title = $row->[0]; my $author = $row->[1]; } whileループを使って、すべての行を取得することができます。 =head3 最初の行だけフェッチ(配列) C 一行だけフェッチして配列のリファレンスに格納するにはC を使用します。 my $row = $result->fetch_first; 一行のフェッチが終わった後はそれ以上フェッチできなくなります。 内部的には1行のフェッチが終わった後に ステートメントハンドルのCが実行されます。 =head3 複数行を順にフェッチ(配列) C 複数行をフェッチして配列のリファレンスを要素に持つ 配列のリファレンスに格納するにはCを使用します。 while (my $rows = $result->fetch_multi(2)) { my $title0 = $rows->[0][0]; my $author0 = $rows->[0][1]; my $title1 = $rows->[1][0]; my $author1 = $rows->[1][1]; } 引数には取り出したい行数を指定します。 指定した行を格納した次のようなデータを取得できます。 [ ['Perl', 'Ken'], ['Ruby', 'Mark'] ] =head3 すべての行をフェッチ(配列) C すべての行をフェッチして配列のリファレンスを要素に持つ 配列のリファレンスに格納するにはCを使用します。 my $rows = $result->fetch_all; すべての行を格納した次のようなデータを取得できます。 [ ['Perl', 'Ken'], ['Ruby', 'Mark'] ] =head3 1行づつフェッチ(ハッシュ) C 一行フェッチしてハッシュのリファレンスに格納するにはCを使用します。 while (my $row = $result->fetch_hash) { my $title = $row->{title}; my $author = $row->{author}; } =head3 最初の行だけフェッチ(ハッシュ) C 一行だけフェッチしてハッシュのリファレンスに格納するには Cを使用します。 my $row = $result->fetch_hash_first; 一行のフェッチが終わった後はそれ以上フェッチできなくなります。 内部的には1行のフェッチが終わった後に ステートメントハンドルのCが実行されます。 =head3 複数行を順にフェッチ(ハッシュ) C 複数行をフェッチしてハッシュのリファレンスを要素に持つ 配列のリファレンスに格納するにはC を使用します。 while (my $rows = $result->fetch_hash_multi(5)) { my $title0 = $rows->[0]{title}; my $author0 = $rows->[0]{author}; my $title1 = $rows->[1]{title}; my $author1 = $rows->[1]{author}; } 引数には取り出したい行数を指定します。 指定した行を格納した次のようなデータを取得できます。 [ {title => 'Perl', author => 'Ken'}, {title => 'Ruby', author => 'Mark'} ] =head3 すべての行をフェッチ(ハッシュ) C すべての行をフェッチしてハッシュのリファレンスを要素に持つ 配列のリファレンスに格納するにはC を使用します。 my $rows = $result->fetch_hash_all; すべての行を格納した次のようなデータを取得できます。 [ {title => 'Perl', author => 'Ken'}, {title => 'Ruby', author => 'Mark'} ] =head3 ステートメントハンドル C ステートメントハンドルに直接アクセスしたい場合は で取得することができます。 my $sth = $result->sth; フェッチのパフォーマンスが用件を満たさないときには、 ステートメントハンドルから 利用できる速度の速いメソッドを利用することができます。 =head2 4. フィルタリング データベースにデータを登録するときやデータベースからデータを取得する ときに自動的に値の変換を行いたい場合が多いと思います。 たとえば、日付を表現する列の場合は、 データベースに登録する場合はLオブジェクトから データベースの日付のフォーマットに、 データベースからデータを取得するときは、その逆を行えると便利です。 =head3 フィルタの登録 C フィルタを登録するにはCを使用します。 $dbi->register_filter( # Time::Piece object to DATE format tp_to_date => sub { my $date = shift; return '0000-00-00' unless $tp; return $tp->strftime('%Y-%m-%d'); }, # DATE to Time::Piece object date_to_tp => sub { my $date = shift; return if $date eq '0000-00-00'; return Time::Piece->strptime($date, '%Y-%m-%d'); }, ); 登録したフィルタはCなどで利用することができます。 =head3 フィルタの適用 C 作成したフィルタを適用するには、Cを使用します。 $dbi->apply_filter('book', issue_date => {out => 'tp_to_date', in => 'date_to_tp'}, first_issue_date => {out => 'tp_to_date', in => 'date_to_tp'} ); 第一引数はテーブル名です。第二引数以降は、列名とフィルタルールのペアを記述します。 フィルタルールのoutには、データベースにデータを送信するときに適用するフィルタを、 フィルタルールのinには、データベースからデータを取得するときに適用するフィルタを 記述します。outがデータベースに送信する方向、inがデータベースから取り出す方向です。 フィルタには、Cで登録したフィルタ名の他に、コードリファレンスを 指定することもできます。 issue_date => {out => sub { ... }, in => sub { ... }} 適用されたフィルタはC、C、C、C、 C、Cで有効になります。 my $tp = Time::Piece->strptime('2010/10/14', '%Y/%m/%d'); my $result = $dbi->select(table => 'book', where => {issu_date => $tp}); データベースにデータが送信されるときに、Lオブジェクトは データベースの日付のフォーマット「2010-10-14」に変換されます。 また逆にデータをフェッチするときには、データベースの日付のフォーマットは タイムピースオブジェクトに変換されます。 my $row = $resutl->fetch_hash_first; my $tp = $row->{issue_date}; このような自動的に実行されるフィルタを登録できることがLの 特徴のひとつです。 =head3 個別のフィルタの適用 C Cを使って最初にすべてのテーブルの列について フィルタを定義することもできますが、 個別にフィルタを適用することもできます。 個別のフィルタはCで適用したフィルタを上書きます。 個別のフィルタはSQLのasを使って、列の別名を作成する必要がある場合に活躍します。 データベースに送信する場合に、個別のフィルタを適用するには、各メソッドの Cオプションを使用します。個別のフィルタは、C、C、 C、C、C、C、C で使用することができます。 Cの例を示します。 $dbi->insert( table => 'book', param => {issue_date => $tp, first_issue_date => $tp}, filter => {issue_date => 'tp_to_date', first_issue_date => 'tp_to_date'} ); Cの例を示します。 my $sql = <<"EOS"; select YEAR(issue_date) as issue_year from book where YEAR(issue_date) = {? issue_year} EOS my $result = $dbi->execute( $sql, param => {issue_year => '2010'}, filter => {issue_year => 'tp_to_year'} ); これはCを使う良くある例です。issue_dateの変換についてはC で登録してあるのですが、新しく作成した列であるissue_yearについては、 何の変換も登録されていません。ですので、個別にフィルタを設定しています。 また反対に行をフェッチするときにも個別のフィルタを適用することができます。 フィルタを適用するには、 CクラスのCメソッドを使用します。 $result->filter(issue_year => 'year_to_tp'); 頻繁に利用するのであれば、個別に登録するよりもCで登録 しておいたほうが便利でしょう。Cは存在しない列に対しても フィルタを適用できるからです。 $dbi->apply_filter('book', 'issue_year' => {out => 'tp_to_year', in => 'year_to_tp'} ); =head3 最終出力のためのフィルタリング C Cではさらに最後にもう一度、フィルタを追加で 登録することができます。たとえばHTMLに出力したい場合に、Time::Piece オブジェクトから読みやすい記述に変換することができます。 最後のフィルタを登録するには、Cを使用します。 $result->end_filter(issue_date => sub { my $tp = shift; return '' unless $tp; return $tp->strftime('%Y/%m/%d %h:%m:%s (%a)'); }); 日付を見やすい形にフォーマットすることができます。 フィルタはフェッチを行う前に登録しておく必要があることに 注意してください。 $result->filter(...); $result->end_filter(...); my $row = $result->fetch_hash_first; =head3 列の情報を元にフィルタを適用する C 日付型の列は手動で設定しなくても、自動的に設定できると便利です。 このためにデータベースのテーブルの列のすべての情報を 順番に処理するためのCがあります。 $dbi->each_column( sub { my ($self, $table, $column, $info) = @_; my $type = $info->{TYPE_NAME}; my $filter = $type eq 'DATE' ? {out => 'tp_to_date', in => 'date_to_tp'} : $type eq 'DATETIME' ? {out => 'tp_to_datetime', in => 'datetime_to_tp'} : undef; $self->apply_filter($table, $column, $filter) if $filter; } ); each_columnはコールバックを受け取ります。コールバックの引数は 順番にLオブジェクト、テーブル名、列名、列の情報です。 列の型名の情報をもとに自動的に、フィルタを適用しています。 ひとつの注意点としてコールバックの中から、コールバックの外側 の変数を参照しないように注意してください。each_columnは 高々1回だけ実行されるだけなので、ほとんどの場合問題ありませんが、 循環参照によるメモリリークが発生してしまう可能性を持っているからです。 =head2 5. タグ =head3 タグの機能 LはSQLの中にタグを埋め込む機能を持っています。 select * from book where {= title} and {like author}; {= title}と{like author}の部分がタグです。タグは次のような形式 を持ちます。 {タグ名 引数1 引数2 ...} タグはC<{>で始まり、C<}>で終わります。最初のC<{>とタグ名の間 には空白を挿入しないよう注意してください。 タグの機能のためにC<{>とC<}>は予約語になっています。 もし利用したい場合は直前に\をおいてエスケープを行う必要があります。 select from book \\{ ... \\} C<\>自体がPerlのエスケープ文字ですので、 エスケープする場合はC<\>が二つ必要になるという点に注意してください。 上記のタグはSQLが実行される前に次のSQLに展開されます。 select * from book where title = ? and author like ?; タグを含むSQLを実行するにはCを使用します。 my $sql = "select * from book where {= author} and {like title};" $dbi->execute($sql, param => {title => 'Perl', author => '%Ken%'}); Cオプションを使って、プレースホルダに埋め込みたい値を ハッシュリファレンスで指定することができます。 他のメソッドと同様にCにおいてもCを指定することができます。 $dbi->execute($sql, param => {title => 'Perl', author => '%Ken%'} filter => {title => 'to_something'); Cのひとつの注意点としてはCで適用されたフィルタ はデフォルトでは有効ではないということに注意してください。 Cで適用されたフィルタを有効にするには、 C
を指定する必要があります。 $dbi->execute($sql, param => {title => 'Perl', author => '%Ken%'} table => ['book']); =head2 タグ一覧 Lでは次のタグが使用可能です。 このようにタグを使ってSQL文を表現するのがLの 特徴です。以下のタグが利用可能です。 =head3 C Cタグは以下のように展開されます。 {? NAME} -> ? =head3 C<=> C<=>タグは以下のように展開されます。 {= NAME} -> NAME = ? =head3 CE> CE>タグは以下のように展開されます。 {<> NAME} -> NAME <> ? =head3 C> C>タグは以下のように展開されます。 {< NAME} -> NAME < ? =head3 C> C>タグは以下のように展開されます。 {> NAME} -> NAME > ? =head3 C=> C=>タグは以下のように展開されます。 {>= NAME} -> NAME >= ? =head3 C=> C=>タグは以下のように展開されます。 {<= NAME} -> NAME <= ? =head3 C Cタグは以下のように展開されます。 {like NAME} -> NAME like ? =head3 C Cタグは以下のように展開されます。プレースホルダの 数を引数で指定する必要があることに注意してください。 {in NAME COUNT} -> NAME in [?, ?, ..] =head3 C Cタグは以下のように展開されます。 {insert_param NAME1 NAME2} -> (NAME1, NAME2) values (?, ?) =head3 C Cタグは以下のように展開されます。 {update_param NAME1 NAME2} -> set NAME1 = ?, NAME2 = ? =head2 同名の列の扱い 同名の列を含むタグがある場合にも、SQLを実行することができます。 たとえば、二つの日付で比較しなければならない場合を 考えて見ましょう。 my $sql = "select * from table where {> date} and {< date};"; このような場合は対応するパラメータの値を配列のリファレンスにします。 my $dbi->execute($sql, param => {date => ['2010-10-01', '2012-02-10']}); =head2 タグの追加 C Lではタグを独自に追加することができます。 タグを追加するにはCを使用します。 $dbi->register_tag( '=' => sub { my $column = shift; return ["$column = ?", [$column]]; } ); ここではデフォルトのC<=>タグがどのように実装されているかを示しています。 タグを登録する関数の引数はタグの中に書かれた引数になります。 {タグ名 引数1 引数2} C<=>タグの場合は {= title} という形式ですから、サブルーチンにはtitleというひとつの列名がわたってきます。 サブルーチンの戻り値には次の形式の配列のリファレンスを返す必要があります。 [ 展開後の文字列, [プレースホルダに埋め込みに利用する列名1, 列名2, ...] ] 一つ目の要素は展開後の文字列です。この例では 'title = ?' を返す必要があります。 二つ目の要素はプレースホルダに埋め込みに利用する列名を含む配列の リファレンスです。今回の例では ['title'] を返す必要があります。複数のプレースホルダを含む場合は、この部分が 複数になります。CタグやCタグは この部分が実際複数になっています。 上記を合わせると ['title = ?', ['title']] を返す必要があるということです。 タグの実装の他のサンプルはLのソースコード をご覧になってみてください。 =head2 6. Where句の動的な生成 =head3 Where句の動的な生成 where() 複数の検索条件を指定して、検索を行いたい場合があります。 次の3つのケースのwhere句を考えてみましょう。 下記のようなwhere句が必要になります。 titleの値だけで検索したい場合 where {= title} authorの値だけで検索したい場合 where {= author} titleとauthorの両方の値で検索したい場合 where {= title} and {=author} Lでは動的なWhere句の生成をサポートしています。 まずCでLオブジェクトを生成します。 my $where = $dbi->where; 次にCを使用してwhere句を記述します。 $where->clause( ['and', '{= title'}, '{= author}'] ); clauseの指定方法は次のようになります。 ['or' あるいは 'and', タグ1, タグ2, タグ3] 第一引数にはorあるいはandを指定します。第二引数以降には 検索条件をタグを使って記述します。 Cの指定は入れ子にすることもでき、さらに複雑な条件 を記述することもできます。 ['and', '{= title}', ['or', '{= author}', '{like date}'] ] このようにCを設定した後にCにパラメータを指定します。 my $param => {title => 'Perl'}; $where->param($param); この例ではtitleだけがパラメータに含まれています。 この後Cを実行すると$paramに含まれるパラメータを満たす where句を生成することができます。 my $where_clause = $where->to_string; パラメータはtitleだけですので、次のようなwhere句が生成されます。 where {= title} またLは文字列の評価をオーバーロードして、C を呼び出すようにしていますので、次のようにしてwhere句を生成することも できます。 my $where_clause = "$where"; これはSQLの中にwhere句を埋め込むときにとても役立つ機能です。 =head3 同一の列名を含む場合 タグの中に同一の名前を持つものが存在した場合でも動的に where句を作成することができます。 たとえば、パラメータとして開始日付と終了日付を受け取ったことを 考えてみてください。 my $param = {start_date => '2010-11-15', end_date => '2011-11-21'}; また開始日付と終了日付の片方だけや、どちらも受け取らない場合もあるかもしれません。 この場合は次のようなパラメータに変換することで対応することができます。 my $p = {date => ['2010-11-15', '2011-11-21']}; 値が配列のリファレンスになっていることに注目してください。このようにすれば 同名の列を含むタグに順番に埋め込むことができます。 $where->clause( ['and', '{> date}', '{< date}'] ); $where->param($p); また開始日付が存在しない場合は次のようなデータを作成します。 my $p = {date => [$dbi->not_exists, '2011-11-21']}; LのCでDBIx::Custom::NotExistsオブジェクトを 取得できます。これは対応する値が存在しないことを示すためのものです。 また終了日付が存在しない場合は次のようなデータを作成します。 my $p = {date => ['2010-11-15']}; どちらも存在しない場合は次のようなデータを作成します。 my $p = {date => []}; 少し難しいので一番簡単に作成できるロジックを示しておきます。 my @date; push @date, exists $param->{start_date} ? $param->{start_date} : $dbi->not_exists; push @date, $param->{end_date} if exists $param->{end_date}; my $p = {date => \@date}; =head3 Cとの連携 Lオブジェクトは CのCに直接渡すことが できます。 my $where = $dbi->where; $where->clause(...); $where->param($param); my $result = $dbi->select(table => 'book', where => $where); あるいはC、Cのwhereに指定することも可能です。 =head3 Cとの連携 Cとの連携です。SQLを作成するときに埋め込むことができます。 my $where = $dbi->where; $where->clause(...); $where->param($param); my $sql = <<"EOS" select * from book; $where EOS $dbi->execute($sql, param => $param); =head2 7. パフォーマンスの改善 =head3 クエリの作成 もしCメソッドを使用してインサートを実行した場合、 必要なパフォーマンスを得られない場合があるかもしれません。 Cメソッドは、SQL文とステートメントハンドルを 毎回作成するためです。 そのような場合は、Cオプションを指定することで、 クエリを取得することができます。 my $query = $dbi->insert(table => 'book', param => $param, query => 1); またCメソッドを使って任意のSQLのクエリを作成 することもできます。 my $query = $dbi->create_query( "insert into book {insert_param title author};"; ); 戻り値はLオブジェクトです。 このオブジェクトはSQL文とパラメータバインド時の列名を 保持しています。またステートメントハンドルも保持しています。 { sql => 'insert into book (title, author) values (?, ?);', columns => ['title', 'author'], sth => $sth } クエリオブジェクトを使って繰り返し実行するにはCを使用します。 my $params = [ {title => 'Perl', author => 'Ken'}, {title => 'Good days', author => 'Mike'} ]; foreach my $param (@$paramss) { $dbi->execute($query, table => 'book', param => $input); } Cメソッドの第一引数にクエリオブジェトを渡すことができます。 Cメソッドよりも高速です。 注意点がいくつかあります。それはパラメータの数は必ず同じでなくてはならない ということです。最初に3つのパラメータだけを渡したのに、次の実行では 二つのパラメータを渡すと予期しない結果になります。それは 動的に生成されたSQLに含まれるプレースホルダの数が異なるからです。 またCによっては自動的にはフィルタが有効にならないので、 C
を指定する必要のあることに注意してください。 本当に必要な場合だけ利用してください。 =head2 8. その他の機能 =head3 結果クラスの変更 必要ならば結果クラスを変更することができます。 package MyResult; use base 'DBIx::Custom::Result'; sub some_method { ... } 1; package main; use MyResult; my $dbi = DBIx::Custom->connect(...); $dbi->result_class('MyResult'); =head3 メソッドの登録 メソッドを登録するにはCを使用します。 $dbi->method( update_or_insert => sub { my $self = shift; # something }, find_or_create => sub { my $self = shift; # something } ); で登録したメソッドは Lオブジェクトから直接呼び出すことができます。 $dbi->update_or_insert; $dbi->find_or_create; =head3 その他便利なメソッド Cメソッドを使用すると次のようなハッシュに含まれる テーブル名と列名を結合することができます。 my %expanded = $dbi->expand(\%source); 以下のハッシュ {book => {title => 'Perl', author => 'Ken'}} は次のように展開されます。 ('book.title' => 'Perl', 'book.author' => 'Ken') これはテーブル名を含むselect文で利用すると便利です。 my $param = {title => 'Perl', author => '%Ken%'}; $dbi->execute( 'select * from book where {= book.title} && {like book.author};', param => {$dbi->expand({book => $param})} ); =cut