1 contributor
<h2>イザヤ書</h2>
<div class="chapter" id="1">
<h3 class="chapter">第1章</h3>
<div class="para">
<em>1:1</em>アモツの子イザヤがユダの王ウジヤ、ヨタム、アハズ、ヒゼキヤの世にユダとエルサレムについて見た幻。
<div class="quote">
<em>1:2</em>天よ、聞け、地よ、耳を傾けよ、<br>主が次のように語られたから、<br>「わたしは子を養い育てた、<br>しかし彼らはわたしにそむいた。<br>
<em>1:3</em>牛はその飼主を知り、<br>ろばはその主人のまぐさおけを知る。<br>しかしイスラエルは知らず、<br>わが民は悟らない」。<br>
<em>1:4</em>ああ、罪深い国びと、不義を負う民、<br>悪をなす者のすえ、堕落せる子らよ。<br>彼らは主を捨て、<br>イスラエルの聖者をあなどり、<br>これをうとんじ遠ざかった。<br>
<em>1:5</em>あなたがたは、どうして重ね重ねそむいて、<br>なおも打たれようとするのか。<br>その頭はことごとく病み、<br>その心は全く弱りはてている。<br>
<em>1:6</em>足のうらから頭まで、<br>完全なところがなく、<br>傷と打ち傷と生傷ばかりだ。<br>これを絞り出すものなく、包むものなく、<br>油をもってやわらげるものもない。<br>
<em>1:7</em>あなたがたの国は荒れすたれ、<br>町々は火で焼かれ、<br>田畑のものはあなたがたの前で外国人に食われ、<br>滅ぼされたソドムのように荒れすたれた。<br>
<em>1:8</em>シオンの娘はぶどう畑の仮小屋のように、<br>きゅうり畑の番小屋のように、<br>包囲された町のように、ただひとり残った。<br>
<em>1:9</em>もし万軍の主が、<br>われわれに少しの生存者を残されなかったなら、<br>われわれはソドムのようになり、<br>またゴモラと同じようになったであろう。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>1:10</em>あなたがたソドムのつかさたちよ、<br>主の言葉を聞け。<br>あなたがたゴモラの民よ、<br>われわれの神の教に耳を傾けよ。<br>
<em>1:11</em>主は言われる、<br>「あなたがたがささげる多くの犠牲は、<br>わたしになんの益があるか。<br>わたしは雄羊の燔祭と、<br>肥えた獣の脂肪とに飽いている。<br>わたしは雄牛あるいは小羊、<br>あるいは雄やぎの血を喜ばない。<br>
<em>1:12</em>あなたがたは、わたしにまみえようとして来るが、<br>だれが、わたしの庭を踏み荒すことを求めたか。<br>
<em>1:13</em>あなたがたは、もはや、<br>むなしい供え物を携えてきてはならない。<br>薫香は、わたしの忌みきらうものだ。<br>新月、安息日、また会衆を呼び集めること――<br>わたしは不義と聖会とに耐えられない。<br>
<em>1:14</em>あなたがたの新月と定めの祭とは、<br>わが魂の憎むもの、<br>それはわたしの重荷となり、<br>わたしは、それを負うのに疲れた。<br>
<em>1:15</em>あなたがたが手を伸べるとき、<br>わたしは目をおおって、あなたがたを見ない。<br>たとい多くの祈をささげても、わたしは聞かない。<br>あなたがたの手は血まみれである。<br>
<em>1:16</em>あなたがたは身を洗って、清くなり、<br>わたしの目の前からあなたがたの悪い行いを除き、<br>悪を行うことをやめ、<br>
<em>1:17</em>善を行うことをならい、公平を求め、<br>しえたげる者を戒め、<br>みなしごを正しく守り、寡婦の訴えを弁護せよ。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>1:18</em>主は言われる、<br>さあ、われわれは互に論じよう。<br>たといあなたがたの罪は緋のようであっても、<br>雪のように白くなるのだ。<br>紅のように赤くても、羊の毛のようになるのだ。<br>
<em>1:19</em>もし、あなたがたが快く従うなら、<br>地の良き物を食べることができる。<br>
<em>1:20</em>しかし、あなたがたが拒みそむくならば、<br>つるぎで滅ぼされる」。<br>これは主がその口で語られたことである。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>1:21</em>かつては忠信であった町、<br>どうして遊女となったのか。<br>昔は公平で満ち、<br>正義がそのうちにやどっていたのに、<br>今は人を殺す者ばかりとなってしまった。<br>
<em>1:22</em>あなたの銀はかすとなり、<br>あなたのぶどう酒は水をまじえ、<br>
<em>1:23</em>あなたのつかさたちはそむいて、<br>盗びとの仲間となり、<br>みな、まいないを好み、贈り物を追い求め、<br>みなしごを正しく守らず、<br>寡婦の訴えは彼らに届かない。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>1:24</em>このゆえに、主、万軍の主、<br>イスラエルの全能者は言われる、<br>「ああ、わたしはわが敵にむかって憤りをもらし、<br>わがあだにむかって恨みをはらす。<br>
<em>1:25</em>わたしはまた、わが手をあなたに向け、<br>あなたのかすを灰汁で溶かすように溶かし去り、<br>あなたの混ざり物をすべて取り除く。<br>
<em>1:26</em>こうして、あなたのさばきびとをもとのとおりに、<br>あなたの議官を初めのとおりに回復する。<br>その後あなたは正義の都、<br>忠信の町ととなえられる」。<br>
<em>1:27</em>シオンは公平をもってあがなわれ、<br>そのうちの悔い改める者は、<br>正義をもってあがなわれる。<br>
<em>1:28</em>しかし、そむく者と罪びととは共に滅ぼされ、<br>主を捨てる者は滅びうせる。<br>
<em>1:29</em>あなたがたは、みずから喜んだかしの木によって、<br>はずかしめを受け、<br>みずから選んだ園によって、恥じ赤らむ。<br>
<em>1:30</em>あなたがたは葉の枯れるかしの木のように、<br>水のない園のようになり、<br>
<em>1:31</em>強い者も麻くずのように、<br>そのわざは火花のようになり、<br>その二つのものは共に燃えて、それを消す者はない。</div>
</div>
</div>
<div class="chapter" id="2">
<h3 class="chapter">第2章</h3>
<div class="para">
<em>2:1</em>アモツの子イザヤがユダとエルサレムについて示された言葉。
<div class="quote">
<em>2:2</em>終りの日に次のことが起る。<br>主の家の山は、<br>もろもろの山のかしらとして堅く立ち、<br>もろもろの峰よりも高くそびえ、<br>すべて国はこれに流れてき、<br>
<em>2:3</em>多くの民は来て言う、<br>「さあ、われわれは主の山に登り、<br>ヤコブの神の家へ行こう。<br>彼はその道をわれわれに教えられる、<br>われわれはその道に歩もう」と。<br>律法はシオンから出、<br>主の言葉はエルサレムから出るからである。<br>
<em>2:4</em>彼はもろもろの国のあいだにさばきを行い、<br>多くの民のために仲裁に立たれる。<br>こうして彼らはそのつるぎを打ちかえて、すきとし、<br>そのやりを打ちかえて、かまとし、<br>国は国にむかって、つるぎをあげず、<br>彼らはもはや戦いのことを学ばない。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>2:5</em>ヤコブの家よ、<br>さあ、われわれは主の光に歩もう。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>2:6</em>あなたはあなたの民ヤコブの家を捨てられた。<br>これは彼らが東の国からの占い師をもって満たし、<br>ペリシテびとのように占い者となり、<br>外国人と同盟を結んだからである。<br>
<em>2:7</em>彼らの国には金銀が満ち、その財宝は限りない。<br>また彼らの国には馬が満ち、その戦車も限りない。<br>
<em>2:8</em>また彼らの国には偶像が満ち、<br>彼らはその手のわざを拝み、<br>その指で作ったものを拝む。<br>
<em>2:9</em>こうして人はかがめられ、人々は低くされる。<br>どうか彼らをおゆるしにならぬように。<br>
<em>2:10</em>あなたは岩の間にはいり、ちりの中にかくれて、<br>主の恐るべきみ前と、その威光の輝きとを避けよ。<br>
<em>2:11</em>その日には目をあげて高ぶる者は低くせられ、<br>おごる人はかがめられ、<br>主のみ高くあげられる。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>2:12</em>これは、万軍の主の一日があって、<br>すべて誇る者と高ぶる者、<br>すべておのれを高くする者と得意な者とに<br>臨むからである。<br>
<em>2:13</em>またレバノンの高くそびえるすべての香柏、<br>バシャンのすべてのかしの木、<br>
<em>2:14</em>またすべての高い山々、<br>すべてのそびえ立つ峰々、<br>
<em>2:15</em>すべての高きやぐら、<br>すべての堅固な城壁、<br>
<em>2:16</em>タルシシのすべての船、<br>すべての麗しい船舶に臨む。<br>
<em>2:17</em>その日には高ぶる者はかがめられ、<br>おごる人は低くせられ、<br>主のみ高くあげられる。<br>
<em>2:18</em>こうして偶像はことごとく滅びうせる。<br>
<em>2:19</em>主が立って地を脅かされるとき、<br>人々は岩のほら穴にはいり、また地の穴にはいって、<br>主の恐るべきみ前と、その威光の輝きとを避ける。<br>
<em>2:20</em>その日、人々は拝むためにみずから造った<br>しろがねの偶像と、こがねの偶像とを、<br>もぐらもちと、こうもりに投げ与え、<br>
<em>2:21</em>岩のほら穴や、がけの裂け目にはいり、<br>主が立って地を脅かされるとき、<br>主の恐るべきみ前と、その威光の輝きとを避ける。<br>
<em>2:22</em>あなたがたは鼻から息の出入りする人に、<br>たよることをやめよ、<br>このような者はなんの価値があろうか。</div>
</div>
</div>
<div class="chapter" id="3">
<h3 class="chapter">第3章</h3>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>3:1</em>見よ、主、万軍の主は<br>エルサレムとユダから<br>ささえとなり、頼みとなるもの――<br>すべてささえとなるパン、<br>すべてささえとなる水――を取り去られる。<br>
<em>3:2</em>すなわち勇士と軍人、<br>裁判官と預言者、<br>占い師と長老、<br>
<em>3:3</em>五十人の長と身分の高い人、<br>議官と巧みな魔術師、<br>老練なまじない師を取り去られる。<br>
<em>3:4</em>わたしはわらべを立てて彼らの君とし、<br>みどりごに彼らを治めさせる。<br>
<em>3:5</em>民は互に相しえたげ、<br>人はおのおのその隣をしえたげ、<br>若い者は老いたる者にむかって高ぶり、<br>卑しい者は尊い者にむかって高ぶる。<br>
<em>3:6</em>その時、人はその父の家で、兄弟をつかまえて言う、<br>「あなたは外套を持っている、<br>わたしたちのつかさびとになって、<br>この荒れ跡をあなたの手で治めてください」と。<br>
<em>3:7</em>その日、彼は声をあげて言う、<br>「わたしはいやす者となることはできません、<br>わたしの家にはパンもなく、外套もありません、<br>わたしを立てて、<br>民のつかさびとにしないでください」。<br>
<em>3:8</em>これは彼らの言葉と行いとが主にそむき、<br>その栄光の目をおかしたので、<br>エルサレムはつまずき、ユダは倒れたからである。<br>
<em>3:9</em>彼らの不公平は彼らにむかって不利なあかしをし、<br>ソドムのようにその罪をあらわして隠さない。<br>わざわいなるかな、<br>彼らはみずから悪の報いをうけた。<br>
<em>3:10</em>正しい人に言え、彼らはさいわいであると。<br>彼らはその行いの実を食べるからである。<br>
<em>3:11</em>悪しき者はわざわいだ、彼は災をうける。<br>その手のなした事が彼に報いられるからである。<br>
<em>3:12</em>わが民は幼な子にしえたげられ、<br>女たちに治められる。<br>ああ、わが民よ、あなたを導く者は<br>かえって、あなたを迷わせ、<br>あなたの行くべき道を混乱させる。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>3:13</em>主は言い争うために立ちあがり、<br>その民をさばくために立たれる。<br>
<em>3:14</em>主はその民の長老と君たちとをさばいて、<br>「あなたがたは、ぶどう畑を食い荒した。<br>貧しい者からかすめとった物は、<br>あなたがたの家にある。<br>
<em>3:15</em>なぜ、あなたがたはわが民を踏みにじり、<br>貧しい者の顔をすり砕くのか」と<br>万軍の神、主は言われる。<br>
<em>3:16</em>主は言われた、<br>シオンの娘らは高ぶり、<br>首をのばしてあるき、目でこびをおくり、<br>その行くとき気どって歩き、<br>その足でりんりんと鳴り響かす。<br>
<em>3:17</em>それゆえ、主はシオンの娘らの頭を<br>撃って、かさぶたでおおい、<br>彼らの隠れた所をあらわされる。</div>
</div>
<div class="para">
<em>3:18</em>その日、主は彼らの美しい装身具と服装すなわち、くるぶし輪、髪ひも、月形の飾り、
<em>3:19</em>耳輪、腕輪、顔おおい、
<em>3:20</em>頭飾り、すね飾り、飾り帯、香箱、守り袋、
<em>3:21</em>指輪、鼻輪、
<em>3:22</em>礼服、外套、肩掛、手さげ袋、
<em>3:23</em>薄織の上着、亜麻布の着物、帽子、被衣などを取り除かれる。
<div class="quote">
<em>3:24</em>芳香はかわって、悪臭となり、<br>帯はかわって、なわとなり、<br>よく編んだ髪はかわって、かぶろとなり、<br>はなやかな衣はかわって、荒布の衣となり、<br>美しい顔はかわって、焼き印された顔となる。<br>
<em>3:25</em>あなたの男たちはつるぎに倒れ、<br>あなたの勇士たちは戦いに倒れる。<br>
<em>3:26</em>シオンの門は嘆き悲しみ、<br>シオンは荒れすたれて、地に座する。</div>
</div>
</div>
<div class="chapter" id="4">
<h3 class="chapter">第4章</h3>
<div class="para">
<em>4:1</em>その日、七人の女がひとりの男にすがって、「わたしたちは自分のパンをたべ、自分の着物を着ます。ただ、あなたの名によって呼ばれることを許して、わたしたちの恥を取り除いてください」と言う。
</div>
<div class="para">
<em>4:2</em>その日、主の枝は麗しく栄え、地の産物はイスラエルの生き残った者の誇、また光栄となる。
<em>4:3 4:4</em>そして主が審判の霊と滅亡の霊とをもって、シオンの娘らの汚れを洗い、エルサレムの血をその中から除き去られるとき、シオンに残る者、エルサレムにとどまる者、すべてエルサレムにあって、生命の書にしるされた者は聖なる者ととなえられる。
<em>4:5</em>その時、主はシオンの山のすべての場所と、そのもろもろの集会との上に、昼は雲をつくり、夜は煙と燃える火の輝きとをつくられる。これはすべての栄光の上にある天蓋であり、あずまやであって、
<em>4:6</em>昼は暑さをふせぐ陰となり、また暴風と雨を避けて隠れる所となる。
</div>
</div>
<div class="chapter" id="5">
<h3 class="chapter">第5章</h3>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>5:1</em>わたしはわが愛する者のために、<br>そのぶどう畑についてのわが愛の歌をうたおう。<br>わが愛する者は土肥えた小山の上に、<br>一つのぶどう畑をもっていた。<br>
<em>5:2</em>彼はそれを掘りおこし、石を除き、<br>それに良いぶどうを植え、<br>その中に物見やぐらを建て、<br>またその中に酒ぶねを掘り、<br>良いぶどうの結ぶのを待ち望んだ。<br>ところが結んだものは野ぶどうであった。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>5:3</em>それで、エルサレムに住む者とユダの人々よ、<br>どうか、わたしとぶどう畑との間をさばけ。<br>
<em>5:4</em>わたしが、ぶどう畑になした事のほかに、<br>何かなすべきことがあるか。<br>わたしは良いぶどうの結ぶのを待ち望んだのに、<br>どうして野ぶどうを結んだのか。<br>
<em>5:5</em>それで、わたしが、ぶどう畑になそうとすることを、<br>あなたがたに告げる。<br>わたしはそのまがきを取り去って、<br>食い荒されるにまかせ、そのかきをとりこわして、<br>踏み荒されるにまかせる。<br>
<em>5:6</em>わたしはこれを荒して、<br>刈り込むことも、耕すこともせず、<br>おどろと、いばらとを生えさせ、<br>また雲に命じて、その上に雨を降らさない。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>5:7</em>万軍の主のぶどう畑はイスラエルの家であり、<br>主が喜んでそこに植えられた物は、<br>ユダの人々である。<br>主はこれに公平を望まれたのに、<br>見よ、流血。<br>正義を望まれたのに、<br>見よ、叫び。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>5:8</em>わざわいなるかな、彼らは家に家を建て連ね、<br>田畑に田畑をまし加えて、余地をあまさず、<br>自分ひとり、国のうちに住まおうとする。<br>
<em>5:9</em>万軍の主はわたしの耳に誓って言われた、<br>「必ずや多くの家は荒れすたれ、<br>大きな麗しい家も住む者がないようになる。<br>
<em>5:10</em>十反のぶどう畑もわずかに一バテの実を結び、<br>一ホメルの種もわずかに一エパの実を結ぶ」。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>5:11</em>わざわいなるかな、彼らは朝早く起きて、<br>濃き酒をおい求め、<br>夜のふけるまで飲みつづけて、<br>酒にその身を焼かれている。<br>
<em>5:12</em>彼らの酒宴には琴あり、立琴あり、<br>鼓あり笛あり、ぶどう酒がある。<br>しかし彼らは主のみわざを顧みず、<br>み手のなされる事に目をとめない。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>5:13</em>それゆえ、わが民は無知のために、とりこにせられ、<br>その尊き者は飢えて死に、<br>そのもろもろの民は、かわきによって衰えはてる。<br>
<em>5:14</em>また陰府はその欲望を大きくし、<br>その口を限りなく開き、<br>エルサレムの貴族、そのもろもろの民、<br>その群集およびそのうちの喜びたのしめる者はみな<br>その中に落ちこむ。<br>
<em>5:15</em>人はかがめられ、人々は低くせられ、<br>高ぶる者の目は低くされる。<br>
<em>5:16</em>しかし万軍の主は公平によってあがめられ、<br>聖なる神は正義によって、<br>おのれを聖なる者として示される。<br>
<em>5:17</em>こうして小羊は自分の牧場におるように草をはみ、<br>肥えた家畜および子やぎは荒れ跡の中で食を得る。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>5:18</em>わざわいなるかな、<br>彼らは偽りのなわをもって悪を引きよせ、<br>車の綱をもってするように罪を引きよせる。<br>
<em>5:19</em>彼らは言う、「彼を急がせ、<br>そのわざをすみやかにさせよ、<br>それを見せてもらおう。<br>イスラエルの聖者の定める事を近づききたらせよ、<br>それを見せてもらおう」と。<br>
<em>5:20</em>わざわいなるかな、彼らは悪を呼んで善といい、<br>善を呼んで悪といい、<br>暗きを光とし、光を暗しとし、<br>苦きを甘しとし、甘きを苦しとする。<br>
<em>5:21</em>わざわいなるかな、彼らはおのれを見て、賢しとし、<br>みずから顧みて、さとしとする。<br>
<em>5:22</em>わざわいなるかな、<br>彼らはぶどう酒を飲むことの英雄であり、<br>濃き酒をまぜ合わせることの勇士である。<br>
<em>5:23</em>彼らはまいないによって悪しき者を義とし、<br>義人からその義を奪う。<br>
<em>5:24</em>それゆえ、火の舌が刈り株を食い尽すように、<br>枯れ草が炎の中に消えうせるように、<br>彼らの根は朽ちたものとなり、<br>彼らの花はちりのように飛び去る。<br>彼らは万軍の主の律法を捨て、<br>イスラエルの聖者の言葉を侮ったからである。<br>
<em>5:25</em>それゆえ、主はその民にむかって怒りを発し、<br>み手を伸べて彼らを撃たれた。<br>山は震い動き、<br>彼らのしかばねは、ちまたの中で、<br>あくたのようになった。<br>それにもかかわらず、み怒りはやまず、<br>なお、み手を伸ばされる。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>5:26</em>主は旗をあげて遠くから一つの国民を招き、<br>地の果から彼らを呼ばれる。<br>見よ、彼らは走って、すみやかに来る。<br>
<em>5:27</em>その中には疲れる者も、つまずく者もなく、<br>まどろむ者も、眠る者もない。<br>その腰の帯はとけず、<br>そのくつのひもは切れていない。<br>
<em>5:28</em>その矢は鋭く、その弓はことごとく張り、<br>その馬のひずめは火打石のように、<br>その車の輪はつむじ風のように思われる。<br>
<em>5:29</em>そのほえることは、ししのように、<br>若いししのようにほえ、<br>うなって獲物を捕え、<br>かすめ去っても救う者がない。<br>
<em>5:30</em>その日、その鳴りどよめくことは、<br>海の鳴りどよめくようだ。<br>もし地をのぞむならば、見よ、暗きと悩みとがあり、<br>光は雲によって暗くなる。</div>
</div>
</div>
<div class="chapter" id="6">
<h3 class="chapter">第6章</h3>
<div class="para">
<em>6:1</em>ウジヤ王の死んだ年、わたしは主が高くあげられたみくらに座し、その衣のすそが神殿に満ちているのを見た。
<em>6:2</em>その上にセラピムが立ち、おのおの六つの翼をもっていた。その二つをもって顔をおおい、二つをもって足をおおい、二つをもって飛びかけり、
<em>6:3</em>互に呼びかわして言った。<div class="quote">「聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな、万軍の主、その栄光は全地に満つ」。</div>
<em>6:4</em>その呼ばわっている者の声によって敷居の基が震い動き、神殿の中に煙が満ちた。
<em>6:5</em>その時わたしは言った、「わざわいなるかな、わたしは滅びるばかりだ。わたしは汚れたくちびるの者で、汚れたくちびるの民の中に住む者であるのに、わたしの目が万軍の主なる王を見たのだから」。
</div>
<div class="para">
<em>6:6</em>この時セラピムのひとりが火ばしをもって、祭壇の上から取った燃えている炭を手に携え、わたしのところに飛んできて、
<em>6:7</em>わたしの口に触れて言った、「見よ、これがあなたのくちびるに触れたので、あなたの悪は除かれ、あなたの罪はゆるされた」。
<em>6:8</em>わたしはまた主の言われる声を聞いた、「わたしはだれをつかわそうか。だれがわれわれのために行くだろうか」。その時わたしは言った、「ここにわたしがおります。わたしをおつかわしください」。
<em>6:9</em>主は言われた、「あなたは行って、この民にこう言いなさい、<div class="quote">『あなたがたはくりかえし聞くがよい、<br>しかし悟ってはならない。<br>あなたがたはくりかえし見るがよい、<br>しかしわかってはならない』と。<br>
<em>6:10</em>あなたはこの民の心を鈍くし、<br>その耳を聞えにくくし、その目を閉ざしなさい。<br>これは彼らがその目で見、その耳で聞き、<br>その心で悟り、<br>悔い改めていやされることのないためである」。<br>
<em>6:11</em>そこで、わたしは言った、「主よ、いつまでですか」。<br>主は言われた、<br>「町々は荒れすたれて、住む者もなく、<br>家には人かげもなく、国は全く荒れ地となり、<br>
<em>6:12</em>人々は主によって遠くへ移され、<br>荒れはてた所が国の中に多くなる時まで、<br>こうなっている。<br>
<em>6:13</em>その中に十分の一の残る者があっても、<br>これもまた焼き滅ぼされる。<br>テレビンの木またはかしの木が切り倒されるとき、<br>その切り株が残るように」。<br>聖なる種族はその切り株である。</div>
</div>
</div>
<div class="chapter" id="7">
<h3 class="chapter">第7章</h3>
<div class="para">
<em>7:1</em>ユダの王、ウジヤの子ヨタム、その子アハズの時、スリヤの王レヂンとレマリヤの子であるイスラエルの王ペカとが上ってきて、エルサレムを攻めたが勝つことができなかった。
<em>7:2</em>時に「スリヤがエフライムと同盟している」とダビデの家に告げる者があったので、王の心と民の心とは風に動かされる林の木のように動揺した。
</div>
<div class="para">
<em>7:3</em>その時、主はイザヤに言われた、「今、あなたとあなたの子シャル・ヤシュブと共に出て行って、布さらしの野へ行く大路に沿う上の池の水道の端でアハズに会い、
<em>7:4</em>彼に言いなさい、『気をつけて、静かにし、恐れてはならない。レヂンとスリヤおよびレマリヤの子が激しく怒っても、これら二つの燃え残りのくすぶっている切り株のゆえに心を弱くしてはならない。
<em>7:5</em>スリヤはエフライムおよびレマリヤの子と共にあなたにむかって悪い事を企てて言う、
<em>7:6</em>「われわれはユダに攻め上って、これを脅し、われわれのためにこれを破り取り、タビエルの子をそこの王にしよう」と。
<div class="quote">
<em>7:7</em>主なる神はこう言われる、<br>この事は決して行われない、また起ることはない。<br>
<em>7:8</em>スリヤのかしらはダマスコ、<br>ダマスコのかしらはレヂンである。<br>(六十五年のうちにエフライムは敗れて、国をなさないようになる。)<br>
<em>7:9</em>エフライムのかしらはサマリヤ、<br>サマリヤのかしらはレマリヤの子である。<br>もしあなたがたが信じないならば、立つことはできない』」。</div>
</div>
<div class="para">
<em>7:10</em>主は再びアハズに告げて言われた、
<em>7:11</em>「あなたの神、主に一つのしるしを求めよ、陰府のように深い所に、あるいは天のように高い所に求めよ」。
<em>7:12</em>しかしアハズは言った、「わたしはそれを求めて、主を試みることをいたしません」。
<em>7:13</em>そこでイザヤは言った、「ダビデの家よ、聞け。あなたがたは人を煩わすことを小さい事とし、またわが神をも煩わそうとするのか。
<em>7:14</em>それゆえ、主はみずから一つのしるしをあなたがたに与えられる。見よ、おとめがみごもって男の子を産む。その名はインマヌエルととなえられる。
<em>7:15</em>その子が悪を捨て、善を選ぶことを知るころになって、凝乳と、蜂蜜とを食べる。
<em>7:16</em>それはこの子が悪を捨て、善を選ぶことを知る前に、あなたが恐れているふたりの王の地は捨てられるからである。
<em>7:17</em>主はエフライムがユダから分れた時からこのかた、臨んだことのないような日をあなたと、あなたの民と、あなたの父の家とに臨ませられる。それはアッスリヤの王である」。
</div>
<div class="para">
<em>7:18</em>その日、主はエジプトの川々の源にいる、はえを招き、アッスリヤの地にいる蜂を呼ばれる。
<em>7:19</em>彼らはみな来て、険しい谷、岩の裂け目、すべてのいばら、すべての牧場の上にとどまる。
</div>
<div class="para">
<em>7:20</em>その日、主は大川の向こうから雇ったかみそり、すなわちアッスリヤの王をもって、頭と足の毛とをそり、また、ひげをも除き去られる。
<em>7:21</em>その日、人は若い雌牛一頭と羊二頭を飼い、
</div>
<div class="para">
<em>7:22</em>それから出る乳が多いので、凝乳を食べることができ、すべて国のうちに残された者は凝乳と、蜂蜜とを食べることができる。
</div>
<div class="para">
<em>7:23</em>その日、銀一千シケルの価ある千株のぶどうの木のあった所も、ことごとくいばらと、おどろの生える所となり、
<em>7:24</em>いばらと、おどろとが地にはびこるために、人々は弓と矢をもってそこへ行く。
<em>7:25</em>くわをもって掘り耕したすべての山々にも、あなたは、いばらと、おどろとを恐れて、そこへ行くことができない。その地はただ牛を放ち、羊の踏むところとなる。
</div>
</div>
<div class="chapter" id="8">
<h3 class="chapter">第8章</h3>
<div class="para">
<em>8:1</em>主はわたしに言われた、「一枚の大きな札を取って、その上に普通の文字で、『マヘル・シャラル・ハシ・バズ』と書きなさい」。
<em>8:2</em>そこで、わたしは確かな証人として、祭司ウリヤおよびエベレキヤの子ゼカリヤを立てた。
<em>8:3</em>わたしが預言者の妻に近づくと、彼女はみごもって男の子を産んだ。その時、主はわたしに言われた、「その名をマヘル・シャラル・ハシ・バズと呼びなさい。
<em>8:4</em>それはこの子がまだ『おとうさん、おかあさん』と呼ぶことを知らないうちに、ダマスコの富と、サマリヤのぶんどり品とが、アッスリヤ王の前に奪い去られるからである」。
</div>
<div class="para">
<em>8:5</em>主はまた重ねてわたしに言われた、
<em>8:6</em>「この民はゆるやかに流れるシロアの水を捨てて、レヂンとレマリヤの子の前に恐れくじける。
<em>8:7</em>それゆえ見よ、主は勢いたけく、みなぎりわたる大川の水を彼らにむかってせき入れられる。これはアッスリヤの王と、そのもろもろの威勢とであって、そのすべての支流にはびこり、すべての岸を越え、
<em>8:8</em>ユダに流れ入り、あふれみなぎって、首にまで及ぶ。インマヌエルよ、その広げた翼はあまねく、あなたの国に満ちわたる」。
<div class="quote">
<em>8:9</em>もろもろの民よ、打ち破られて、驚きあわてよ。<br>遠き国々のものよ、耳を傾けよ。<br>腰に帯して、驚きあわてよ。<br>腰に帯して、驚きあわてよ。<br>
<em>8:10</em>ともに計れ、しかし、成らない。<br>言葉を出せ、しかし、行われない。<br>神がわれわれと共におられるからである。</div>
</div>
<div class="para">
<em>8:11</em>主は強いみ手をもって、わたしを捕え、わたしに語り、この民の道に歩まないように、さとして言われた、
<em>8:12</em>「この民がすべて陰謀ととなえるものを陰謀ととなえてはならない。彼らの恐れるものを恐れてはならない。またおののいてはならない。
<em>8:13</em>あなたがたは、ただ万軍の主を聖として、彼をかしこみ、彼を恐れなければならない。
<em>8:14</em>主はイスラエルの二つの家には聖所となり、またさまたげの石、つまずきの岩となり、エルサレムの住民には網となり、わなとなる。
<em>8:15</em>多くの者はこれにつまずき、かつ倒れ、破られ、わなにかけられ、捕えられる」。
</div>
<div class="para">
<em>8:16</em>わたしは、あかしを一つにまとめ、教をわが弟子たちのうちに封じておこう。
<em>8:17</em>主はいま、ヤコブの家に、み顔をかくしておられるとはいえ、わたしはその主を待ち、主を望みまつる。
<em>8:18</em>見よ、わたしと、主のわたしに賜わった子たちとは、シオンの山にいます万軍の主から与えられたイスラエルのしるしであり、前ぶれである。
<em>8:19</em>人々があなたがたにむかって「さえずるように、ささやくように語る巫子および魔術者に求めよ」という時、民は自分たちの神に求むべきではないか。生ける者のために死んだ者に求めるであろうか。
<em>8:20</em>ただ教とあかしとに求めよ。まことに彼らはこの言葉によって語るが、そこには夜明けがない。
<em>8:21</em>彼らはしえたげられ、飢えて国の中を経あるく。その飢えるとき怒りを放ち、自分たちの王、自分たちの神をのろい、かつその顔を天に向ける。
<em>8:22</em>また地を見ると、見よ、悩みと暗きと、苦しみのやみとがあり、彼らは暗黒に追いやられる。
</div>
</div>
<div class="chapter" id="9">
<h3 class="chapter">第9章</h3>
<div class="para">
<em>9:1</em>しかし、苦しみにあった地にも、やみがなくなる。さきにはゼブルンの地、ナフタリの地にはずかしめを与えられたが、後には海に至る道、ヨルダンの向こうの地、異邦人のガリラヤに光栄を与えられる。
<div class="quote">
<em>9:2</em>暗やみの中に歩んでいた民は大いなる光を見た。<br>暗黒の地に住んでいた人々の上に光が照った。<br>
<em>9:3</em>あなたが国民を増し、その喜びを大きくされたので、<br>彼らは刈入れ時に喜ぶように、<br>獲物を分かつ時に楽しむように、<br>あなたの前に喜んだ。<br>
<em>9:4</em>これはあなたが彼らの負っているくびきと、<br>その肩のつえと、しえたげる者のむちとを、<br>ミデアンの日になされたように折られたからだ。<br>
<em>9:5</em>すべて戦場で、歩兵のはいたくつと、<br>血にまみれた衣とは、<br>火の燃えくさとなって焼かれる。<br>
<em>9:6</em>ひとりのみどりごがわれわれのために生れた、<br>ひとりの男の子がわれわれに与えられた。<br>まつりごとはその肩にあり、<br>その名は、「霊妙なる議士、大能の神、<br>とこしえの父、平和の君」ととなえられる。<br>
<em>9:7</em>そのまつりごとと平和とは、増し加わって限りなく、<br>ダビデの位に座して、その国を治め、<br>今より後、とこしえに公平と正義とをもって<br>これを立て、これを保たれる。<br>万軍の主の熱心がこれをなされるのである。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>9:8</em>主はひと言をヤコブにおくり、<br>これをイスラエルの上にくだされる。<br>
<em>9:9</em>すべてこの民、<br>エフライムとサマリヤに住む者とは知るであろう。<br>彼らは高ぶり、心おごって言う、<br>
<em>9:10</em>「かわらがくずれても、<br>われわれは切り石をもって建てよう。<br>くわの木が切り倒されても、<br>われわれは香柏をもってこれにかえよう」と。<br>
<em>9:11</em>それゆえ、主は敵を起して彼らを攻めさせ、<br>そのあだを奮い立たせられる。<br>
<em>9:12</em>東にスリヤびとあり、西にペリシテびとあり、<br>彼らは大口をあけてイスラエルを食い尽す。<br>それでも主の怒りはやまず、<br>なおも、そのみ手を伸ばされる。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>9:13</em>しかもなお、この民は自分たちを撃った者に帰らず、<br>万軍の主を求めない。<br>
<em>9:14</em>それゆえ、主はイスラエルから頭と尾と、<br>しゅろの枝と葦とを一日のうちに断ち切られる。<br>
<em>9:15</em>その頭とは、長老と尊き人、<br>その尾とは、偽りを教える預言者である。<br>
<em>9:16</em>この民を導く者は、これを迷わせ、<br>彼らに導かれる者は、のみ尽される。<br>
<em>9:17</em>それゆえ、主はその若き人々を喜ばれず、<br>そのみなしごと寡婦とをあわれまれない。<br>彼らはみな、不信仰であって、悪を行う者、<br>すべての口は愚かな事を語るからである。<br>それでも主の怒りはやまず、<br>なおも、そのみ手を伸ばされる。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>9:18</em>悪は火のように燃え、<br>いばらと、おどろとを食い尽し、<br>茂りあう林を焼き、煙の柱となって巻きあがる。<br>
<em>9:19</em>万軍の主の怒りによって地は焼け、<br>その民は火の燃えくさのようになり、<br>だれもその兄弟をあわれむ者がない。<br>
<em>9:20</em>彼らは右手につかんでも、なお飢え、<br>左手で食べても飽くことがない。<br>おのおのその隣り人の肉を食う。<br>
<em>9:21</em>マナセはエフライムを、<br>エフライムはマナセを食い、<br>彼らは共にユダを攻める。<br>それでも主の怒りはやまず、<br>なおも、そのみ手を伸ばされる。</div>
</div>
</div>
<div class="chapter" id="10">
<h3 class="chapter">第10章</h3>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>10:1</em>わざわいなるかな、<br>不義の判決を下す者、暴虐の宣告を書きしるす者。<br>
<em>10:2</em>彼らは乏しい者の訴えを引き受けず、<br>わが民のうちの貧しい者の権利をはぎ、<br>寡婦の資産を奪い、みなしごのものをかすめる。<br>
<em>10:3</em>あなたがたは刑罰の日がきたなら、<br>何をしようとするのか。<br>大風が遠くから来るとき、<br>何をしようとするのか。<br>あなたがたはのがれていって、<br>だれに助けを求めようとするのか。<br>また、どこにあなたがたの富を残そうとするのか。<br>
<em>10:4</em>ただ捕われた者の中にかがみ、<br>殺された者の中に伏し倒れるのみだ。<br>それでも主の怒りはやまず、<br>なおも、そのみ手を伸ばされる。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>10:5</em>ああ、アッスリヤはわが怒りのつえ、<br>わが憤りのむちだ。<br>
<em>10:6</em>わたしは彼をつかわして不信の国を攻め、<br>彼に命じてわが怒りの民を攻め、かすめ奪わせ、<br>彼らをちまたの泥のように踏みにじらせる。<br>
<em>10:7</em>しかし彼はそのようには思わず、<br>その心もそのようには考えず、<br>かえってその心は滅ぼすことを思い、<br>あまたの国々を倒そうとする。<br>
<em>10:8</em>彼は言う、「わが諸侯はみな王ではないか。<br>
<em>10:9</em>カルノはカルケミシのようではないか。<br>ハマテはアルパデのようではないか。<br>サマリヤはダマスコのようではないか。<br>
<em>10:10</em>わが手は偶像に仕える国々に伸びた。<br>その彫った像はエルサレムおよび<br>サマリヤのものにまさっていた。<br>
<em>10:11</em>わたしはサマリヤとその偶像に行ったように、<br>エルサレムとその偶像に行わぬであろうか」。</div>
</div>
<div class="para">
<em>10:12</em>主がシオンの山とエルサレムとになそうとすることを、ことごとくなし遂げられた時、主はアッスリヤ王の無礼な言葉と、その高ぶりとを罰せられる。
<em>10:13</em>彼は言う、<div class="quote">「わが手の力により、またわが知恵によって、<br>わたしはこれをなした。わたしは賢いからである。<br>わたしはもろもろの民の境を除き、<br>その財宝を奪った。<br>またわたしは雄牛のように、<br>位に座する者を引きおろした。<br>
<em>10:14</em>わが手は巣を取るように、<br>もろもろの民の富を得た。<br>またわたしは人々が捨てられた卵を集めるように、<br>全地を取り集めた。<br>あるいは翼を動かし、あるいは口を開き、<br>あるいはぺちゃくちゃ言う者もなかった」。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>10:15</em>おのは、それを用いて切る者にむかって、<br>自分を誇ることができようか。<br>のこぎりは、それを動かす者にむかって、<br>みずから高ぶることができようか。<br>これはあたかも、むちが自分をあげる者を動かし、<br>つえが木でない者をあげようとするのに等しい。<br>
<em>10:16</em>それゆえ、主、万軍の主は、<br>その肥えた勇士の中に病気を送って衰えさせ、<br>その栄光の下に火の燃えるような炎を燃やされる。<br>
<em>10:17</em>イスラエルの光は火となり、<br>その聖者は炎となり、<br>そのいばらと、おどろとを一日のうちに焼き滅ぼす。<br>
<em>10:18</em>また、その林と土肥えた田畑の栄えを、<br>魂も、からだも二つながら滅ぼし、<br>病める者のやせ衰える時のようにされる。<br>
<em>10:19</em>その林の木の残りのものはわずかであって、<br>わらべもそれを書きとめることができる。</div>
</div>
<div class="para">
<em>10:20</em>その日にはイスラエルの残りの者と、ヤコブの家の生き残った者とは、もはや自分たちを撃った者にたよらず、真心をもってイスラエルの聖者、主にたより、
<em>10:21</em>残りの者、すなわちヤコブの残りの者は大能の神に帰る。
<em>10:22</em>あなたの民イスラエルは海の砂のようであっても、そのうちの残りの者だけが帰って来る。滅びはすでに定まり、義であふれている。
<em>10:23</em>主、万軍の主は定められた滅びを全地に行われる。
</div>
<div class="para">
<em>10:24</em>それゆえ、主、万軍の主はこう言われる、「シオンに住むわが民よ、アッスリヤびとが、エジプトびとがしたように、むちをもってあなたを打ち、つえをあげてあなたをせめても、彼らを恐れてはならない。
<em>10:25</em>ただしばらくして、わが憤りはやみ、わが怒りは彼らを滅ぼすからである。
<em>10:26</em>万軍の主は、むかしミデアンびとをオレブの岩で撃たれた時のように、彼らにむかって、むちをふるわれる。またそのつえを海の上にのばし、エジプトでなされたように、それをあげられる。
<em>10:27</em>その日には、彼の重荷はあなたの肩からおり、彼のくびきはあなたの首から離れる」。<div class="quote">彼はリンモンから上り、<br>
<em>10:28</em>アイアテにきたり、ミグロンを過ぎ、<br>ミクマシでその行李をとどめ、<br>
<em>10:29</em>渡しを過ぎて、ゲバに宿る。<br>ラマはおののき、サウルのギベアは逃げ去った。<br>
<em>10:30</em>ガリムの娘よ、声をあげて叫べ。<br>ライシよ、耳を傾けよ。<br>アナトテよ、彼に答えよ。<br>
<em>10:31</em>マデメナは逃げ去り、ゲビムの民は隠れ場を求めた。<br>
<em>10:32</em>この日彼はノブに立ちとどまり、<br>シオンの娘の山、エルサレムの丘にむかって、<br>その手を振る。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>10:33</em>見よ、主、万軍の主は、<br>恐ろしい力をもって枝を切りおろされる。<br>たけの高いものも切り落され、<br>そびえ立つものは低くされる。<br>
<em>10:34</em>主はおのをもって茂りあう林を切られる。<br>みごとな木の茂るレバノンも倒される。</div>
</div>
</div>
<div class="chapter" id="11">
<h3 class="chapter">第11章</h3>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>11:1</em>エッサイの株から一つの芽が出、<br>その根から一つの若枝が生えて実を結び、<br>
<em>11:2</em>その上に主の霊がとどまる。<br>これは知恵と悟りの霊、深慮と才能の霊、<br>主を知る知識と主を恐れる霊である。<br>
<em>11:3</em>彼は主を恐れることを楽しみとし、<br>その目の見るところによって、さばきをなさず、<br>その耳の聞くところによって、定めをなさず、<br>
<em>11:4</em>正義をもって貧しい者をさばき、<br>公平をもって国のうちの<br>柔和な者のために定めをなし、<br>その口のむちをもって国を撃ち、<br>そのくちびるの息をもって悪しき者を殺す。<br>
<em>11:5</em>正義はその腰の帯となり、<br>忠信はその身の帯となる。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>11:6</em>おおかみは小羊と共にやどり、<br>ひょうは子やぎと共に伏し、<br>子牛、若じし、肥えたる家畜は共にいて、<br>小さいわらべに導かれ、<br>
<em>11:7</em>雌牛と熊とは食い物を共にし、<br>牛の子と熊の子と共に伏し、<br>ししは牛のようにわらを食い、<br>
<em>11:8</em>乳のみ子は毒蛇のほらに戯れ、<br>乳離れの子は手をまむしの穴に入れる。<br>
<em>11:9</em>彼らはわが聖なる山のどこにおいても、<br>そこなうことなく、やぶることがない。<br>水が海をおおっているように、<br>主を知る知識が地に満ちるからである。</div>
</div>
<div class="para">
<em>11:10</em>その日、エッサイの根が立って、もろもろの民の旗となり、もろもろの国びとはこれに尋ね求め、その置かれる所に栄光がある。
</div>
<div class="para">
<em>11:11</em>その日、主は再び手を伸べて、その民の残れる者をアッスリヤ、エジプト、パテロス、エチオピヤ、エラム、シナル、ハマテおよび海沿いの国々からあがなわれる。
<div class="quote">
<em>11:12</em>主は国々のために旗をあげて、<br>イスラエルの追いやられた者を集め、<br>ユダの散らされた者を地の四方から集められる。<br>
<em>11:13</em>エフライムのねたみはうせ、<br>ユダを悩ます者は断たれ、<br>エフライムはユダをねたまず、<br>ユダはエフライムを悩ますことはない。<br>
<em>11:14</em>しかし彼らは西の方ペリシテびとの肩に<br>襲いかかり、<br>相共に東の民をかすめ、<br>その手をエドムおよびモアブに伸べ、<br>アンモンの人々をおのれに従わせる。<br>
<em>11:15</em>主はエジプトの海の舌をからし、<br>川の上に手を振って熱い風を吹かせ、<br>その川を打って七つの川となし、<br>くつをぬらさないで渡らせられる。<br>
<em>11:16</em>その民の残れる者のために<br>アッスリヤからの大路があり、<br>昔イスラエルがエジプトの国から<br>上ってきた時にあったようになる。</div>
</div>
</div>
<div class="chapter" id="12">
<h3 class="chapter">第12章</h3>
<div class="para">
<em>12:1</em>その日あなたは言う、<div class="quote">「主よ、わたしはあなたに感謝します。<br>あなたは、さきにわたしにむかって怒られたが、<br>その怒りはやんで、わたしを慰められたからです。<br>
<em>12:2</em>見よ、神はわが救である。<br>わたしは信頼して恐れることはない。<br>主なる神はわが力、わが歌であり、<br>わが救となられたからである」。</div>
</div>
<div class="para">
<em>12:3</em>あなたがたは喜びをもって、救の井戸から水をくむ。
<em>12:4</em>その日、あなたがたは言う、<div class="quote">「主に感謝せよ。<br>そのみ名を呼べ。<br>そのみわざをもろもろの民の中につたえよ。<br>そのみ名のあがむべきことを語りつげよ。<br>
<em>12:5</em>主をほめうたえ。<br>主はそのみわざを、みごとになし遂げられたから。<br>これを全地に宣べ伝えよ。<br>
<em>12:6</em>シオンに住む者よ、声をあげて、喜びうたえ。<br>イスラエルの聖者はあなたがたのうちで<br>大いなる者だから」。</div>
</div>
</div>
<div class="chapter" id="13">
<h3 class="chapter">第13章</h3>
<div class="para">
<em>13:1</em>アモツの子イザヤに示されたバビロンについての託宣。
<div class="quote">
<em>13:2</em>あなたがたは木のない山に旗を立て、<br>声をあげて彼らを招き、<br>手を振って彼らを貴族の門に、はいらせよ。<br>
<em>13:3</em>わたしはわが怒りのさばきを行うために<br>聖別した者どもに命じ、<br>わが勇士、わが勝ち誇る者どもを招いた。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>13:4</em>聞け、多くの民のような騒ぎ声が山々に聞える。<br>聞け、もろもろの国々、寄りつどえる<br>もろもろの国民のざわめく声が聞える。<br>これは万軍の主が<br>戦いのために軍勢を集められるのだ。<br>
<em>13:5</em>彼らは遠い国から、天の果から来る。<br>これは、主とその憤りの器で、<br>全地を滅ぼすために来るのだ。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>13:6</em>あなたがたは泣き叫べ。主の日が近づき、<br>滅びが全能者から来るからだ。<br>
<em>13:7</em>それゆえ、すべての手は弱り、<br>すべての人の心は溶け去る。<br>
<em>13:8</em>彼らは恐れおののき、苦しみと悩みに捕えられ、<br>子を産まんとする女のようにもだえ苦しみ、<br>互に驚き、顔を見あわせ、<br>その顔は炎のようになる。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>13:9</em>見よ、主の日が来る。<br>残忍で、憤りと激しい怒りとをもってこの地を荒し、<br>その中から罪びとを断ち滅ぼすために来る。<br>
<em>13:10</em>天の星とその星座とはその光を放たず、<br>太陽は出ても暗く、<br>月はその光を輝かさない。<br>
<em>13:11</em>わたしはその悪のために世を罰し、<br>その不義のために悪い者を罰し、<br>高ぶる者の誇をとどめ、<br>あらぶる者の高慢を低くする。<br>
<em>13:12</em>わたしは人を精金よりも、<br>オフルのこがねよりも少なくする。<br>
<em>13:13</em>それゆえ、万軍の主の憤りにより、<br>その激しい怒りの日に、<br>天は震い、地は揺り動いて、その所をはなれる。<br>
<em>13:14</em>彼らは追われた、かもしかのように、<br>あるいは集める者のない羊のようになって、<br>おのおの自分の民に帰り、<br>自分の国に逃げて行く。<br>
<em>13:15</em>すべて見いだされる者は刺され、<br>すべて捕えられる者はつるぎによって倒され、<br>
<em>13:16</em>彼らのみどりごはその目の前で投げ砕かれ、<br>その家はかすめ奪われ、その妻は汚される。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>13:17</em>見よ、わたしは、しろがねをも顧みず、<br>こがねをも喜ばないメデアびとを起して、<br>彼らにむかわせる。<br>
<em>13:18</em>彼らの弓は若い者を射殺し、<br>腹の実をあわれむことなく、<br>幼な子を見て、惜しむことがない。<br>
<em>13:19</em>国々の誉であり、<br>カルデヤびとの誇である麗しいバビロンは、<br>神に滅ぼされたソドム、ゴモラのようになる。<br>
<em>13:20</em>ここにはながく住む者が絶え、<br>世々にいたるまで住みつく者がなく、<br>アラビヤびともそこに天幕を張らず、<br>羊飼もそこに群れを伏させることがない。<br>
<em>13:21</em>ただ、野の獣がそこに伏し、<br>ほえる獣がその家に満ち、<br>だちょうがそこに住み、<br>鬼神がそこに踊る。<br>
<em>13:22</em>ハイエナはその城の中で鳴き、<br>山犬は楽しい宮殿でほえる。<br>その時の来るのは近い、<br>その日は延びることがない。</div>
</div>
</div>
<div class="chapter" id="14">
<h3 class="chapter">第14章</h3>
<div class="para">
<em>14:1</em>主はヤコブをあわれみ、イスラエルを再び選んで、これをおのれの地に置かれる。異邦人はこれに加わって、ヤコブの家に結びつらなり、
<em>14:2</em>もろもろの民は彼らを連れてその所に導いて来る。そしてイスラエルの家は、主の地で彼らを男女の奴隷とし、さきに自分たちを捕虜にした者を捕虜にし、自分たちをしえたげた者を治める。
</div>
<div class="para">
<em>14:3</em>主があなたの苦労と不安とを除き、またあなたが服した苦役を除いて、安息をお与えになるとき、
<em>14:4</em>あなたはこのあざけりの歌をとなえ、バビロンの王をののしって言う、<div class="quote">「あの、しえたげる者は全く絶えてしまった。<br>あの、おごる者は全く絶えてしまった。<br>
<em>14:5</em>主は悪い者のつえと、<br>つかさびとの笏を折られた。<br>
<em>14:6</em>彼らは憤りをもってもろもろの民を<br>絶えず撃っては打ち、<br>怒りをもってもろもろの国を治めても、<br>そのしえたげをとどめる者がなかった。<br>
<em>14:7</em>全地はやすみを得、穏やかになり、<br>ことごとく声をあげて歌う。<br>
<em>14:8</em>いとすぎおよびレバノンの香柏でさえも<br>あなたのゆえに喜んで言う、<br>『あなたはすでに倒れたので、<br>もはや、きこりが上ってきて、<br>われわれを攻めることはない』。<br>
<em>14:9</em>下の陰府はあなたのために動いて、<br>あなたの来るのを迎え、<br>地のもろもろの指導者たちの亡霊を<br>あなたのために起し、<br>国々のもろもろの王を<br>その王座から立ちあがらせる。<br>
<em>14:10</em>彼らは皆あなたに告げて言う、<br>『あなたもまたわれわれのように弱くなった、<br>あなたもわれわれと同じようになった』。<br>
<em>14:11</em>あなたの栄華とあなたの琴の音は<br>陰府に落ちてしまった。<br>うじはあなたの下に敷かれ、<br>みみずはあなたをおおっている。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>14:12</em>黎明の子、明けの明星よ、<br>あなたは天から落ちてしまった。<br>もろもろの国を倒した者よ、<br>あなたは切られて地に倒れてしまった。<br>
<em>14:13</em>あなたはさきに心のうちに言った、<br>『わたしは天にのぼり、<br>わたしの王座を高く神の星の上におき、<br>北の果なる集会の山に座し、<br>
<em>14:14</em>雲のいただきにのぼり、<br>いと高き者のようになろう』。<br>
<em>14:15</em>しかしあなたは陰府に落され、<br>穴の奥底に入れられる。<br>
<em>14:16</em>あなたを見る者はつくづくあなたを見、<br>あなたに目をとめて言う、<br>『この人は地を震わせ、国々を動かし、<br>
<em>14:17</em>世界を荒野のようにし、その都市をこわし、<br>捕えた者をその家に<br>解き帰さなかった者であるのか』。<br>
<em>14:18</em>もろもろの国の王たちは皆<br>尊いさまで、自分の墓に眠る。<br>
<em>14:19</em>しかしあなたは忌みきらわれる月足らぬ子のように<br>墓のそとに捨てられ、<br>つるぎで刺し殺された者でおおわれ、<br>踏みつけられる死体のように穴の石に下る。<br>
<em>14:20</em>あなたは自分の国を滅ぼし、<br>自分の民を殺したために、<br>彼らと共に葬られることはない。<br>どうか、悪を行う者の子孫は<br>とこしえに名を呼ばれることのないように。<br>
<em>14:21</em>先祖のよこしまのゆえに、<br>その子孫のためにほふり場を備えよ。<br>これは彼らが起って地を取り、<br>世界のおもてに町々を<br>満たすことのないためである」。</div>
</div>
<div class="para">
<em>14:22</em>万軍の主は言われる、「わたしは立って彼らを攻め、バビロンからその名と、残れる者、その子と孫とを断ち滅ぼす、と主は言う。
<em>14:23</em>わたしはこれをはりねずみのすみかとし、水の池とし、滅びのほうきをもって、これを払い除く、と万軍の主は言う」。
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>14:24</em>万軍の主は誓って言われる、<br>「わたしが思ったように必ず成り、<br>わたしが定めたように必ず立つ。<br>
<em>14:25</em>わたしはアッスリヤびとをわが地で打ち破り、<br>わが山々で彼を踏みにじる。<br>こうして彼が置いたくびきは<br>イスラエルびとから離れ、<br>彼が負わせた重荷は<br>イスラエルびとの肩から離れる」。<br>
<em>14:26</em>これは全地について定められた計画である。<br>これは国々の上に伸ばされた手である。<br>
<em>14:27</em>万軍の主が定められるとき、<br>だれがそれを取り消すことができるのか。<br>その手を伸ばされるとき、<br>だれがそれを引きもどすことができるのか。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>14:28</em>アハズ王の死んだ年にこの託宣があった、<br>
<em>14:29</em>「ペリシテの全地よ、あなたを打ったむちが<br>折られたことを喜んではならない。<br>へびの根からまむしが出、<br>その実は飛びかけるへびとなるからだ。<br>
<em>14:30</em>いと貧しい者は食を得、<br>乏しい者は安らかに伏す。<br>しかし、わたしはききんをもって<br>あなたの子孫を殺し、<br>あなたの残れる者を滅ぼす。<br>
<em>14:31</em>門よ、泣きわめけ。町よ、叫べ。<br>ペリシテの全地よ、恐れのあまり消えうせよ、<br>北から煙が来るからだ。<br>その隊列からは、ひとりも脱落する者はない」。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>14:32</em>その国の使者たちになんと答えようか。<br>「主はシオンの基をおかれた、<br>その民の苦しむ者は<br>この中に避け所を得る」と答えよ。</div>
</div>
</div>
<div class="chapter" id="15">
<h3 class="chapter">第15章</h3>
<div class="para">
<em>15:1</em>モアブについての託宣。<div class="quote">アルは一夜のうちに荒されて、モアブは滅びうせ、<br>キルは一夜のうちに荒されて、モアブは滅びうせた。<br>
<em>15:2</em>デボンの娘は高き所にのぼって泣き、<br>モアブはネボとメデバの上で嘆き叫ぶ。<br>おのおのその頭をかぶろにし、<br>そのひげをことごとくそった。<br>
<em>15:3</em>彼らはそのちまたで荒布をまとい、<br>その屋根または広場で、みな泣き叫び、涙に浸る。<br>
<em>15:4</em>ヘシボンとエレアレとは叫び、<br>その声はヤハズまで聞える。<br>それゆえ、モアブの兵士は声をあげ、<br>その魂はおののく。<br>
<em>15:5</em>わが心はモアブのために叫び呼ばわる。<br>その落人はゾアルおよび<br>エグラテ・シリシヤにのがれ、<br>泣きながらルヒテの坂をのぼり、<br>ホロナイムの道で滅びの叫びをあげる。<br>
<em>15:6</em>ニムリムの水はかわき、<br>草は枯れ、苗は消えて、青い物はない。<br>
<em>15:7</em>それゆえ、彼らはその得た富と、<br>そのたくわえた物とを携えて、柳の川をわたる。<br>
<em>15:8</em>その叫びの声はモアブの境をめぐり、<br>その嘆きの声はエグライムにいたり、<br>またその嘆きの声はベエル・エリムにいたる。<br>
<em>15:9</em>デボンの水は血で満ちる。<br>わたしはデボンの上にさらに災を加え、<br>モアブののがれた者と<br>この地の残った者とに、ししを送る。</div>
</div>
</div>
<div class="chapter" id="16">
<h3 class="chapter">第16章</h3>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>16:1</em>彼らはセラから荒野の道によって<br>小羊をシオンの娘の山に送り、<br>国のつかさに納めた。<br>
<em>16:2</em>モアブの娘らはアルノンの渡しで、<br>さまよう鳥のように、<br>巣を追われたひなのようである。<br>
<em>16:3</em>「相はかって、事を定めよ。<br>真昼の中でも、あなたの陰を夜のようにし、<br>さすらい人を隠し、<br>のがれて来た者をわたさず、<br>
<em>16:4</em>モアブのさすらい人を、あなたのうちにやどらせ、<br>彼らの避け所となって、滅ぼす者からのがれさせよ。<br>しえたげる者がなくなり、滅ぼす者が絶え、<br>踏みにじる者が地から断たれたとき、<br>
<em>16:5</em>一つの玉座がいつくしみによって堅く立てられ、<br>ダビデの幕屋にあって、<br>さばきをなし、公平を求め、<br>正義を行うに、すみやかなる者が<br>真実をもってその上に座する」。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>16:6</em>われわれはモアブの高ぶりのことを聞いた、<br>その高ぶることは、はなはだしい。<br>われわれはその誇と、高ぶりと、<br>そのおごりとのことを聞いた、<br>その自慢は偽りである。<br>
<em>16:7</em>それゆえ、モアブは泣き叫べ、<br>民はみなモアブのために泣き叫べ。<br>全く撃ちのめされて、<br>キルハレセテの干ぶどうのために嘆け。<br>
<em>16:8</em>ヘシボンの畑と、<br>シブマのぶどうの木とは、しぼみ衰えた。<br>国々のもろもろの主が、<br>その枝を打ち落したからである。<br>その枝はさきにはヤゼルまでいたり、<br>荒野にまではびこり、<br>そのつるは広がって海を越えた。<br>
<em>16:9</em>それゆえ、わたしはヤゼルと共に、<br>シブマのぶどうの木のために泣く。<br>ヘシボンよ、エレアレよ、<br>わたしは涙をもってあなたを浸す。<br>ときの声が、あなたの果実と、<br>あなたの収穫の上にふりかかってきたからである。<br>
<em>16:10</em>喜びと楽しみとは土肥えた畑から取り去られ、<br>ぶどう畑には歌うことなく、<br>喜び呼ばわることなく、<br>酒ぶねを踏んで酒を絞る者なく、<br>ぶどうの収穫を喜ぶ声はやんだ。<br>
<em>16:11</em>それゆえ、わが魂はモアブのために、<br>わが心はキルハレスのために、<br>琴のように鳴りひびく。</div>
</div>
<div class="para">
<em>16:12</em>モアブが高き所に出て、おのれを疲れさせ、またその聖所にきて祈っても、効果はない。
</div>
<div class="para">
<em>16:13</em>これは主がさきにモアブについて語られたみ言葉である。
<em>16:14</em>しかし今、主は語って言われる、「モアブの栄えはその大いなる群衆にもかかわらず、雇人の年期とひとしく三年のうちに、はずかしめを受け、残れる者はまことに少なく、力がない」。
</div>
</div>
<div class="chapter" id="17">
<h3 class="chapter">第17章</h3>
<div class="para">
<em>17:1</em>ダマスコについての託宣。<div class="quote">見よ、ダマスコは町の姿を失って、荒塚となる。<br>
<em>17:2</em>その町々はとこしえに捨てられ、<br>家畜の群れの住む所となって、伏しやすむが、<br>これを脅かす者はない。<br>
<em>17:3</em>エフライムのとりではすたり、<br>ダマスコの主権はやみ、<br>スリヤの残れる者は、イスラエルの子らの<br>栄光のように消えうせると<br>万軍の主は言われる。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>17:4</em>その日、ヤコブの栄えは衰え、<br>その肥えたる肉はやせ、<br>
<em>17:5</em>あたかも刈入れ人がまだ刈らない麦を集め、<br>かいなをもって穂を刈り取ったあとのように、<br>レパイムの谷で穂を拾い集めたあとのようになる。<br>
<em>17:6</em>オリブの木を打つとき、<br>二つ三つの実をこずえに残し、<br>あるいは四つ五つを<br>みのり多き木の枝に残すように、<br>とり残されるものがあると<br>イスラエルの神、主は言われる。</div>
</div>
<div class="para">
<em>17:7</em>その日、人々はその造り主を仰ぎのぞみ、イスラエルの聖者に目をとめ、
<em>17:8</em>おのれの手のわざである祭壇を仰ぎのぞまず、おのれの指が造ったアシラ像と香の祭壇とに目をとめない。
</div>
<div class="para">
<em>17:9</em>その日、彼らの堅固な町々は昔イスラエルの子らのゆえに捨て去られたヒビびとおよびアモリびとの荒れ跡のように荒れ地になる。
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>17:10</em>これはあなたがたが自分の救の神を忘れ、<br>自分の避け所なる岩を心にとめなかったからだ。<br>それゆえ、あなたがたは美しい植物を植え、<br>異なる神の切り枝をさし、<br>
<em>17:11</em>その植えた日にこれを成長させ、<br>そのまいた朝にこれを花咲かせても、<br>その収穫は悲しみと、いやしがたい苦しみの日にとび去る。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>17:12</em>ああ、多くの民はなりどよめく、<br>海のなりどよめくように、彼らはなりどよめく。<br>ああ、もろもろの国はなりとどろく、<br>大水のなりとどろくように、彼らはなりとどろく。<br>
<em>17:13</em>もろもろの国は多くの水の<br>なりとどろくように、なりとどろく。<br>しかし、神は彼らを懲しめられる。<br>彼らは遠くのがれて、<br>風に吹き去られる山の上のもみがらのように、<br>また暴風にうず巻くちりのように追いやられる。<br>
<em>17:14</em>夕暮には、見よ、恐れがある。<br>まだ夜の明けないうちに彼らはうせた。<br>これはわれわれをかすめる者の受くべき分、<br>われわれを奪う者の引くべきくじである。</div>
</div>
</div>
<div class="chapter" id="18">
<h3 class="chapter">第18章</h3>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>18:1</em>ああ、エチオピヤの川々のかなたなる<br>ぶんぶんと羽音のする国、<br>
<em>18:2</em>この国は葦の船を水にうかべ、<br>ナイル川によって使者をつかわす。<br>とく走る使者よ、行け。<br>川々の分れる国の、たけ高く、膚のなめらかな民、<br>遠近に恐れられる民、<br>力強く、戦いに勝つ民へ行け。<br>
<em>18:3</em>すべて世におるもの、地に住むものよ、<br>山の上に旗の立つときは見よ、<br>ラッパの鳴りひびくときは聞け。<br>
<em>18:4</em>主はわたしにこう言われた、<br>「晴れわたった日光の熱のように、<br>刈入れの熱むして露の多い雲のように、<br>わたしは静かにわたしのすまいから、ながめよう」。<br>
<em>18:5</em>刈入れの前、花は過ぎて<br>その花がぶどうとなって熟すとき、<br>彼はかまをもって、つるを刈り、枝を切り去る。<br>
<em>18:6</em>彼らはみな山の猛禽と、<br>地の獣とに捨て置かれる。<br>猛禽はその上で夏を過ごし、<br>地の獣はみなその上で冬を過ごす。<br>
<em>18:7</em>その時、川々の分れる国の<br>たけ高く、膚のなめらかな民、<br>遠くの者にも近くの者にも恐れられる民、<br>力強く、戦いに勝つ民から<br>万軍の主にささげる贈り物を携えて、<br>万軍の主のみ名のある所、シオンの山に来る。</div>
</div>
</div>
<div class="chapter" id="19">
<h3 class="chapter">第19章</h3>
<div class="para">
<em>19:1</em>エジプトについての託宣。<div class="quote">見よ、主は速い雲に乗って、エジプトに来られる。<br>エジプトのもろもろの偶像は、み前に震えおののき、<br>エジプトびとの心は彼らのうちに溶け去る。<br>
<em>19:2</em>わたしはエジプトびとを奮いたたせて、<br>エジプトびとに逆らわせる。<br>彼らはおのおのその兄弟に敵して戦い、<br>おのおのその隣に敵し、<br>町は町を攻め、国は国を攻める。<br>
<em>19:3</em>エジプトびとの魂は、<br>彼らのうちにうせて、むなしくなる。<br>わたしはその計りごとを破る。<br>彼らは偶像および魔術師、<br>巫子および魔法使に尋ね求める。<br>
<em>19:4</em>わたしはエジプトびとをきびしい主人の手に渡す、<br>荒々しい王が彼らを治めると、<br>主、万軍の主は言われる。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>19:5</em>ナイルの水はつき、川はかれてかわく。<br>
<em>19:6</em>またその運河は臭いにおいを放ち、<br>エジプトのナイルの支流はややに減ってかわき、<br>葦とよしとは枯れはてる。<br>
<em>19:7</em>ナイルのほとり、ナイルの岸には裸の所があり、<br>ナイルのほとりにまいた物はことごとく枯れ、<br>散らされて、うせ去る。<br>
<em>19:8</em>漁夫は嘆き、<br>すべてナイルにつりをたれる者は悲しみ、<br>網を水のおもてにうつ者は衰える。<br>
<em>19:9</em>練った麻で物を造る者と、<br>白布を織る者は恥じる。<br>
<em>19:10</em>国の柱たる者は砕かれ、<br>すべて雇われて働く者は嘆き悲しむ。<br>
<em>19:11</em>ゾアンの君たちは全く愚かであり、<br>パロの賢い議官らは愚かな計りごとをなす。<br>あなたがたはどうしてパロにむかって<br>「わたしは賢い者の子、いにしえの王の子です」と<br>言うことができようか。<br>
<em>19:12</em>あなたの賢い者はどこにおるか。<br>彼らをして、<br>万軍の主がエジプトについて定められたことを<br>あなたに告げ知らしめよ。<br>
<em>19:13</em>ゾアンの君たちは愚かとなり、<br>メンピスの君たちは欺かれ、<br>エジプトのもろもろの部族の隅の石たる彼らは、<br>かえってエジプトを迷わせた。<br>
<em>19:14</em>主は曲った心を彼らのうちに混ぜられた。<br>彼らはエジプトをして、<br>すべてその行うことに迷わせ、<br>あたかも酔った人の物吐くときに<br>よろめくようにさせた。<br>
<em>19:15</em>エジプトに対しては、頭あるいは尾、<br>しゅろの枝あるいは葦が<br>共になしうるわざはない。</div>
</div>
<div class="para">
<em>19:16</em>その日、エジプトびとは女のようになり、万軍の主の彼らの上に振り動かされるみ手の前に恐れおののく。
<em>19:17</em>ユダの地は、エジプトびとに恐れられ、ユダについて語り告げることを聞くエジプトびとはみな、万軍の主がエジプトびとにむかって定められた計りごとのゆえに恐れる。
</div>
<div class="para">
<em>19:18</em>その日、エジプトの地にカナンの国ことばを語り、また万軍の主に誓いを立てる五つの町があり、その中の一つは太陽の町ととなえられる。
</div>
<div class="para">
<em>19:19</em>その日、エジプトの国の中に主をまつる一つの祭壇があり、その境に主をまつる一つの柱がある。
<em>19:20</em>これはエジプトの国で万軍の主に、しるしとなり、あかしとなる。彼らがしえたげる者のゆえに、主に叫び求めるとき、主は救う者をつかわして、彼らを守り助けられる。
<em>19:21</em>主はご自分をエジプトびとに知らせられる。その日、エジプトびとは主を知り、犠牲と供え物とをもって主に仕え、主に誓願をたててこれを果す。
<em>19:22</em>主はエジプトを撃たれる。主はこれを撃たれるが、またいやされる。それゆえ彼らは主に帰る。主は彼らの願いをいれて、彼らをいやされる。
</div>
<div class="para">
<em>19:23</em>その日、エジプトからアッスリヤに通う大路があって、アッスリヤびとはエジプトに、エジプトびとはアッスリヤに行き、エジプトびとはアッスリヤびとと共に主に仕える。
</div>
<div class="para">
<em>19:24</em>その日、イスラエルはエジプトとアッスリヤと共に三つ相並び、全地のうちで祝福をうけるものとなる。
<em>19:25</em>万軍の主は、これを祝福して言われる、「さいわいなるかな、わが民なるエジプト、わが手のわざなるアッスリヤ、わが嗣業なるイスラエル」と。
</div>
</div>
<div class="chapter" id="20">
<h3 class="chapter">第20章</h3>
<div class="para">
<em>20:1</em>アッスリヤの王サルゴンからつかわされた最高司令官がアシドドに来て、これを攻め、これを取った年、――
<em>20:2</em>その時に主はアモツの子イザヤによって語って言われた、「さあ、あなたの腰から荒布を解き、足からくつを脱ぎなさい」。そこでイザヤはそのようにし、裸、はだしで歩いた。――
<em>20:3</em>主は言われた、「わがしもべイザヤは三年の間、裸、はだしで歩き、エジプトとエチオピヤに対するしるしとなり、前ぶれとなったが、
<em>20:4</em>このようにエジプトびとのとりことエチオピヤびとの捕われ人とは、アッスリヤの王に引き行かれて、その若い者も老いた者もみな裸、はだしで、しりをあらわし、エジプトの恥を示す。
<em>20:5</em>彼らはその頼みとしたエチオピヤのゆえに、その誇としたエジプトのゆえに恐れ、かつ恥じる。
<em>20:6</em>その日には、この海べに住む民は言う、『見よ、われわれが頼みとした国、すなわちわれわれがのがれて行って助けを求め、アッスリヤ王から救い出されようとした国はすでにこのとおりである。われわれはどうしてのがれることができようか』と。」
</div>
</div>
<div class="chapter" id="21">
<h3 class="chapter">第21章</h3>
<div class="para">
<em>21:1</em>海の荒野についての託宣。<div class="quote">つむじ風がネゲブを吹き過ぎるように、<br>荒野から、恐るべき地から、来るものがある。<br>
<em>21:2</em>わたしは一つのきびしい幻を示された。<br>かすめ奪う者はかすめ奪い、<br>滅ぼす者は滅ぼす。<br>エラムよ、のぼれ、メデアよ、囲め。<br>わたしはすべての嘆きをやめさせる。<br>
<em>21:3</em>それゆえ、わが腰は激しい痛みに満たされ、<br>出産に臨む女の苦しみのような苦しみが<br>わたしを捕えた。<br>わたしは、かがんで聞くことができず、<br>恐れおののいて見ることができない。<br>
<em>21:4</em>わが心はみだれ惑い、<br>わななき恐れること、はなはだしく、<br>わたしのあこがれたたそがれは<br>変っておののきとなった。<br>
<em>21:5</em>彼らは食卓を設け、<br>じゅうたんを敷いて食い飲みする。<br>もろもろの君よ、立って、盾に油をぬれ。<br>
<em>21:6</em>主はわたしにこう言われた、<br>「行って、見張びとをおき、<br>その見るところを告げさせよ。<br>
<em>21:7</em>馬に乗って二列に並んだ者と、ろばに乗った者と、<br>らくだに乗った者とを彼が見るならば、<br>耳を傾けてつまびらかに聞かせよ」。<br>
<em>21:8</em>その時、見張びとは呼ばわって言った、<br>「主よ、わたしがひねもすやぐらに立ち、<br>夜もすがらわが見張所に立っていると、<br>
<em>21:9</em>見よ、馬に乗って二列に並んだ者がここに来ます」。<br>彼は答えて言った、<br>「倒れた、バビロンは倒れた、<br>その神々の像はことごとく打ち砕かれて<br>地に伏した」。<br>
<em>21:10</em>ああ、踏みにじられたわが民、わが打ち場の子よ、<br>イスラエルの神、万軍の主から<br>わたしが聞いたところのものを<br>あなたがたに告げる。</div>
</div>
<div class="para">
<em>21:11</em>ドマについての託宣。<div class="quote">セイルからわたしに呼ばわる者がある、<br>「夜回りよ、今は夜のなんどきですか、<br>夜回りよ、今は夜のなんどきですか」。<br>
<em>21:12</em>夜回りは言う、<br>「朝がきます、夜もまたきます。<br>もしあなたがたが聞こうと思うならば聞きなさい、<br>また来なさい」。</div>
</div>
<div class="para">
<em>21:13</em>アラビヤについての託宣。<div class="quote">デダンびとの隊商よ、<br>あなたがたはアラビヤの林にやどる。<br>
<em>21:14</em>テマの地に住む民よ、<br>水を携えて、かわいた者を迎え、<br>パンをもって、逃げのがれた者を迎えよ。<br>
<em>21:15</em>彼らはつるぎを避け、抜いたつるぎを避け、<br>張った弓を避け、また激しい戦いを避けて、<br>逃げてきたからである。</div>
</div>
<div class="para">
<em>21:16</em>主はわたしにこう言われた、「雇人の年期のように一年以内にケダルのすべての栄華はつきはてる。
<em>21:17</em>ケダルの子らの勇士で、射手の残る者は少ない」。これはイスラエルの神、主が語られたのである。
</div>
</div>
<div class="chapter" id="22">
<h3 class="chapter">第22章</h3>
<div class="para">
<em>22:1</em>幻の谷についての託宣。<div class="quote">あなたがたはなぜ、みな屋根にのぼったのか。<br>
<em>22:2</em>叫び声で満ちている者、<br>騒がしい都、喜びに酔っている町よ。<br>あなたのうちの殺された者は<br>つるぎで殺されたのではなく、<br>また戦いに倒れたのでもない。<br>
<em>22:3</em>あなたのつかさたちは皆共にのがれて行ったが、<br>弓を捨てて捕えられた。<br>彼らは遠く逃げて行ったが、<br>あなたのうちの見つかった者はみな捕えられた。<br>
<em>22:4</em>それゆえ、わたしは言った、<br>「わたしを顧みてくれるな、<br>わたしはいたく泣き悲しむ。<br>わが民の娘の滅びのために、<br>わたしを慰めようと努めてはならない」。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>22:5</em>万軍の神、主は幻の谷に<br>騒ぎと、踏みにじりと、混乱の日をこさせられる。<br>城壁はくずれ落ち、叫び声は山に聞える。<br>
<em>22:6</em>エラムは箙を負い、<br>戦車と騎兵とをもってきたり、<br>キルは盾をあらわした。<br>
<em>22:7</em>あなたの最も美しい谷は戦車で満ち、<br>騎兵はもろもろの門にむかって立った。<br>
<em>22:8</em>ユダを守るおおいは取り除かれた。</div>
</div>
<div class="para">その日あなたは林の家の武具を仰ぎ望んだ。
<em>22:9</em>またあなたがたはダビデの町の破れの多いのを見、下の池の水を集め、
<em>22:10</em>エルサレムの家を数え、またその家をこわして城壁を築き、
<em>22:11</em>一つの貯水池を二つの城壁の間に造って古池の水をひいた。しかしあなたがたはこの事をなされた者を仰ぎ望まず、この事を昔から計画された者を顧みなかった。
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>22:12</em>その日、万軍の神、主は<br>泣き悲しみ、頭をかぶろにし、<br>荒布をまとうことを命じられたが、<br>
<em>22:13</em>見よ、あなたがたは喜び楽しみ、<br>牛をほふり、羊を殺し、<br>肉を食い、酒を飲んで言う、<br>「われわれは食い、かつ飲もう、<br>明日は死ぬのだから」。<br>
<em>22:14</em>万軍の主はみずからわたしの耳に示された、<br>「まことに、この不義はあなたがたが死ぬまで、<br>ゆるされることはない」と<br>万軍の神、主は言われる。</div>
</div>
<div class="para">
<em>22:15</em>万軍の神、主はこう言われる、「さあ、王の家をつかさどるこの執事セブナに行って言いなさい、
<em>22:16</em>『あなたはここになんの係わりがありますか。あなたはだれの縁故でここに自分のために墓を掘ったのですか。あなたは高い所に墓を掘り、岩をうがって自分のためにすみかを造った。
<em>22:17</em>強い人よ、見よ、主はあなたを激しくなげ倒される。主はあなたを堅くつかまえ、
<em>22:18</em>ぐるぐるまわして、まりのように広々した地に投げられる。主人の家の恥となる者よ、あなたはそこで死に、あなたの華麗な車はそこに残る。
<em>22:19</em>わたしは、あなたをその職から追い、その地位から引きおろす。
<em>22:20</em>その日、わたしは、わがしもべヒルキヤの子エリアキムを呼んで、
<em>22:21</em>あなたの衣を着せ、あなたの帯をしめさせ、あなたの権力を彼の手にゆだねる。彼はエルサレムの民とユダの家との父となる。
<em>22:22</em>わたしはまたダビデの家のかぎを彼の肩に置く。彼が開けば閉じる者なく、彼が閉じれば開く者はない。
<em>22:23</em>わたしは彼を堅い所に打ったくぎのようにする。そして彼はその父の家の誉の座となり、
<em>22:24</em>その父の家のすべての重さは彼の上にかかる。すなわちその子、その孫およびすべての小さい器、鉢からすべてのびんにいたるまでみな、彼の上にかかる』」。
<em>22:25</em>万軍の主は言われる、「その日、堅い所に打ったくぎは抜け、切られて落ちる。その上にかかっている荷もまた取り去られる」と主は語られた。
</div>
</div>
<div class="chapter" id="23">
<h3 class="chapter">第23章</h3>
<div class="para">
<em>23:1</em>ツロについての託宣。<div class="quote">タルシシのもろもろの船よ、泣き叫べ、<br>ツロは荒れすたれて、家なく、<br>船泊まりする港もないからだ。<br>この事はクプロの地から彼らに告げ知らせられる。<br>
<em>23:2</em>海べに住む民よ、<br>シドンの商人よ、もだせ、<br>あなたがたの使者は海を渡り、<br>大いなる水の上にあった。<br>
<em>23:3</em>ツロの収入はシホルの穀物、<br>ナイル川の収穫であった。<br>ツロはもろもろの国びとの商人であった。<br>
<em>23:4</em>シドンよ、恥じよ、<br>海は言った、海の城は言う、<br>「わたしは苦しまず、また産まなかった。<br>わたしは若い男子を養わず、<br>また処女を育てなかった」。<br>
<em>23:5</em>この報道がエジプトに達するとき、<br>彼らはツロについての報道によって、いたく苦しむ。<br>
<em>23:6</em>タルシシに渡れ、<br>海べに住む民よ、泣き叫べ。<br>
<em>23:7</em>これがその起源も古い町、<br>自分の足で移り、遠くにまで移住した町、<br>あなたがたの喜び誇る町なのか。<br>
<em>23:8</em>ツロにむかってこれを定めたのはだれか。<br>ツロは冠を授けた町、<br>その商人は君たち、<br>その貿易業者は地の尊い人々であった。<br>
<em>23:9</em>万軍の主はすべての栄光の誇を汚し、<br>地のすべての尊い者をはずかしめるために<br>これを定められたのだ。<br>
<em>23:10</em>タルシシの娘よ、<br>ナイル川のようにおのが地にあふれよ。<br>もはや束縛するものはない。<br>
<em>23:11</em>主はその手を海の上に伸べて<br>国々を震い動かされた。<br>主はカナンについて詔を出し、<br>そのとりでをこわされた。<br>
<em>23:12</em>主は言われた、<br>「しえたげられた処女シドンの娘よ、<br>あなたはもはや喜ぶことはない。<br>立って、クプロに渡れ、<br>そこでもあなたは安息を得ることはない」。</div>
</div>
<div class="para">
<em>23:13</em>カルデヤびとの国を見よ、アッスリヤではなく、この民がツロを野の獣のすみかに定めた。彼らはやぐらを建て、もろもろの宮殿をこわして荒塚とした。
<div class="quote">
<em>23:14</em>タルシシのもろもろの船よ、泣き叫べ、<br>あなたがたのとりでは荒れすたれたから。</div>
</div>
<div class="para">
<em>23:15</em>その日、ツロはひとりの王のながらえる日と同じく七十年の間忘れられ、七十年終って後、ツロは遊女の歌のようになる、
<div class="quote">
<em>23:16</em>「忘れられた遊女よ、<br>琴を執って町を経めぐり、<br>巧みに弾じ、多くの歌をうたって、<br>人に思い出されよ」。</div>
</div>
<div class="para">
<em>23:17</em>七十年終って後、主はツロを顧みられる。ツロは再び淫行の価を得て、地のおもてにある世のすべての国々と姦淫を行い、
<em>23:18</em>その商品とその価とは主にささげられる。これはたくわえられることなく、積まれることなく、その商品は主の前に住む者のために豊かな食物となり、みごとな衣服となる。
</div>
</div>
<div class="chapter" id="24">
<h3 class="chapter">第24章</h3>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>24:1</em>見よ、主はこの地をむなしくし、<br>これを荒れすたれさせ、これをくつがえして、<br>その民を散らされる。<br>
<em>24:2</em>そして、その民も祭司もひとしく、<br>しもべも主人もひとしく、<br>はしためも主婦もひとしく、<br>買う者も売る者もひとしく、<br>貸す者も借りる者もひとしく、<br>債権者も債務者もひとしく、<br>この事にあう。<br>
<em>24:3</em>地は全くむなしくされ、全くかすめられる。<br>主がこの言葉を告げられたからである。<br>
<em>24:4</em>地は悲しみ、衰え、<br>世はしおれ、衰え、<br>天も地と共にしおれはてる。<br>
<em>24:5</em>地はその住む民の下に汚された。<br>これは彼らが律法にそむき、定めを犯し、<br>とこしえの契約を破ったからだ。<br>
<em>24:6</em>それゆえ、のろいは地をのみつくし、<br>そこに住む者はその罪に苦しみ、<br>また地の民は焼かれて、わずかの者が残される。<br>
<em>24:7</em>新しいぶどう酒は悲しみ、ぶどうはしおれ、<br>心の楽しい者もみな嘆く。<br>
<em>24:8</em>鼓の音は静まり、<br>喜ぶ者の騒ぎはやみ、<br>琴の音もまた静まった。<br>
<em>24:9</em>彼らはもはや歌をうたって酒を飲まず、<br>濃き酒はこれを飲む者に苦くなる。<br>
<em>24:10</em>混乱せる町は破られ、<br>すべての家は閉ざされて、はいることができない。<br>
<em>24:11</em>ちまたには酒の不足のために叫ぶ声があり、<br>すべての喜びは暗くなり、<br>地の楽しみは追いやられた。<br>
<em>24:12</em>町には荒れすたれた所のみ残り、<br>その門もこわされて破れた。<br>
<em>24:13</em>地のうちで、もろもろの民のなかで残るものは、<br>オリブの木の打たれた後の実のように、<br>ぶどうの収穫の終った後にその採り残りを<br>集めるときのようになる。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>24:14</em>彼らは声をあげて喜び歌う。<br>主の威光のゆえに、西から喜び呼ばわる。<br>
<em>24:15</em>それゆえ、東で主をあがめ、<br>海沿いの国々でイスラエルの神、主の名をあがめよ。<br>
<em>24:16</em>われわれは地の果から、さんびの歌を聞いた、<br>「栄光は正しい者にある」と。<br>しかし、わたしは言う、「わたしはやせ衰える、<br>わたしはやせ衰える、わたしはわざわいだ。<br>欺く者はあざむき、<br>欺く者は、はなはだしくあざむく」。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>24:17</em>地に住む者よ、<br>恐れと、落し穴と、わなとはあなたの上にある。<br>
<em>24:18</em>恐れの声をのがれる者は落し穴に陥り、<br>落し穴から出る者はわなに捕えられる。<br>天の窓は開け、地の基が震い動くからである。<br>
<em>24:19</em>地は全く砕け、<br>地は裂け、<br>地は激しく震い、<br>
<em>24:20</em>地は酔いどれのようによろめき、<br>仮小屋のようにゆり動く。<br>そのとがはその上に重く、<br>ついに倒れて再び起きあがることはない。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>24:21</em>その日、主は天において、天の軍勢を罰し、<br>地の上で、地のもろもろの王を罰せられる。<br>
<em>24:22</em>彼らは囚人が土ろうの中に<br>集められるように集められて、<br>獄屋の中に閉ざされ、<br>多くの日を経て後、罰せられる。<br>
<em>24:23</em>こうして万軍の主がシオンの山<br>およびエルサレムで統べ治め、<br>かつその長老たちの前に<br>その栄光をあらわされるので、<br>月はあわて、日は恥じる。</div>
</div>
</div>
<div class="chapter" id="25">
<h3 class="chapter">第25章</h3>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>25:1</em>主よ、あなたはわが神、<br>わたしはあなたをあがめ、み名をほめたたえる。<br>あなたはさきに驚くべきみわざを行い、<br>いにしえから定めた計画を<br>真実をもって行われたから。<br>
<em>25:2</em>あなたは町を石塚とし、堅固な町を荒塚とされた。<br>外国人のやかたは、もはや町ではなく、<br>とこしえに建てられることはない。<br>
<em>25:3</em>それゆえ、強い民はあなたを尊び、<br>あらぶる国々の町はあなたを恐れる。<br>
<em>25:4</em>あなたは貧しい者のとりでとなり、<br>乏しい者の悩みのときのとりでとなり、<br>あらしをさける避け所となり、<br>熱さをさける陰となられた。<br>あらぶる者の及ぼす害は、<br>石がきを打つあらしのごとく、<br>
<em>25:5</em>かわいた地の熱さのようだからである。<br>あなたは外国人の騒ぎをおさえ、<br>雲が陰をもって熱をとどめるように<br>あらぶる者の歌をとどめられる。</div>
</div>
<div class="para">
<em>25:6</em>万軍の主はこの山で、すべての民のために肥えたものをもって祝宴を設け、久しくたくわえたぶどう酒をもって祝宴を設けられる。すなわち髄の多い肥えたものと、よく澄んだ長くたくわえたぶどう酒をもって祝宴を設けられる。
<em>25:7</em>また主はこの山で、すべての民のかぶっている顔おおいと、すべての国のおおっているおおい物とを破られる。
<em>25:8</em>主はとこしえに死を滅ぼし、主なる神はすべての顔から涙をぬぐい、その民のはずかしめを全地の上から除かれる。これは主の語られたことである。
</div>
<div class="para">
<em>25:9</em>その日、人は言う、「見よ、これはわれわれの神である。わたしたちは彼を待ち望んだ。彼はわたしたちを救われる。これは主である。わたしたちは彼を待ち望んだ。わたしたちはその救を喜び楽しもう」と。
</div>
<div class="para">
<em>25:10</em>主の手はこの山にとどまり、モアブは肥だめの中に踏まれるわらのように、おのれの所で踏みにじられる。
<em>25:11</em>彼はその中で泳ぐ物が泳ごうとして手を伸ばすように、その手を伸ばす。しかし主はその高ぶりを、その手の巧みなわざと共に低くされる。
<em>25:12</em>その石がきの高い城郭を主は傾け倒し、地に投げうって、ちりにかえされる。
</div>
</div>
<div class="chapter" id="26">
<h3 class="chapter">第26章</h3>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>26:1</em>その日ユダの国で、この歌をうたう、<br>「われわれは堅固な町をもつ。<br>主は救をその石がきとし、<br>またとりでとされる。<br>
<em>26:2</em>門を開いて、信仰を守る正しい国民を入れよ。<br>
<em>26:3</em>あなたは全き平安をもって<br>こころざしの堅固なものを守られる。<br>彼はあなたに信頼しているからである。<br>
<em>26:4</em>とこしえに主に信頼せよ、<br>主なる神はとこしえの岩だからである。<br>
<em>26:5</em>主は高き所、そびえたつ町に住む者をひきおろし、<br>これを伏させ、これを地に伏させて、<br>ちりにかえされる。<br>
<em>26:6</em>こうして足で踏まれ、<br>貧しい者の足で踏まれ、<br>乏しい者はその上を歩む」。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>26:7</em>正しい者の道は平らである。<br>あなたは正しい者の道をなめらかにされる。<br>
<em>26:8</em>主よ、あなたがさばきをなさる道で、<br>われわれはあなたを待ち望む。<br>われわれの魂の慕うものは、<br>あなたの記念の名である。<br>
<em>26:9</em>わが魂は夜あなたを慕い、<br>わがうちなる霊は、せつにあなたを求める。<br>あなたのさばきが地に行われるとき、<br>世に住む者は正義を学ぶからである。<br>
<em>26:10</em>悪しき者は恵まれても、なお正義を学ばず、<br>正しい地にあっても不義を行い、<br>主の威光を仰ぐことをしない。<br>
<em>26:11</em>主よ、あなたのみ手が高くあがるけれども、<br>彼らはそれを顧みない。<br>どうか、あなたの、おのが民を救われる熱心を<br>彼らに見させて、大いに恥じさせ、<br>火をもってあなたの敵を焼き滅ぼしてください。<br>
<em>26:12</em>主よ、あなたはわれわれのために<br>平和を設けられる。<br>あなたはわれわれのために<br>われわれのすべてのわざをなし遂げられた。<br>
<em>26:13</em>われわれの神、主よ、<br>あなた以外のもろもろの主がわれわれを治めた。<br>しかし、われわれはただ、<br>あなたの名のみをあがめる。<br>
<em>26:14</em>死んだ者はまた生きない。<br>亡霊は生き返らない。<br>それで、あなたは彼らを罰して滅ぼし、<br>彼らの思い出をことごとく消し去られた。<br>
<em>26:15</em>主よ、あなたはこの国民を増し加えられた。<br>あなたはこの国民を増し加えられた。<br>あなたは栄光をあらわされた。<br>あなたは地の境を四方に広げられた。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>26:16</em>主よ、彼らは悩みのとき、あなたに求めた。<br>彼らがあなたの懲しめにあったとき、<br>祈をささげた。<br>
<em>26:17</em>主よ、はらめる女の産むときが近づいて苦しみ、<br>その痛みによって叫ぶように、<br>われわれはあなたのゆえに、そのようであった。<br>
<em>26:18</em>われわれは、はらみ、苦しんだ。<br>しかしわれわれの産んだものは風にすぎなかった。<br>われわれは救を地に施すこともせず、<br>また世に住む者を滅ぼすこともしなかった。<br>
<em>26:19</em>あなたの死者は生き、彼らのなきがらは起きる。<br>ちりに伏す者よ、さめて喜びうたえ。<br>あなたの露は光の露であって、<br>それを亡霊の国の上に降らされるからである。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>26:20</em>さあ、わが民よ、あなたのへやにはいり、<br>あなたのうしろの戸を閉じて、<br>憤りの過ぎ去るまで、しばらく隠れよ。<br>
<em>26:21</em>見よ、主はそのおられる所を出て、<br>地に住む者の不義を罰せられる。<br>地はその上に流された血をあらわして、<br>殺された者を、もはやおおうことがない。</div>
</div>
</div>
<div class="chapter" id="27">
<h3 class="chapter">第27章</h3>
<div class="para">
<em>27:1</em>その日、主は堅く大いなる強いつるぎで逃げるへびレビヤタン、曲りくねるへびレビヤタンを罰し、また海におる龍を殺される。
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>27:2</em>その日<br>「麗しきぶどう畑よ、このことを歌え。<br>
<em>27:3</em>主なるわたしはこれを守り、<br>常に水をそそぎ、<br>夜も昼も守って、そこなう者のないようにする。<br>
<em>27:4</em>わたしは憤らない。<br>いばら、おどろがわたしと戦うなら、<br>わたしは進んでこれを攻め、<br>皆もろともに焼きつくす。<br>
<em>27:5</em>それを望まないなら、わたしの保護にたよって、<br>わたしと和らぎをなせ、<br>わたしと和らぎをなせ」。<br>
<em>27:6</em>後になれば、ヤコブは根をはり、<br>イスラエルは芽を出して花咲き、<br>その実を全世界に満たす。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>27:7</em>主は彼らを撃った者を撃たれたように<br>彼らを撃たれたか。<br>あるいは彼らを殺した者が殺されたように<br>彼らは殺されたか。<br>
<em>27:8</em>あなたは彼らと争って、彼らを追放された。<br>主は東風の日に、その激しい風をもって<br>彼らを移しやられた。<br>
<em>27:9</em>それゆえ、ヤコブの不義は<br>これによって、あがなわれる。<br>これによって結ぶ実は彼の罪を除く。<br>すなわち彼が祭壇のすべての石を<br>砕けた白堊のようにし、<br>アシラ像と香の祭壇とを再び建てないことである。<br>
<em>27:10</em>堅固な町は荒れてさびしく、<br>捨て去られたすまいは荒野のようだ。<br>子牛はそこに草を食い、<br>そこに伏して、その木の枝を裸にする。<br>
<em>27:11</em>その枝が枯れると、折り取られ、<br>女が来てそれを燃やす。<br>これは無知の民だからである。<br>それゆえ、彼らを造られた主は<br>彼らをあわれまれない。<br>彼らを形造られた主は、彼らを恵まれない。</div>
</div>
<div class="para">
<em>27:12</em>イスラエルの人々よ、その日、主はユフラテ川からエジプトの川にいたるまで穀物の穂を打ち落される。そしてあなたがたは、ひとりびとり集められる。
<em>27:13</em>その日大いなるラッパが鳴りひびき、アッスリヤの地にある失われた者と、エジプトの地に追いやられた者とがきて、エルサレムの聖山で主を拝む。
</div>
</div>
<div class="chapter" id="28">
<h3 class="chapter">第28章</h3>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>28:1</em>エフライムの酔いどれの誇る冠と、<br>酒におぼれた者の肥えた谷のかしらにある<br>しぼみゆく花の美しい飾りは、わざわいだ。<br>
<em>28:2</em>見よ、主はひとりの力ある強い者を持っておられる。<br>これはひょうをまじえた暴風のように、<br>破り、そこなう暴風雨のように、<br>大水のあふれみなぎる暴風のように、<br>それを激しく地に投げうつ。<br>
<em>28:3</em>エフライムの酔いどれの誇る冠は<br>足で踏みにじられる。<br>
<em>28:4</em>肥えた谷のかしらにある<br>しぼみゆく花の美しい飾りは、<br>夏前に熟した初なりのいちじくのようだ。<br>人がこれを見ると、取るやいなや、食べてしまう。<br>
<em>28:5</em>その日、万軍の主はその民の残った者のために、<br>栄えの冠となり、麗しい冠となられる。<br>
<em>28:6</em>また、さばきの席に座する者にはさばきの霊となり、<br>戦いを門まで追い返す者には力となられる。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>28:7</em>しかし、これらもまた酒のゆえによろめき、<br>濃き酒のゆえによろける。<br>祭司と預言者とは濃き酒のゆえによろめき、<br>酒のゆえに心みだれ、<br>濃き酒のゆえによろける。<br>彼らは幻を見るときに誤り、<br>さばきを行うときにつまづく。<br>
<em>28:8</em>すべての食卓は吐いた物で満ち、清い所はない。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>28:9</em>「彼はだれに知識を教えようとするのか。<br>だれにおとずれを説きあかそうとするのか。<br>乳をやめ、乳ぶさを離れた者にするのだろうか。<br>
<em>28:10</em>それは教訓に教訓、教訓に教訓、<br>規則に規則、規則に規則。<br>ここにも少し、そこにも少し教えるのだ」。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>28:11</em>否、むしろ主は異国のくちびると、<br>異国の舌とをもってこの民に語られる。<br>
<em>28:12</em>主はさきに彼らに言われた、<br>「これが安息だ、<br>疲れた者に安息を与えよ。<br>これが休息だ」と。<br>しかし彼らは聞こうとはしなかった。<br>
<em>28:13</em>それゆえ、主の言葉は彼らに、<br>教訓に教訓、教訓に教訓、<br>規則に規則、規則に規則、<br>ここにも少し、そこにも少しとなる。<br>これは彼らが行って、うしろに倒れ、<br>破られ、わなにかけられ、捕えられるためである。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>28:14</em>それゆえ、エルサレムにあるこの民を治める<br>あざける人々よ、主の言葉を聞け。<br>
<em>28:15</em>あなたがたは言った、<br>「われわれは死と契約をなし、<br>陰府と協定を結んだ。<br>みなぎりあふれる災の過ぎる時にも、<br>それはわれわれに来ない。<br>われわれはうそを避け所となし、<br>偽りをもって身をかくしたからである」。<br>
<em>28:16</em>それゆえ、主なる神はこう言われる、<br>「見よ、わたしはシオンに<br>一つの石をすえて基とした。<br>これは試みを経た石、<br>堅くすえた尊い隅の石である。<br>『信ずる者はあわてることはない』。<br>
<em>28:17</em>わたしは公平を、測りなわとし、<br>正義を、下げ振りとする。<br>ひょうは偽りの避け所を滅ぼし、<br>水は隠れ場を押し倒す」。<br>
<em>28:18</em>その時あなたがたが死とたてた契約は取り消され、<br>陰府と結んだ協定は行われない。<br>みなぎりあふれる災の過ぎるとき、<br>あなたがたはこれによって打ち倒される。<br>
<em>28:19</em>それが過ぎるごとに、あなたがたを捕える。<br>それは朝な朝な過ぎ、<br>昼も夜も過ぎるからだ。<br>このおとずれを聞きわきまえることは、<br>全くの恐れである。<br>
<em>28:20</em>床が短くて身を伸べることができず、<br>かける夜具が狭くて<br>身をおおうことができないからだ。<br>
<em>28:21</em>主はペラジム山で立たれたように立ちあがり、<br>ギベオンの谷で憤られたように憤られて、<br>その行いをなされる。<br>その行いは類のないものである。<br>またそのわざをなされる。<br>そのわざは異なったものである。<br>
<em>28:22</em>それゆえ、あなたがたはあざけってはならない。<br>さもないと、あなたがたのなわめは、きびしくなる。<br>わたしは主なる万軍の神から<br>全地の上に臨む滅びの宣言を聞いたからである。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>28:23</em>あなたがたは耳を傾けて、わが声を聞くがよい。<br>心してわが言葉を聞くがよい。<br>
<em>28:24</em>種をまくために耕す者は絶えず耕すだろうか。<br>彼は絶えずその地をひらき、<br>まぐわをもって土をならすだろうか。<br>
<em>28:25</em>地のおもてを平らにしたならば、<br>いのんどをまき、クミンをまき、<br>小麦をうねに植え、大麦を定めた所に植え、<br>スペルト麦をその境に植えないだろうか。<br>
<em>28:26</em>これは彼の神が正しく、<br>彼を導き教えられるからである。<br>
<em>28:27</em>いのんどは麦こき板でこかない、<br>クミンはその上に車輪をころがさない。<br>いのんどを打つには棒を用い、<br>クミンを打つにはさおを用いる。<br>
<em>28:28</em>人はパン用の麦を打つとき砕くだろうか、<br>否、それが砕けるまでいつまでも打つことをしない。<br>馬をもってその上に車輪を引かせるとき、<br>それを砕くことをしない。<br>
<em>28:29</em>これもまた万軍の主から出ることである。<br>その計りごとは驚くべく、<br>その知恵はすぐれている。</div>
</div>
</div>
<div class="chapter" id="29">
<h3 class="chapter">第29章</h3>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>29:1</em>ああ、アリエルよ、アリエルよ、<br>ダビデが営をかまえた町よ、<br>年に年を加え、祭をめぐりこさせよ。<br>
<em>29:2</em>その時わたしはアリエルを悩ます。<br>そこには悲しみと嘆きとがあって、<br>アリエルのようなものとなる。<br>
<em>29:3</em>わたしはあなたのまわりに営を構え、<br>やぐらをもってあなたを囲み、<br>塁を築いてあなたを攻める。<br>
<em>29:4</em>その時あなたは深い地の中から物言い、<br>低いちりの中から言葉を出す。<br>あなたの声は亡霊の声のように地から出、<br>あなたの言葉はちりの中から、さえずるようである。<br>
<em>29:5</em>しかしあなたのあだの群れは<br>細かなちりのようになり、<br>あらぶる者の群れは<br>吹き去られるもみがらのようになる。<br>また、にわかに、またたくまに、この事がある。<br>
<em>29:6</em>すなわち万軍の主は雷、地震、大いなる叫び、<br>つむじ風、暴風および焼きつくす火の炎をもって<br>臨まれる。<br>
<em>29:7</em>そしてアリエルを攻めて戦う国々の群れ、<br>すなわちアリエルとその城を攻めて戦い、<br>これを悩ます者はみな<br>夢のように、夜の幻のようになる。<br>
<em>29:8</em>飢えた者が食べることを夢みても、<br>さめると、その飢えがいえないように、<br>あるいは、かわいた者が飲むことを夢みても、<br>さめると、疲れてそのかわきがとまらないように、<br>シオンの山を攻めて戦う国々の群れも<br>そのようになる。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>29:9</em>あなたがたは知覚を失って気が遠くなれ、<br>目がくらんで盲となれ。<br>あなたがたは酔っていよ、しかし酒のゆえではない、<br>よろめけ、しかし濃き酒のゆえではない。<br>
<em>29:10</em>主が深い眠りの霊をあなたがたの上にそそぎ、<br>あなたがたの目である預言者を閉じこめ、<br>あなたがたの頭である先見者を<br>おおわれたからである。</div>
</div>
<div class="para">
<em>29:11</em>それゆえ、このすべての幻は、あなたがたには封じた書物の言葉のようになり、人々はこれを読むことのできる者にわたして、「これを読んでください」と言えば、「これは封じてあるから読むことができない」と彼は言う。
<em>29:12</em>またその書物を読むことのできない者にわたして、「これを読んでください」と言えば、「読むことはできない」と彼は言う。
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>29:13</em>主は言われた、<br>「この民は口をもってわたしに近づき、<br>くちびるをもってわたしを敬うけれども、<br>その心はわたしから遠く離れ、<br>彼らのわたしをかしこみ恐れるのは、<br>そらで覚えた人の戒めによるのである。<br>
<em>29:14</em>それゆえ、見よ、わたしはこの民に、<br>再び驚くべきわざを行う、<br>それは不思議な驚くべきわざである。<br>彼らのうちの賢い人の知恵は滅び、<br>さとい人の知識は隠される」。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>29:15</em>わざわいなるかな、<br>おのが計りごとを主に深く隠す者。<br>彼らは暗い中でわざを行い、<br>「だれがわれわれを見るか、<br>だれがわれわれのことを知るか」と言う。<br>
<em>29:16</em>あなたがたは転倒して考えている。<br>陶器師は粘土と同じものに思われるだろうか。<br>造られた物はそれを造った者について、<br>「彼はわたしを造らなかった」と言い、<br>形造られた物は形造った者について、<br>「彼は知恵がない」と言うことができようか。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>29:17</em>しばらくしてレバノンは変って肥えた畑となり、<br>肥えた畑は林のように<br>思われる時が来るではないか。<br>
<em>29:18</em>その日、耳しいは書物の言葉を聞き、<br>目しいの目はその暗やみから、見ることができる。<br>
<em>29:19</em>柔和な者は主によって新たなる喜びを得、<br>人のなかの貧しい者は<br>イスラエルの聖者によって楽しみを得る。<br>
<em>29:20</em>あらぶる者は絶え、<br>あざける者はうせ、<br>悪を行おうと、おりをうかがう者は、<br>ことごとく断ち滅ぼされるからである。<br>
<em>29:21</em>彼らは言葉によって人を罪に定め、<br>町の門でいさめる者をわなにおとしいれ、<br>むなしい言葉をかまえて正しい者をしりぞける。</div>
</div>
<div class="para">
<em>29:22</em>それゆえ、昔アブラハムをあがなわれた主は、ヤコブの家についてこう言われる、<div class="quote">「ヤコブは、もはやはずかしめを受けず、<br>その顔は、もはや色を失うことはない。<br>
<em>29:23</em>彼の子孫が、その中にわが手のわざを見るとき、<br>彼らはわが名を聖とし、<br>ヤコブの聖者を聖として、<br>イスラエルの神を恐れる。<br>
<em>29:24</em>心のあやまれる者も、悟りを得、<br>つぶやく者も教をうける」。</div>
</div>
</div>
<div class="chapter" id="30">
<h3 class="chapter">第30章</h3>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>30:1</em>主は言われる、<br>「そむける子らはわざわいだ、<br>彼らは計りごとを行うけれども、<br>わたしによってではない。<br>彼らは同盟を結ぶけれども、<br>わが霊によってではない、<br>罪に罪を加えるためだ。<br>
<em>30:2</em>彼らはわが言葉を求めず、<br>エジプトへ下っていって、パロの保護にたより、<br>エジプトの陰に隠れようとする。<br>
<em>30:3</em>それゆえ、パロの保護は<br>かえってあなたがたの恥となり、<br>エジプトの陰に隠れることは<br>あなたがたのはずかしめとなる。<br>
<em>30:4</em>たとい、彼の君たちがゾアンにあり、<br>彼の使者たちがハネスに来ても、<br>
<em>30:5</em>彼らは皆おのれを益することのできない民により、<br>すなわち助けとならず、益とならず、<br>かえって恥となり、はずかしめとなる民によって、<br>恥をかくからである」。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>30:6</em>ネゲブの獣についての託宣。<br>彼らはその富を若いろばの背に負わせ、<br>その宝をらくだの背に負わせて、<br>雌じし、雄じし、まむしおよび飛びかけるへびの出る<br>悩みと苦しみの国を通って、<br>おのれを益することのできない民に行く。<br>
<em>30:7</em>そのエジプトの助けは無益であって、むなしい。<br>それゆえ、わたしはこれを<br>「休んでいるラハブ」と呼んだ。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>30:8</em>いま行って、これを彼らの前で札にしるし、<br>書物に載せ、<br>後の世に伝えて、とこしえにあかしとせよ。<br>
<em>30:9</em>彼らはそむける民、偽りを言う子ら、<br>主の教を聞こうとしない子らだ。<br>
<em>30:10</em>彼らは先見者にむかって「見るな」と言い、<br>預言者にむかっては<br>「正しい事をわれわれに預言するな、<br>耳に聞きよいことを語れ、迷わしごとを預言せよ。<br>
<em>30:11</em>大路を去り、小路をはなれ、<br>イスラエルの聖者について語り聞かすな」と言う。<br>
<em>30:12</em>それゆえ、イスラエルの聖者はこう言われる、<br>「あなたがたはこの言葉を侮り、<br>しえたげと、よこしまとを頼み、<br>これにたよるがゆえに、<br>
<em>30:13</em>この不義はあなたがたには<br>突き出て、くずれ落ちようとする高い石がきの<br>破れのようであって、<br>その倒壊はにわかに、またたくまに来る。<br>
<em>30:14</em>その破れることは陶器師の器を破るように<br>惜しむことなく打ち砕き、<br>その砕けのなかには、炉から火を取り、<br>池から水をくめるほどの、ひとかけらさえ<br>見いだされない」。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>30:15</em>主なる神、イスラエルの聖者はこう言われた、<br>「あなたがたは立ち返って、<br>落ち着いているならば救われ、<br>穏やかにして信頼しているならば力を得る」。<br>しかし、あなたがたはこの事を好まなかった。<br>
<em>30:16</em>かえって、あなたがたは言った、<br>「否、われわれは馬に乗って、とんで行こう」と。<br>それゆえ、あなたがたはとんで帰る。また言った、<br>「われらは速い馬に乗ろう」と。<br>それゆえ、あなたがたを追う者は速い。<br>
<em>30:17</em>ひとりの威嚇によって千人は逃げ、<br>五人の威嚇によってあなたがたは逃げて、<br>その残る者はわずかに<br>山の頂にある旗ざおのように、<br>丘の上にある旗のようになる。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>30:18</em>それゆえ、主は待っていて、<br>あなたがたに恵を施される。<br>それゆえ、主は立ちあがって、<br>あなたがたをあわれまれる。<br>主は公平の神でいらせられる。<br>すべて主を待ち望む者はさいわいである。</div>
</div>
<div class="para">
<em>30:19</em>シオンにおり、エルサレムに住む民よ、あなたはもはや泣くことはない。主はあなたの呼ばわる声に応じて、必ずあなたに恵みを施される。主がそれを聞かれるとき、直ちに答えられる。
<em>30:20</em>たとい主はあなたがたに悩みのパンと苦しみの水を与えられても、あなたの師は再び隠れることはなく、あなたの目はあなたの師を見る。
<em>30:21</em>また、あなたが右に行き、あるいは左に行く時、そのうしろで「これは道だ、これに歩め」と言う言葉を耳に聞く。
<em>30:22</em>その時、あなたがたはしろがねをおおった刻んだ像と、こがねを張った鋳た像とを汚し、これをきたない物のようにまき散らして、これに「去れ」と言う。
</div>
<div class="para">
<em>30:23</em>主はあなたが地にまく種に雨を与え、地の産物なる穀物をくださる。それはおびただしく、かつ豊かである。その日あなたの家畜は広い牧場で草を食べ、
<em>30:24</em>地を耕す牛と、ろばは、シャベルと、くまででより分けて塩を加えた飼料を食べる。
<em>30:25</em>大いなる虐殺の日、やぐらの倒れる時、すべてのそびえたつ山と、すべての高い丘に水の流れる川がある。
<em>30:26</em>さらに主がその民の傷を包み、その打たれた傷をいやされる日には、月の光は日の光のようになり、日の光は七倍となり、七つの日の光のようにになる。
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>30:27</em>見よ、主の名は遠い所から<br>燃える怒りと、立ちあがる濃い煙をもって来る。<br>そのくちびるは憤りで満ち、<br>その舌は焼きつくす火のごとく、<br>
<em>30:28</em>その息はあふれて首にまで達する<br>流れのようであって、<br>滅びのふるいをもってもろもろの国をふるい、<br>また惑わす手綱を<br>もろもろの民のあごにつけるために来る。</div>
</div>
<div class="para">
<em>30:29</em>あなたがたは、聖なる祭を守る夜のように歌をうたう。また笛をならして主の山にきたり、イスラエルの岩なる主にまみえる時のように心に喜ぶ。
<em>30:30</em>主はその威厳ある声を聞かせ、激しい怒りと、焼きつくす火の炎と、豪雨と、暴風と、ひょうとをもってその腕の下ることを示される。
<em>30:31</em>主がそのむちをもって打たれる時、アッスリヤの人々は主の声によって恐れおののく。
<em>30:32</em>主が懲しめのつえを彼らの上に加えられるごとに鼓を鳴らし、琴をひく。主は腕を振りかざして、彼らと戦われる。
<em>30:33</em>焼き場はすでに設けられた。しかも王のために深く広く備えられ、火と多くのたきぎが積まれてある。主の息はこれを硫黄の流れのように燃やす。
</div>
</div>
<div class="chapter" id="31">
<h3 class="chapter">第31章</h3>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>31:1</em>助けを得るためにエジプトに下り、<br>馬にたよる者はわざわいだ。<br>彼らは戦車が多いので、これに信頼し、<br>騎兵がはなはだ強いので、これに信頼する。<br>しかしイスラエルの聖者を仰がず、<br>また主にはかることをしない。<br>
<em>31:2</em>それにもかかわらず、主もまた賢くいらせられ、<br>必ず災をくだし、その言葉を取り消すことなく、<br>立って悪をなす者の家を攻め、<br>また不義を行う者を助ける者を攻められる。<br>
<em>31:3</em>かのエジプトびとは人であって、神ではない。<br>その馬は肉であって、霊ではない。<br>主がみ手を伸ばされるとき、<br>助ける者はつまずき、<br>助けられる者も倒れて、皆ともに滅びる。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>31:4</em>主はわたしにこう言われた、<br>「ししまたは若いししが獲物をつかんで、<br>ほえたけるとき、<br>あまたの羊飼が呼び出されて、これにむかっても、<br>その声によって驚かず、<br>その叫びによって恐れないように、<br>万軍の主は下ってきて、<br>シオンの山およびその丘で戦われる。<br>
<em>31:5</em>鳥がひなを守るように、<br>万軍の主はエルサレムを守り、<br>これを守って救い、これを惜しんで助けられる」。</div>
</div>
<div class="para">
<em>31:6</em>イスラエルの人々よ、主に帰れ。あなたがたは、はなはだしく主にそむいた。
<em>31:7</em>その日、あなたがたは自分の手で造って罪を犯したしろがねの偶像と、こがねの偶像をめいめい投げすてる。
<div class="quote">
<em>31:8</em>「アッスリヤびとはつるぎによって倒れる、<br>人のつるぎではない。<br>つるぎが彼らを滅ぼす、<br>人のつるぎではない。<br>彼らはつるぎの前から逃げ去り、<br>その若い者は奴隷の働きをしいられる。<br>
<em>31:9</em>彼らの岩は恐れによって過ぎ去り、<br>その君たちはあわて、旗をすてて逃げ去る」。<br>これは主の言葉である。<br>主の火はシオンにあり、その炉はエルサレムにある。</div>
</div>
</div>
<div class="chapter" id="32">
<h3 class="chapter">第32章</h3>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>32:1</em>見よ、ひとりの王が<br>正義をもって統べ治め、<br>君たちは公平をもってつかさどり、<br>
<em>32:2</em>おのおの風をさける所、<br>暴風雨をのがれる所のようになり、<br>かわいた所にある水の流れのように、<br>疲れた地にある大きな岩の陰のようになる。<br>
<em>32:3</em>こうして、見る者の目は開かれ、<br>聞く者の耳はよく聞き、<br>
<em>32:4</em>気短な者の心は悟る知識を得、<br>どもりの舌はたやすく、<br>あざやかに語ることができる。<br>
<em>32:5</em>愚かな者は、もはや尊い人と呼ばれることなく、<br>悪人はもはや、りっぱな人と言われることはない。<br>
<em>32:6</em>それは愚かな者は愚かなことを語り、<br>その心は不義をたくらみ、よこしまを行い、<br>主について誤ったことを語り、<br>飢えた者の望みを満たさず、<br>かわいた者の飲み物を奪い取るからである。<br>
<em>32:7</em>悪人の行いは悪い。<br>彼は悪い計りごとをめぐらし、<br>偽りの言葉をもって貧しい者をおとしいれ、<br>乏しい者が正しいことを語っても、<br>なお、これをおとしいれる。<br>
<em>32:8</em>しかし尊い人は尊いことを語り、<br>つねに尊いことを行う。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>32:9</em>安んじている女たちよ、起きて、わが声を聞け。<br>思い煩いなき娘たちよ、わが言葉に耳を傾けよ。<br>
<em>32:10</em>思い煩いなき女たちよ、<br>一年あまりの日をすぎて、<br>あなたがたは震えおののく。<br>ぶどうの収穫がむなしく、<br>実を取り入れる時が来ないからだ。<br>
<em>32:11</em>安んじている女たちよ、震え恐れよ。<br>思い煩いなき女たちよ、震えおののけ。<br>衣を脱ぎ、裸になって腰に荒布をまとえ。<br>
<em>32:12</em>良き畑のため、<br>実り豊かなぶどうの木のために胸を打て。<br>
<em>32:13</em>いばら、おどろの生えているわが民の地のため、<br>喜びに満ちている町にある<br>すべての喜びの家のために胸を打て。<br>
<em>32:14</em>宮殿は捨てられ、にぎわった町は荒れすたれ、<br>丘と、やぐらとは、とこしえにほら穴となり、<br>野のろばの楽しむ所、<br>羊の群れの牧場となるからである。<br>
<em>32:15</em>しかし、ついには霊が上から<br>われわれの上にそそがれて、<br>荒野は良き畑となり、<br>良き畑は林のごとく見られるようになる。<br>
<em>32:16</em>その時、公平は荒野に住み、<br>正義は良き畑にやどる。<br>
<em>32:17</em>正義は平和を生じ、<br>正義の結ぶ実はとこしえの平安と信頼である。<br>
<em>32:18</em>わが民は平和の家におり、<br>安らかなすみかにおり、<br>静かな休み所におる。<br>
<em>32:19</em>しかし林はことごとく切り倒され、<br>町もことごとく倒される。<br>
<em>32:20</em>すべての水のほとりに種をまき、<br>牛およびろばを自由に放ちおくあなたがたは、<br>さいわいである。</div>
</div>
</div>
<div class="chapter" id="33">
<h3 class="chapter">第33章</h3>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>33:1</em>わざわいなるかな、<br>おのれ自ら滅ぼされないのに、人を滅ぼし、<br>だれも欺かないのに人を欺く者よ。<br>あなたが滅ぼすことをやめたとき、<br>あなたは滅ぼされ、<br>あなたが欺くことを終えたとき、<br>あなたは欺かれる。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>33:2</em>主よ、われわれをお恵みください、<br>われわれはあなたを待ち望む。<br>朝ごとに、われわれの腕となり、<br>悩みの時に、救となってください。<br>
<em>33:3</em>鳴りとどろく声によって、もろもろの民は逃げ去り、<br>あなたが立ちあがられると、<br>もろもろの国は散らされる。<br>
<em>33:4</em>青虫が物を集めるようにぶんどり品は集められ、<br>いなごのとびつどうように、<br>人々はその上にとびつどう。<br>
<em>33:5</em>主は高くいらせられ、高い所に住まわれる。<br>主はシオンに公平と正義とを満たされる。<br>
<em>33:6</em>また主は救と知恵と知識を豊かにして、<br>あなたの代を堅く立てられる。<br>主を恐れることはその宝である。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>33:7</em>見よ、勇士たちは外にあって叫び、<br>平和の使者はいたく嘆く。<br>
<em>33:8</em>大路は荒れすたれて、旅びとは絶え、<br>契約は破られ、証人は軽んぜられ、<br>人を顧みることがない。<br>
<em>33:9</em>地は嘆き衰え、<br>レバノンは恥じて枯れ、<br>シャロンは荒野のようになり、<br>バシャンとカルメルはその葉を落す。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>33:10</em>主は言われる、<br>「今わたしは起きよう、いま立ちあがろう、<br>いま自らを高くしよう。<br>
<em>33:11</em>あなたがたは、もみがらをはらみ、わらを産む。<br>あなたがたの息は火となって、<br>あなたがたを食いつくす。<br>
<em>33:12</em>もろもろの民は焼かれて石灰のようになり、いばらが切られて火に燃やされたようになる」。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>33:13</em>あなたがた遠くにいる者よ、<br>わたしがおこなったことを聞け。<br>あなたがた近くにいる者よ、<br>わが大能を知れ。<br>
<em>33:14</em>シオンの罪びとは恐れに満たされ、<br>おののきは神を恐れない者を捕えた。<br>「われわれのうち、だれが<br>焼きつくす火の中におることができよう。<br>われわれのうち、だれが<br>とこしえの燃える火の中におることができよう」。<br>
<em>33:15</em>正しく歩む者、正直に語る者、<br>しえたげて得た利をいやしめる者、<br>手を振って、まいないを取らない者、<br>耳をふさいで血を流す謀略を聞かない者、<br>目を閉じて悪を見ない者、<br>
<em>33:16</em>このような人は高い所に住み、<br>堅い岩はそのとりでとなり、<br>そのパンは与えられ、その水は絶えることがない。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>33:17</em>あなたの目は麗しく飾った王を見、<br>遠く広い国を見る。<br>
<em>33:18</em>あなたの心はかの恐ろしかった事を思い出す。<br>「数を調べた者はどこにいるか。<br>みつぎを量った者はどこにいるか。<br>やぐらを数えた者はどこにいるか」。<br>
<em>33:19</em>あなたはもはや高慢な民を見ない。<br>かの民の言葉はあいまいで、聞きとりがたく、<br>その舌はどもって、悟りがたい。<br>
<em>33:20</em>定めの祭の町シオンを見よ。<br>あなたの目は平和なすまい、<br>移されることのない幕屋エルサレムを見る。<br>その杭はとこしえに抜かれず、<br>その綱は、ひとすじも断たれることはない。<br>
<em>33:21</em>主は威厳をもってかしこにいまし、<br>われわれのために広い川と流れのある所となり、<br>その中には、こぐ舟も入らず、<br>大きな船も過ぎることはない。<br>
<em>33:22</em>主はわれわれのさばき主、<br>主はわれわれのつかさ、<br>主はわれわれの王であって、われわれを救われる。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>33:23</em>あなたの船綱は解けて、<br>帆柱のもとを結びかためることができず、<br>帆を張ることもできない。<br>その時多くの獲物とぶんどり品は分けられ、<br>足なえまでも獲物を取る。<br>
<em>33:24</em>そこに住む者のうちには、<br>「わたしは病気だ」と言う者はなく、<br>そこに住む民はその罪がゆるされる。</div>
</div>
</div>
<div class="chapter" id="34">
<h3 class="chapter">第34章</h3>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>34:1</em>もろもろの国よ、近づいて聞け。<br>もろもろの民よ、耳を傾けよ。<br>地とそれに満ちるもの、<br>世界とそれから出るすべてのものよ、聞け。<br>
<em>34:2</em>主はすべての国にむかって怒り、<br>そのすべての軍勢にむかって憤り、<br>彼らをことごとく滅ぼし、<br>彼らをわたして、ほふらせられた。<br>
<em>34:3</em>彼らは殺されて投げすてられ、<br>その死体の悪臭は立ちのぼり、<br>山々はその血で溶けて流れる。<br>
<em>34:4</em>天の万象は衰え、<br>もろもろの天は巻物のように巻かれ、<br>その万象はぶどうの木から葉の落ちるように、<br>いちじくの木から葉の落ちるように落ちる。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>34:5</em>わたしのつるぎは天において憤りをもって酔った。<br>見よ、これはエドムの上にくだり、<br>わたしが滅びに定めた民の上にくだって、<br>これをさばく。<br>
<em>34:6</em>主のつるぎは血で満ち、脂肪で肥え、<br>小羊とやぎの血、<br>雄羊の腎臓の脂肪で肥えている。<br>主がボズラで犠牲の獣をほふり、<br>エドムの地で大いに殺されたからである。<br>
<em>34:7</em>野牛は彼らと共にほふり場にくだり、<br>子牛は力ある雄牛と共にくだる。<br>その国は血で酔い、<br>その土は脂肪で肥やされる。<br>
<em>34:8</em>主はあだをかえす日をもち、<br>シオンの訴えのために報いられる年を<br>もたれるからである。<br>
<em>34:9</em>エドムのもろもろの川は変って樹脂となり、<br>その土は変って硫黄となり、<br>その地は変って燃える樹脂となって、<br>
<em>34:10</em>夜も昼も消えず、<br>その煙は、とこしえに立ちのぼる。<br>これは世々荒れすたれて、<br>とこしえまでもそこを通る者はない。<br>
<em>34:11</em>たかと、やまあらしとがそこをすみかとし、<br>ふくろうと、からすがそこに住む。<br>主はその上に荒廃をきたらせる測りなわを張り、<br>尊い人々の上に混乱を起す下げ振りをさげられる。<br>
<em>34:12</em>人々はこれを名づけて「国なき所」といい、<br>その君たちは皆うせてなくなる。<br>
<em>34:13</em>そのとりでの上には、いばらが生え、<br>その城には、いらくさと、あざみとが生え、<br>山犬のすみか、だちょうのおる所となる。<br>
<em>34:14</em>野の獣はハイエナと出会い、<br>鬼神はその友を呼び、<br>夜の魔女もそこに降りてきて、休み所を得る。<br>
<em>34:15</em>ふくろうはそこに巣をつくって卵を産み、<br>それをかえして、そのひなを翼の陰に集める。<br>とびもまた、おのおのその連れ合いと共に、<br>そこに集まる。<br>
<em>34:16</em>あなたがたは主の書をつまびらかに<br>たずねて、これを読め。<br>これらのものは一つも欠けることなく、<br>また一つもその連れ合いを欠くものはない。<br>これは主の口がこれを命じ、<br>その霊が彼らを集められたからである。<br>
<em>34:17</em>主は彼らのためにくじを引き、<br>手ずから測りなわをもって、この地を分け与え、<br>長く彼らに所有させ、<br>世々ここに住まわせられる。</div>
</div>
</div>
<div class="chapter" id="35">
<h3 class="chapter">第35章</h3>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>35:1</em>荒野と、かわいた地とは楽しみ、<br>さばくは喜びて花咲き、さふらんのように、<br>
<em>35:2</em>さかんに花咲き、<br>かつ喜び楽しみ、かつ歌う。<br>これにレバノンの栄えが与えられ、<br>カルメルおよびシャロンの麗しさが与えられる。<br>彼らは主の栄光を見、われわれの神の麗しさを見る。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>35:3</em>あなたがたは弱った手を強くし、<br>よろめくひざを健やかにせよ。<br>
<em>35:4</em>心おののく者に言え、<br>「強くあれ、恐れてはならない。<br>見よ、あなたがたの神は報復をもって臨み、<br>神の報いをもってこられる。<br>神は来て、あなたがたを救われる」と。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>35:5</em>その時、目しいの目は開かれ、<br>耳しいの耳はあけられる。<br>
<em>35:6</em>その時、足なえは、しかのように飛び走り、<br>おしの舌は喜び歌う。<br>それは荒野に水がわきいで、<br>さばくに川が流れるからである。<br>
<em>35:7</em>焼けた砂は池となり、<br>かわいた地は水の源となり、<br>山犬の伏したすみかは、<br>葦、よしの茂りあう所となる。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>35:8</em>そこに大路があり、<br>その道は聖なる道ととなえられる。<br>汚れた者はこれを通り過ぎることはできない、<br>愚かなる者はそこに迷い入ることはない。<br>
<em>35:9</em>そこには、ししはおらず、<br>飢えた獣も、その道にのぼることはなく、<br>その所でこれに会うことはない。<br>ただ、あがなわれた者のみ、そこを歩む。<br>
<em>35:10</em>主にあがなわれた者は帰ってきて、<br>その頭に、とこしえの喜びをいただき、<br>歌うたいつつ、シオンに来る。<br>彼らは楽しみと喜びとを得、<br>悲しみと嘆きとは逃げ去る。</div>
</div>
</div>
<div class="chapter" id="36">
<h3 class="chapter">第36章</h3>
<div class="para">
<em>36:1</em>ヒゼキヤ王の第十四年に、アッスリヤの王セナケリブが上ってきて、ユダのすべての堅固な町々を攻め取った。
<em>36:2</em>アッスリヤの王はラキシからラブシャケをエルサレムにつかわし、大軍を率いてヒゼキヤ王のもとへ行かせた。ラブシャケは布さらしの野へ行く大路に沿う、上の池の水道のかたわらに立った。
<em>36:3</em>この時ヒルキヤの子である宮内卿エリアキム、書記官セブナおよびアサフの子である史官ヨアが彼の所に出てきた。
</div>
<div class="para">
<em>36:4</em>ラブシャケは彼らに言った、「ヒゼキヤに言いなさい、『大王アッスリヤの王はこう仰せられる、あなたが頼みとする者は何か。
<em>36:5</em>口先だけの言葉が戦争をする計略と力だと考えるのか。あなたは今だれを頼んで、わたしにそむいたのか。
<em>36:6</em>見よ、あなたはかの折れかけている葦のつえエジプトを頼みとしているが、それは人が寄りかかるとき、その人の手を刺し通す。エジプトの王パロはすべて寄り頼む者にそのようにするのだ。
<em>36:7</em>しかし、あなたがもし「われわれはわれわれの神、主を頼む」とわたしに言うならば、ヒゼキヤがユダとエルサレムに告げて、「あなたがたはこの祭壇の前で礼拝しなければならない」と言って除いたのは、その神の高き所と祭壇ではなかったのか。
<em>36:8</em>さあ、今わたしの主君アッスリヤの王とかけをせよ。もしあなたの方に乗る人があるならば、わたしは馬二千頭を与えよう。
<em>36:9</em>あなたはエジプトを頼み、戦車と騎兵を請い求めているが、わたしの主君の家来のうちの最も小さい一隊長でさえ、どうして撃退することができようか。
<em>36:10</em>わたしがこの国を滅ぼすために上ってきたのは、主の許しなしでしたことであろうか。主はわたしに、この国へ攻め上って、これを滅ぼせと言われたのだ』」。
</div>
<div class="para">
<em>36:11</em>その時、エリアキム、セブナおよびヨアはラブシャケに言った、「どうぞ、アラム語でしもべたちに話してください。わたしたちはそれがわかるからです。城壁の上にいる民の聞いているところで、わたしたちにユダヤの言葉で話さないでください」。
<em>36:12</em>しかしラブシャケは言った、「わたしの主君は、あなたの主君とあなたにだけでなく、城壁の上に座している人々にも、この言葉を告げるために、わたしをつかわされたのではないか。彼らをも、あなたがたと共に自分の糞尿を食い飲みするに至らせるためではないか」。
</div>
<div class="para">
<em>36:13</em>そしてラブシャケは立ちあがり、ユダヤの言葉で大声に呼ばわって言った、「大王、アッスリヤの王の言葉を聞け。
<em>36:14</em>王はこう仰せられる、『あなたがたはヒゼキヤに欺かれてはならない。彼はあなたがたを救い出すことはできない。
<em>36:15</em>ヒゼキヤが、主は必ずわれわれを救い出される。この町はアッスリヤの王の手に陥ることはない、と言っても、あなたがたは主を頼みとしてはならない』。
<em>36:16</em>あなたがたはヒゼキヤの言葉を聞いてはならない。アッスリヤの王はこう仰せられる、『あなたがたは、わたしと和ぼくして、わたしに降服せよ。そうすれば、あなたがたはめいめい自分のぶどうの実を食べ、めいめい自分のいちじくの実を食べ、めいめい自分の井戸の水を飲むことができる。
<em>36:17</em>やがて、わたしが来て、あなたがたを一つの国へ連れて行く。それは、あなたがたの国のように穀物とぶどう酒の多い地、パンとぶどう畑の多い地だ。
<em>36:18</em>ヒゼキヤが、主はわれわれを救われる、と言って、あなたがたを惑わすことのないように気をつけよ。もろもろの国の神々のうち、どの神がその国をアッスリヤの王の手から救ったか。
<em>36:19</em>ハマテやアルパデの神々はどこにいるか。セパルワイムの神々はどこにいるか。彼らはサマリヤをわたしの手から救い出したか。
<em>36:20</em>これらの国々のすべての神々のうちに、だれかその国をわたしの手から救い出した者があるか。主がどうしてエルサレムをわたしの手から救い出すことができよう』」。
</div>
<div class="para">
<em>36:21</em>しかし民は黙ってひと言も答えなかった。王が命じて、「彼に答えてはならない」と言っておいたからである。
<em>36:22</em>その時ヒルキヤの子である宮内卿エリアキム、書記官セブナおよびアサフの子である史官ヨアは衣を裂き、ヒゼキヤのもとに来て、ラブシャケの言葉を彼に告げた。
</div>
</div>
<div class="chapter" id="37">
<h3 class="chapter">第37章</h3>
<div class="para">
<em>37:1</em>ヒゼキヤ王はこれを聞いて、衣を裂き、荒布を身にまとって主の宮に入り、
<em>37:2</em>宮内卿エリアキムと書記官セブナおよび祭司のうちの年長者たちに荒布をまとわせて、アモツの子預言者イザヤのもとへつかわした。
<em>37:3</em>彼らはイザヤに言った、「ヒゼキヤはこう言います、『きょうは悩みと責めと、はずかしめの日です。胎児がまさに生れようとして、これを産み出す力がないのです。
<em>37:4</em>あなたの神、主は、あるいはラブシャケのもろもろの言葉を聞かれたかもしれません。彼はその主君アッスリヤの王につかわされて、生ける神をそしりました。あなたの神、主はその言葉を聞いて、あるいは責められるかもしれません。それゆえ、この残っている者のために祈をささげてください』」。
</div>
<div class="para">
<em>37:5</em>ヒゼキヤ王の家来たちがイザヤのもとに来たとき、
<em>37:6</em>イザヤは彼らに言った、「あなたがたの主君にこう言いなさい、『主はこう仰せられる、アッスリヤの王のしもべらが、わたしをそしった言葉を聞いて恐れるには及ばない。
<em>37:7</em>見よ、わたしは一つの霊を彼のうちに送って、一つのうわさを聞かせ、彼を自分の国へ帰らせて、その国でつるぎに倒れさせる』」。
</div>
<div class="para">
<em>37:8</em>ラブシャケは引き返して、アッスリヤの王がリブナを攻めているところへ行った。彼は王がラキシを去ったことを聞いたからである。
<em>37:9</em>この時、アッスリヤの王はエチオピヤの王テルハカについて、「彼はあなたと戦うために出てきた」と人々が言うのを聞いた。彼はこのことを聞いて、使者をヒゼキヤにつかわそうとして言った、
<em>37:10</em>「ユダの王ヒゼキヤにこう言いなさい、『あなたは、エルサレムはアッスリヤの王の手に陥ることはない、と言うあなたの信頼する神に欺かれてはならない。
<em>37:11</em>あなたはアッスリヤの王たちが、国々にしたこと、彼らを全く滅ぼしたことを聞いている。どうしてあなたは救われることができようか。
<em>37:12</em>わたしの先祖たちはゴザン、ハラン、レゼフおよびテラサルにいたエデンの人々を滅ぼしたが、その国々の神々は彼らを救ったか。
<em>37:13</em>ハマテの王、アルパデの王、セパルワイムの町の王、ヘナの王およびイワの王はどこにいるか』」。
</div>
<div class="para">
<em>37:14</em>ヒゼキヤは使者の手から手紙を受け取ってそれを読み、主の宮にのぼっていって、主の前にそれをひろげ、
<em>37:15</em>主に祈って言った、
<em>37:16</em>「ケルビムの上に座しておられるイスラエルの神、万軍の主よ、地のすべての国のうちで、ただあなただけが神でいらせられます。あなたは天と地を造られました。
<em>37:17</em>主よ、耳を傾けて聞いてください。主よ、目を開いて見てください。セナケリブが生ける神をそしるために書き送った言葉を聞いてください。
<em>37:18</em>主よ、まことにアッスリヤの王たちは、もろもろの民とその国々を滅ぼし、
<em>37:19</em>またその神々を火に投げ入れました。それらは神ではなく、人の手の造ったもので、木や石だから滅ぼされたのです。
<em>37:20</em>今われわれの神、主よ、どうぞ、われわれを彼の手から救い出してください。そうすれば地の国々は皆あなただけが主でいらせられることを知るようになるでしょう」。
</div>
<div class="para">
<em>37:21</em>その時アモツの子イザヤは人をつかわしてヒゼキヤに言った、「イスラエルの神、主はこう言われる、あなたはアッスリヤの王セナケリブについてわたしに祈ったゆえ、
<em>37:22</em>主が彼について語られた言葉はこうである、<div class="quote">『処女であるシオンの娘は<br>あなたを侮り、あなたをあざける。<br>エルサレムの娘は、あなたのうしろで頭を振る。<br>
<em>37:23</em>あなたはだれをそしり、だれをののしったのか。<br>あなたはだれにむかって声をあげ、<br>目を高くあげたのか。<br>イスラエルの聖者にむかってだ。<br>
<em>37:24</em>あなたは、そのしもべらによって<br>主をそしって言った、<br>「わたしは多くの戦車を率いて山々の頂にのぼり、<br>レバノンの奥へ行き、<br>たけの高い香柏と、最も良いいとすぎを切り倒し、<br>またその果の高地へ行き、その密林にはいった。<br>
<em>37:25</em>わたしは井戸を掘って水を飲んだ。<br>わたしは足の裏で<br>エジプトのすべての川を踏みからした」。<br>
<em>37:26</em>あなたは聞かなかったか、<br>昔わたしがそれを定めたことを。<br>堅固な町々を、<br>あなたがこわして荒塚とすることも、<br>いにしえの日から、わたしが計画して<br>今それをきたらせたのだ。<br>
<em>37:27</em>そのうちに住む民は力弱く、<br>おののき恥をいだいて、<br>野の草のように、青菜のようになり、<br>育たずに枯れる屋根の草のようになった。<br>
<em>37:28</em>わたしは、あなたの座すること、出入りすること、<br>また、わたしにむかって<br>怒り叫んだことをも知っている。<br>
<em>37:29</em>あなたが、わたしにむかって怒り叫んだことと、<br>あなたの高慢な言葉とがわたしの耳にはいったゆえ、<br>わたしは、あなたの鼻に輪をつけ、<br>あなたの口にくつわをはめて、<br>あなたを、もと来た道へ引きもどす』。</div>
</div>
<div class="para">
<em>37:30</em>あなたに与えるしるしはこれである。すなわち、ことしは落ち穂から生えた物を食べ、二年目には、またその落ち穂から生えた物を食べ、三年目には種をまき、刈り入れ、ぶどう畑を作ってその実を食べる。
<em>37:31</em>ユダの家の、のがれて残る者は再び下に根を張り、上に実を結ぶ。
<em>37:32</em>すなわち残る者はエルサレムから出、のがれる物はシオンの山から出る。万軍の主の熱心がこれをなし遂げられる。
</div>
<div class="para">
<em>37:33</em>それゆえ、主はアッスリヤの王について、こう仰せられる、『彼はこの町にこない。またここに矢を放たない。また盾をもって、その前にこない。また塁を築いて、これを攻めることはない。
<em>37:34</em>彼は来た道から帰って、この町に、はいることはない、と主は言う。
<em>37:35</em>わたしは自分のため、また、わたしのしもべダビデのために町を守って、これを救おう』」。
</div>
<div class="para">
<em>37:36</em>主の使が出て、アッスリヤびとの陣営で十八万五千人を撃ち殺した。人々が朝早く起きて見ると、彼らは皆死体となっていた。
<em>37:37</em>アッスリヤの王セナケリブは立ち去り、帰っていってニネベにいたが、
<em>37:38</em>その神ニスロクの神殿で礼拝していた時、その子らのアデラン・メレクとシャレゼルがつるぎをもって彼を殺し、ともにアララテの地へ逃げていった。それで、その子エサルハドンが代って王となった。
</div>
</div>
<div class="chapter" id="38">
<h3 class="chapter">第38章</h3>
<div class="para">
<em>38:1</em>そのころヒゼキヤは病気になって死にかかっていた。アモツの子預言者イザヤは彼のところに来て言った、「主はこう仰せられます、あなたの家を整えておきなさい。あなたは死にます、生きながらえることはできません」。
<em>38:2</em>そこでヒゼキヤは顔を壁に向けて主に祈って言った、
<em>38:3</em>「ああ主よ、願わくは、わたしが真実と真心とをもって、み前に歩み、あなたの目にかなう事を行ったのを覚えてください」。そしてヒゼキヤはひどく泣いた。
<em>38:4</em>その時主の言葉がイザヤに臨んで言った、
<em>38:5</em>「行って、ヒゼキヤに言いなさい、『あなたの父ダビデの神、主はこう仰せられます、「わたしはあなたの祈を聞いた。あなたの涙を見た。見よ、わたしはあなたのよわいを十五年増そう。
<em>38:6</em>わたしはあなたと、この町とをアッスリヤの王の手から救い、この町を守ろう」。
</div>
<div class="para">
<em>38:7</em>主が約束されたことを行われることについては、あなたは主からこのしるしを得る。
<em>38:8</em>見よ、わたしはアハズの日時計の上に進んだ日影を十度退かせよう』」。すると日時計の上に進んだ日影が十度退いた。
</div>
<div class="para">
<em>38:9</em>次の言葉はユダの王ヒゼキヤが病気になって、その病気が直った後、書きしるしたものである。
<div class="quote">
<em>38:10</em>わたしは言った、わたしはわが一生のまっ盛りに、<br>去らなければならない。<br>わたしは陰府の門に閉ざされて、<br>わが残りの年を失わなければならない。<br>
<em>38:11</em>わたしは言った、わたしは生ける者の地で、<br>主を見ることなく、<br>世におる人々のうちに、再び人を見ることがない。<br>
<em>38:12</em>わがすまいは抜き去られて<br>羊飼の天幕のようにわたしを離れる。<br>わたしは、わが命を機織りのように巻いた。<br>彼はわたしを機から切り離す。<br>あなたは朝から夕までの間に、わたしを滅ぼされる。<br>
<em>38:13</em>わたしは朝まで叫んだ。<br>主はししのようにわが骨をことごとく砕かれる。<br>あなたは朝から夕までの間に、わたしを滅ぼされる。<br>
<em>38:14</em>わたしは、つばめのように、つるのように鳴き、<br>はとのようにうめき、<br>わが目は上を見て衰える。<br>主よ、わたしは、しえたげられています。<br>どうか、わたしの保証人となってください。<br>
<em>38:15</em>しかし、わたしは何を言うことができましょう。<br>主はわたしに言われ、<br>かつ、自らそれをなされたからである。<br>わが魂の苦しみによって、<br>わが眠りはことごとく逃げ去った。<br>
<em>38:16</em>主よ、これらの事によって人は生きる。<br>わが霊の命もすべてこれらの事による。<br>どうか、わたしをいやし、<br>わたしを生かしてください。<br>
<em>38:17</em>見よ、わたしが大いなる苦しみにあったのは、<br>わが幸福のためであった。<br>あなたはわが命を引きとめて、<br>滅びの穴をまぬかれさせられた。<br>これは、あなたがわが罪をことごとく、<br>あなたの後に捨てられたからである。<br>
<em>38:18</em>陰府は、あなたに感謝することはできない。<br>死はあなたをさんびすることはできない。<br>墓にくだる者は、<br>あなたのまことを望むことはできない。<br>
<em>38:19</em>ただ生ける者、生ける者のみ、<br>きょう、わたしがするように、あなたに感謝する。<br>父はあなたのまことを、その子らに知らせる。<br>
<em>38:20</em>主はわたしを救われる。<br>われわれは世にあるかぎり、<br>主の家で琴にあわせて、歌をうたおう。</div>
</div>
<div class="para">
<em>38:21</em>イザヤは言った、「干いちじくのひとかたまりを持ってこさせ、それを腫物につけなさい。そうすれば直るでしょう」。
<em>38:22</em>ヒゼキヤはまた言った、「わたしが主の家に上ることについて、どんなしるしがありましょうか」。
</div>
</div>
<div class="chapter" id="39">
<h3 class="chapter">第39章</h3>
<div class="para">
<em>39:1</em>そのころ、バラダンの子であるバビロンの王メロダク・バラダンは手紙と贈り物を持たせて使節をヒゼキヤにつかわした。これはヒゼキヤが病気であったが、直ったことを聞いたからである。
<em>39:2</em>ヒゼキヤは彼らを喜び迎えて、宝物の蔵、金銀、香料、貴重な油および武器倉、ならびにその倉庫にあるすべての物を彼らに見せた。家にある物も、国にある物も、ヒゼキヤが彼らに見せない物は一つもなかった。
<em>39:3</em>時に預言者イザヤはヒゼキヤ王のもとに来て言った、「あの人々は何を言いましたか。どこから来たのですか」。ヒゼキヤは言った、「彼らは遠い国から、すなわちバビロンから来たのです」。
<em>39:4</em>イザヤは言った、「彼らは、あなたの家で何を見ましたか」。ヒゼキヤは答えて言った、「彼らは、わたしの家にある物を皆見ました。倉庫のうちには、彼らに見せなかった物は一つもありません」。
</div>
<div class="para">
<em>39:5</em>そこでイザヤはヒゼキヤに言った、「万軍の主の言葉を聞きなさい。
<em>39:6</em>見よ、すべてあなたの家にある物およびあなたの先祖たちが今日までに積みたくわえた物がバビロンに運び去られる日が来る。何も残るものはない、と主が言われます。
<em>39:7</em>また、あなたの身から出るあなたの子たちも連れ去られて、バビロンの王の宮殿において宦官となるでしょう」。
<em>39:8</em>ヒゼキヤはイザヤに言った、「あなたが言われた主の言葉は結構です」。彼は「少なくとも自分が世にある間は太平と安全があるだろう」と思ったからである。
</div>
</div>
<div class="chapter" id="40">
<h3 class="chapter">第40章</h3>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>40:1</em>あなたがたの神は言われる、<br>「慰めよ、わが民を慰めよ、<br>
<em>40:2</em>ねんごろにエルサレムに語り、これに呼ばわれ、<br>その服役の期は終り、<br>そのとがはすでにゆるされ、<br>そのもろもろの罪のために二倍の刑罰を<br>主の手から受けた」。<br>
<em>40:3</em>呼ばわる者の声がする、<br>「荒野に主の道を備え、<br>さばくに、われわれの神のために、<br>大路をまっすぐにせよ。<br>
<em>40:4</em>もろもろの谷は高くせられ、<br>もろもろの山と丘とは低くせられ、<br>高底のある地は平らになり、<br>険しい所は平地となる。<br>
<em>40:5</em>こうして主の栄光があらわれ、<br>人は皆ともにこれを見る。<br>これは主の口が語られたのである」。<br>
<em>40:6</em>声が聞える、「呼ばわれ」。<br>わたしは言った、「なんと呼ばわりましょうか」。<br>「人はみな草だ。<br>その麗しさは、すべて野の花のようだ。<br>
<em>40:7</em>主の息がその上に吹けば、<br>草は枯れ、花はしぼむ。<br>たしかに人は草だ。<br>
<em>40:8</em>草は枯れ、花はしぼむ。<br>しかし、われわれの神の言葉は<br>とこしえに変ることはない」。<br>
<em>40:9</em>よきおとずれをシオンに伝える者よ、<br>高い山にのぼれ。<br>よきおとずれをエルサレムに伝える者よ、<br>強く声をあげよ、<br>声をあげて恐れるな。<br>ユダのもろもろの町に言え、<br>「あなたがたの神を見よ」と。<br>
<em>40:10</em>見よ、主なる神は大能をもってこられ、<br>その腕は世を治める。<br>見よ、その報いは主と共にあり、<br>そのはたらきの報いは、そのみ前にある。<br>
<em>40:11</em>主は牧者のようにその群れを養い、<br>そのかいなに小羊をいだき、<br>そのふところに入れて携えゆき、<br>乳を飲ませているものをやさしく導かれる。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>40:12</em>だれが、たなごころをもって海をはかり、<br>指を伸ばして天をはかり、<br>地のちりを枡に盛り、<br>てんびんをもって、もろもろの山をはかり、<br>はかりをもって、もろもろの丘をはかったか。<br>
<em>40:13</em>だれが、主の霊を導き、<br>その相談役となって主を教えたか。<br>
<em>40:14</em>主はだれと相談して悟りを得たか。<br>だれが主に公義の道を教え、<br>知識を教え、悟りの道を示したか。<br>
<em>40:15</em>見よ、もろもろの国民は、おけの一しずくのように、<br>はかりの上のちりのように思われる。<br>見よ、主は島々を、ほこりのようにあげられる。<br>
<em>40:16</em>レバノンは、たきぎに足りない、<br>またその獣は、燔祭に足りない。<br>
<em>40:17</em>主のみ前には、もろもろの国民は無きにひとしい。<br>彼らは主によって、無きもののように、<br>むなしいもののように思われる。<br>
<em>40:18</em>それで、あなたがたは神をだれとくらべ、<br>どんな像と比較しようとするのか。<br>
<em>40:19</em>偶像は細工人が鋳て造り、<br>鍛冶が、金をもって、それをおおい、<br>また、これがために銀の鎖を造る。<br>
<em>40:20</em>貧しい者は、ささげ物として<br>朽ちることのない木を選び、<br>巧みな細工人を求めて、<br>動くことのない像を立たせる。<br>
<em>40:21</em>あなたがたは知らなかったか。<br>あなたがたは聞かなかったか。<br>初めから、あなたがたに伝えられなかったか。<br>地の基をおいた時から、<br>あなたがたは悟らなかったか。<br>
<em>40:22</em>主は地球のはるか上に座して、<br>地に住む者をいなごのように見られる。<br>主は天を幕のようにひろげ、<br>これを住むべき天幕のように張り、<br>
<em>40:23</em>また、もろもろの君を無きものとせられ、<br>地のつかさたちを、むなしくされる。<br>
<em>40:24</em>彼らは、かろうじて植えられ、かろうじてまかれ、<br>その幹がかろうじて地に根をおろしたとき、<br>神がその上を吹かれると、彼らは枯れて、<br>わらのように、つむじ風にまき去られる。<br>
<em>40:25</em>聖者は言われる、<br>「それで、あなたがたは、わたしをだれにくらべ、<br>わたしは、だれにひとしいというのか」。<br>
<em>40:26</em>目を高くあげて、<br>だれが、これらのものを創造したかを見よ。<br>主は数をしらべて万軍をひきいだし、<br>おのおのをその名で呼ばれる。<br>その勢いの大いなるにより、<br>またその力の強きがゆえに、<br>一つも欠けることはない。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>40:27</em>ヤコブよ、何ゆえあなたは、<br>「わが道は主に隠れている」と言うか。<br>イスラエルよ、何ゆえあなたは、<br>「わが訴えはわが神に顧みられない」と言うか。<br>
<em>40:28</em>あなたは知らなかったか、<br>あなたは聞かなかったか。<br>主はとこしえの神、地の果の創造者であって、<br>弱ることなく、また疲れることなく、<br>その知恵ははかりがたい。<br>
<em>40:29</em>弱った者には力を与え、<br>勢いのない者には強さを増し加えられる。<br>
<em>40:30</em>年若い者も弱り、かつ疲れ、<br>壮年の者も疲れはてて倒れる。<br>
<em>40:31</em>しかし主を待ち望む者は新たなる力を得、<br>わしのように翼をはって、のぼることができる。<br>走っても疲れることなく、<br>歩いても弱ることはない。</div>
</div>
</div>
<div class="chapter" id="41">
<h3 class="chapter">第41章</h3>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>41:1</em>海沿いの国々よ、<br>静かにして、わたしに聞け。<br>もろもろの民よ、力を新たにし、近づいて語れ。<br>われわれは共にさばきの座に近づこう。<br>
<em>41:2</em>だれが東から人を起したか。<br>彼はその行く所で勝利をもって迎えられ、<br>もろもろの国を征服し、<br>もろもろの王を足の下に踏みつけ、<br>そのつるぎをもって彼らをちりのようにし、<br>その弓をもって吹き去られる、わらのようにする。<br>
<em>41:3</em>彼はこれらの者を追って<br>その足のまだ踏んだことのない道を、<br>安らかに過ぎて行く。<br>
<em>41:4</em>だれがこの事を行ったか、なしたか。<br>だれが初めから世々の人々を呼び出したか。<br>主なるわたしは初めであって、<br>また終りと共にあり、わたしがそれだ。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>41:5</em>海沿いの国々は見て恐れ、<br>地の果は、おののき、近づいて来た。<br>
<em>41:6</em>彼らはおのおのその隣を助け、<br>その兄弟たちに言う、「勇気を出せよ」と。<br>
<em>41:7</em>細工人は鍛冶を励まし、<br>鎚をもって平らかにする者は金敷きを打つ者に、<br>はんだづけについて言う、「それは良い」と。<br>また、くぎをもってそれを堅くし、<br>動くことのないようにする。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>41:8</em>しかし、わがしもべイスラエルよ、<br>わたしの選んだヤコブ、<br>わが友アブラハムの子孫よ、<br>
<em>41:9</em>わたしは地の果から、あなたを連れてき、<br>地のすみずみから、あなたを召して、<br>あなたに言った、「あなたは、わたしのしもべ、<br>わたしは、あなたを選んで捨てなかった」と。<br>
<em>41:10</em>恐れてはならない、わたしはあなたと共にいる。<br>驚いてはならない、わたしはあなたの神である。<br>わたしはあなたを強くし、あなたを助け、<br>わが勝利の右の手をもって、あなたをささえる。<br>
<em>41:11</em>見よ、あなたにむかって怒る者はみな、<br>はじて、あわてふためき、<br>あなたと争う者は滅びて無に帰する。<br>
<em>41:12</em>あなたは、あなたと争う者を尋ねても見いださず、<br>あなたと戦う者は全く消えうせる。<br>
<em>41:13</em>あなたの神、主なるわたしは<br>あなたの右の手をとってあなたに言う、<br>「恐れてはならない、わたしはあなたを助ける」。<br>
<em>41:14</em>主は言われる、「虫にひとしいヤコブよ、<br>イスラエルの人々よ、恐れてはならない。<br>わたしはあなたを助ける。<br>あなたをあがなう者はイスラエルの聖者である。<br>
<em>41:15</em>見よ、わたしはあなたを鋭い歯のある<br>新しい打穀機とする。<br>あなたは山を打って、これを粉々にし、<br>丘をもみがらのようにする。<br>
<em>41:16</em>あなたがあおげば風はこれを巻き去り、<br>つむじ風がこれを吹き散らす。<br>あなたは主によって喜び<br>イスラエルの聖者によって誇る。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>41:17</em>貧しい者と乏しい者とは水を求めても、水がなく、<br>その舌がかわいて焼けているとき、<br>主なるわたしは彼らに答える、<br>イスラエルの神なるわたしは<br>彼らを捨てることがない。<br>
<em>41:18</em>わたしは裸の山に川を開き、<br>谷の中に泉をいだし、<br>荒野を池となし、かわいた地を水の源とする。<br>
<em>41:19</em>わたしは荒野に香柏、アカシヤ、<br>ミルトスおよびオリブの木を植え、<br>さばくに、いとすぎ、すずかけ、<br>からまつをともに置く。<br>
<em>41:20</em>人々はこれを見て、主のみ手がこれをなし、<br>イスラエルの聖者がこれを創造されたことを知り、<br>かつ、よく考えて共に悟る」。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>41:21</em>主は言われる、<br>「あなたがたの訴えを出せ」と。<br>ヤコブの王は言われる、<br>「あなたがたの証拠を持ってこい。<br>
<em>41:22</em>それを持ってきて、起るべき事をわれわれに告げよ。<br>さきの事どもの何であるかを告げよ。<br>われわれはよく考えて、その結末を知ろう。<br>あるいはきたるべき事をわれわれに聞かせよ。<br>
<em>41:23</em>この後きたるべき事をわれわれに告げよ。<br>われわれはあなたがたが神であることを<br>知るであろう。<br>幸をくだし、あるいは災をくだせ。<br>われわれは驚いて肝をつぶすであろう。<br>
<em>41:24</em>見よ、あなたがたは無きものである。<br>あなたがたのわざはむなしい。<br>あなたがたを選ぶ者は憎むべき者である」。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>41:25</em>わたしはひとりを起して北からこさせ、<br>わが名を呼ぶ者を東からこさせる。<br>彼はもろもろのつかさを踏みつけて<br>しっくいのようにし、<br>陶器師が粘土を踏むようにする。<br>
<em>41:26</em>だれか、初めからこの事を<br>われわれに告げ知らせたか。<br>だれか、あらかじめわれわれに告げて、<br>「彼は正しい」と言わせたか。<br>ひとりもこの事を告げた者はない。<br>ひとりも聞かせた者はない。<br>ひとりもあなたがたの言葉を聞いた者はない。<br>
<em>41:27</em>わたしははじめてこれをシオンに告げた。<br>わたしは、よきおとずれを伝える者を<br>エルサレムに与える。<br>
<em>41:28</em>しかし、わたしが見ると、ひとりもない。<br>彼らのなかには、わたしが尋ねても<br>答えうる助言者はひとりもない。<br>
<em>41:29</em>見よ、彼らはみな人を惑わす者であって、<br>そのわざは無きもの、<br>その鋳た像はむなしき風である。</div>
</div>
</div>
<div class="chapter" id="42">
<h3 class="chapter">第42章</h3>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>42:1</em>わたしの支持するわがしもべ、<br>わたしの喜ぶわが選び人を見よ。<br>わたしはわが霊を彼に与えた。<br>彼はもろもろの国びとに道をしめす。<br>
<em>42:2</em>彼は叫ぶことなく、声をあげることなく、<br>その声をちまたに聞えさせず、<br>
<em>42:3</em>また傷ついた葦を折ることなく、<br>ほのぐらい灯心を消すことなく、<br>真実をもって道をしめす。<br>
<em>42:4</em>彼は衰えず、落胆せず、<br>ついに道を地に確立する。<br>海沿いの国々はその教を待ち望む。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>42:5</em>天を創造してこれをのべ、<br>地とそれに生ずるものをひらき、<br>その上の民に息を与え、<br>その中を歩む者に霊を与えられる<br>主なる神はこう言われる、<br>
<em>42:6</em>「主なるわたしは正義をもってあなたを召した。<br>わたしはあなたの手をとり、あなたを守った。<br>わたしはあなたを民の契約とし、<br>もろもろの国びとの光として与え、<br>
<em>42:7</em>盲人の目を開き、<br>囚人を地下の獄屋から出し、<br>暗きに座する者を獄屋から出させる。<br>
<em>42:8</em>わたしは主である、これがわたしの名である。<br>わたしはわが栄光をほかの者に与えない。<br>また、わが誉を刻んだ像に与えない。<br>
<em>42:9</em>見よ、さきに預言した事は起った。<br>わたしは新しい事を告げよう。<br>その事がまだ起らない前に、<br>わたしはまず、あなたがたに知らせよう」。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>42:10</em>主にむかって新しき歌をうたえ。<br>地の果から主をほめたたえよ。<br>海とその中に満ちるもの、<br>海沿いの国々とそれに住む者とは鳴りどよめ。<br>
<em>42:11</em>荒野とその中のもろもろの町と、<br>ケダルびとの住むもろもろの村里は声をあげよ。<br>セラの民は喜びうたえ。<br>山の頂から呼ばわり叫べ。<br>
<em>42:12</em>栄光を主に帰し、<br>その誉を海沿いの国々で語り告げよ。<br>
<em>42:13</em>主は勇士のように出て行き、<br>いくさ人のように熱心を起し、<br>ときの声をあげて呼ばわり、<br>その敵にむかって大能をあらわされる。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>42:14</em>わたしは久しく声を出さず、<br>黙して、おのれをおさえていた。<br>今わたしは子を産もうとする女のように叫ぶ。<br>わたしの息は切れ、かつあえぐ。<br>
<em>42:15</em>わたしは山と丘とを荒し、<br>すべての草を枯らし、<br>もろもろの川を島とし、<br>もろもろの池をからす。<br>
<em>42:16</em>わたしは目しいを<br>彼らのまだ知らない大路に行かせ、<br>まだ知らない道に導き、<br>暗きをその前に光とし、<br>高低のある所を平らにする。<br>わたしはこれらの事をおこなって彼らを捨てない。<br>
<em>42:17</em>刻んだ偶像に頼み、鋳た偶像にむかって<br>「あなたがたは、われわれの神である」と言う者は<br>退けられて、大いに恥をかく。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>42:18</em>耳しいよ、聞け。<br>目しいよ、目を注いで見よ。<br>
<em>42:19</em>だれか、わがしもべのほかに目しいがあるか。<br>だれか、わがつかわす使者のような耳しいがあるか。<br>だれか、わが献身者のような目しいがあるか。<br>だれか、主のしもべのような目しいがあるか。<br>
<em>42:20</em>彼は多くの事を見ても認めず、<br>耳を開いても聞かない。<br>
<em>42:21</em>主はおのれの義のために、<br>その教を大いなるものとし、<br>かつ光栄あるものとすることを喜ばれた。<br>
<em>42:22</em>ところが、この民はかすめられ、奪われて、<br>みな穴の中に捕われ、獄屋の中に閉じこめられた。<br>彼らはかすめられても助ける者がなく、<br>物を奪われても「もどせ」と言う者もない。<br>
<em>42:23</em>あなたがたのうち、<br>だれがこの事に耳を傾けるだろうか、<br>だれが心をもちいて<br>後のためにこれを聞くだろうか。<br>
<em>42:24</em>ヤコブを奪わせた者はだれか。<br>かすめる者にイスラエルをわたした者はだれか。<br>これは主ではないか。<br>われわれは主にむかって罪を犯し、<br>その道に歩むことを好まず、<br>またその教に従うことを好まなかった。<br>
<em>42:25</em>それゆえ、主は激しい怒りと、<br>猛烈な戦いを彼らに臨ませられた。<br>それが火のように周囲に燃えても、彼らは悟らず、<br>彼らを焼いても、心にとめなかった。</div>
</div>
</div>
<div class="chapter" id="43">
<h3 class="chapter">第43章</h3>
<div class="para">
<em>43:1</em>ヤコブよ、あなたを創造された主はこう言われる。イスラエルよ、あなたを造られた主はいまこう言われる、<div class="quote">「恐れるな、わたしはあなたをあがなった。<br>わたしはあなたの名を呼んだ、<br>あなたはわたしのものだ。<br>
<em>43:2</em>あなたが水の中を過ぎるとき、<br>わたしはあなたと共におる。<br>川の中を過ぎるとき、<br>水はあなたの上にあふれることがない。<br>あなたが火の中を行くとき、焼かれることもなく、<br>炎もあなたに燃えつくことがない。<br>
<em>43:3</em>わたしはあなたの神、主である、<br>イスラエルの聖者、あなたの救主である。<br>わたしはエジプトを与えて<br>あなたのあがないしろとし、<br>エチオピヤとセバとをあなたの代りとする。<br>
<em>43:4</em>あなたはわが目に尊く、重んぜられるもの、<br>わたしはあなたを愛するがゆえに、<br>あなたの代りに人を与え、<br>あなたの命の代りに民を与える。<br>
<em>43:5</em>恐れるな、わたしはあなたと共におる。<br>わたしは、あなたの子孫を東からこさせ、<br>西からあなたを集める。<br>
<em>43:6</em>わたしは北にむかって『ゆるせ』と言い、<br>南にむかって『留めるな』と言う。<br>わが子らを遠くからこさせ、<br>わが娘らを地の果からこさせよ。<br>
<em>43:7</em>すべてわが名をもってとなえられる者をこさせよ。<br>わたしは彼らをわが栄光のために創造し、<br>これを造り、これを仕立てた」。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>43:8</em>目があっても目しいのような民、<br>耳があっても耳しいのような民を連れ出せ。<br>
<em>43:9</em>国々はみな相つどい、<br>もろもろの民は集まれ。<br>彼らのうち、だれがこの事を告げ、<br>さきの事どもを、<br>われわれに聞かせることができるか。<br>その証人を出して、おのれの正しい事を証明させ、<br>それを聞いて「これは真実だ」と言わせよ。<br>
<em>43:10</em>主は言われる、「あなたがたはわが証人、<br>わたしが選んだわがしもべである。<br>それゆえ、あなたがたは知って、わたしを信じ、<br>わたしが主であることを悟ることができる。<br>わたしより前に造られた神はなく、<br>わたしより後にもない。<br>
<em>43:11</em>ただわたしのみ主である。<br>わたしのほかに救う者はいない。<br>
<em>43:12</em>わたしはさきに告げ、かつ救い、かつ聞かせた。<br>あなたがたのうちには、ほかの神はなかった。<br>あなたがたはわが証人である」と主は言われる。<br>
<em>43:13</em>「わたしは神である、今より後もわたしは主である。<br>わが手から救い出しうる者はない。<br>わたしがおこなえば、<br>だれが、これをとどめることができよう」。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>43:14</em>あなたがたをあがなう者、イスラエルの聖者、<br>主はこう言われる、<br>「あなたがたのために、<br>わたしは人をバビロンにつかわし、<br>すべての貫の木をこわし、<br>カルデヤびとの喜びの声を嘆きに変らせる。<br>
<em>43:15</em>わたしは主、あなたがたの聖者、<br>イスラエルの創造者、あなたがたの王である」。<br>
<em>43:16</em>海のなかに大路を設け、<br>大いなる水の中に道をつくり、<br>
<em>43:17</em>戦車および馬、軍勢および兵士を出てこさせ、<br>これを倒して起きることができないようにし、<br>絶え滅ぼして、灯心の消えうせるようにされる<br>主はこう言われる、<br>
<em>43:18</em>「あなたがたは、さきの事を思い出してはならない、<br>また、いにしえのことを考えてはならない。<br>
<em>43:19</em>見よ、わたしは新しい事をなす。<br>やがてそれは起る、<br>あなたがたはそれを知らないのか。<br>わたしは荒野に道を設け、<br>さばくに川を流れさせる。<br>
<em>43:20</em>野の獣はわたしをあがめ、<br>山犬および、だちょうもわたしをあがめる。<br>わたしが荒野に水をいだし、<br>さばくに川を流れさせて、<br>わたしの選んだ民に飲ませるからだ。<br>
<em>43:21</em>この民は、わが誉を述べさせるために<br>わたしが自分のために造ったものである。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>43:22</em>ところがヤコブよ、あなたはわたしを呼ばなかった。<br>イスラエルよ、あなたはわたしをうとんじた。<br>
<em>43:23</em>あなたは燔祭の羊をわたしに持ってこなかった。<br>また犠牲をもってわたしをあがめなかった。<br>わたしは供え物の重荷をあなたに負わせなかった。<br>また乳香をもってあなたを煩わさなかった。<br>
<em>43:24</em>あなたは金を出して、<br>わたしのために菖蒲を買わず、<br>犠牲の脂肪を供えて、わたしを飽かせず、<br>かえって、あなたの罪の重荷をわたしに負わせ、<br>あなたの不義をもって、わたしを煩わせた。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>43:25</em>わたしこそ、わたし自身のために<br>あなたのとがを消す者である。<br>わたしは、あなたの罪を心にとめない。<br>
<em>43:26</em>あなたは、自分の正しいことを証明するために<br>自分のことを述べて、わたしに思い出させよ。<br>われわれは共に論じよう。<br>
<em>43:27</em>あなたの遠い先祖は罪を犯し、<br>あなたの仲保者らはわたしにそむいた。<br>
<em>43:28</em>それゆえ、わたしは聖所の君たちを汚し、<br>ヤコブを全き滅びにわたし、<br>イスラエルをののしらしめた。</div>
</div>
</div>
<div class="chapter" id="44">
<h3 class="chapter">第44章</h3>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>44:1</em>しかし、わがしもべヤコブよ、<br>わたしが選んだイスラエルよ、いま聞け。<br>
<em>44:2</em>あなたを造り、あなたを胎内に形造り、<br>あなたを助ける主はこう言われる、<br>『わがしもべヤコブよ、<br>わたしが選んだエシュルンよ、恐れるな。<br>
<em>44:3</em>わたしは、かわいた地に水を注ぎ、<br>干からびた地に流れをそそぎ、<br>わが霊をあなたの子らにそそぎ、<br>わが恵みをあなたの子孫に与えるからである。<br>
<em>44:4</em>こうして、彼らは水の中の草のように、<br>流れのほとりの柳のように、生え育つ。<br>
<em>44:5</em>ある人は「わたしは主のものである」と言い、<br>ある人はヤコブの名をもって自分を呼び、<br>またある人は「主のものである」と手にしるして、<br>イスラエルの名をもって自分を呼ぶ』」。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>44:6</em>主、イスラエルの王、イスラエルをあがなう者、<br>万軍の主はこう言われる、<br>「わたしは初めであり、わたしは終りである。<br>わたしのほかに神はない。<br>
<em>44:7</em>だれかわたしに等しい者があるか。<br>その者はそれを示し、またそれを告げ、<br>わが前に言いつらねよ。<br>だれが、昔から、きたるべき事を聞かせたか。<br>その者はやがて成るべき事をわれわれに告げよ。<br>
<em>44:8</em>恐れてはならない、またおののいてはならない。<br>わたしはこの事を昔から、<br>あなたがたに聞かせなかったか、<br>また告げなかったか。<br>あなたがたはわが証人である。<br>わたしのほかに神があるか。<br>わたしのほかに岩はない。<br>わたしはそのあることを知らない」。</div>
</div>
<div class="para">
<em>44:9</em>偶像を造る者は皆むなしく、彼らの喜ぶところのものは、なんの役にも立たない。その信者は見ることもなく、また知ることもない。ゆえに彼らは恥を受ける。
<em>44:10</em>だれが神を造り、またなんの役にも立たない偶像を鋳たか。
<em>44:11</em>見よ、その仲間は皆恥を受ける。その細工人らは人間にすぎない。彼らが皆集まって立つとき、恐れて共に恥じる。
</div>
<div class="para">
<em>44:12</em>鉄の細工人はこれを造るのに炭の火をもって細工し、鎚をもってこれを造り、強い腕をもってこれを鍛える。彼が飢えれば力は衰え、水を飲まなければ疲れはてる。
<em>44:13</em>木の細工人は線を引き、鉛筆でえがき、かんなで削り、コンパスでえがき、それを人の美しい姿にしたがって人の形に造り、家の中に安置する。
<em>44:14</em>彼は香柏を切り倒し、あるいはかしの木、あるいはかしわの木を選んで、それを林の木の中で強く育てる。あるいは香柏を植え、雨にそれを育てさせる。
<em>44:15</em>こうして人はその一部をとって、たきぎとし、これをもって身を暖め、またこれを燃やしてパンを焼き、また他の一部を神に造って拝み、刻んだ像に造ってその前にひれ伏す。
<em>44:16</em>その半ばは火に燃やし、その半ばで肉を煮て食べ、あるいは肉をあぶって食べ飽き、また身を暖めて言う、「ああ、暖まった、熱くなった」と。
<em>44:17</em>そしてその余りをもって神を造って偶像とし、その前にひれ伏して拝み、これに祈って、「あなたはわが神だ、わたしを救え」と言う。
</div>
<div class="para">
<em>44:18</em>これらの人は知ることがなく、また悟ることがない。その目はふさがれて見ることができず、その心は鈍くなって悟ることができない。
<em>44:19</em>その心のうちに思うことをせず、また知識がなく、悟りがないために、「わたしはその半ばを火に燃やし、またその炭火の上でパンを焼き、肉をあぶって食べ、その残りの木をもって憎むべきものを造るのか。木のはしくれの前にひれ伏すのか」と言う者もない。
<em>44:20</em>彼は灰を食い、迷った心に惑わされて、おのれを救うことができず、また「わが右の手に偽りがあるではないか」と言わない。
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>44:21</em>ヤコブよ、イスラエルよ、これらの事を心にとめよ。<br>あなたはわがしもべだから。<br>わたしはあなたを造った、<br>あなたはわがしもべだ。<br>イスラエルよ、わたしはあなたを忘れない。<br>
<em>44:22</em>わたしはあなたのとがを雲のように吹き払い、<br>あなたの罪を霧のように消した。<br>わたしに立ち返れ、<br>わたしはあなたをあがなったから。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>44:23</em>天よ、歌え、主がこの事をなされたから。<br>地の深き所よ、呼ばわれ。<br>もろもろの山よ、林およびその中のもろもろの木よ、<br>声を放って歌え。<br>主はヤコブをあがない、<br>イスラエルのうちに栄光をあらわされたから。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>44:24</em>あなたをあがない、<br>あなたを胎内に造られた主はこう言われる、<br>「わたしは主である。わたしはよろずの物を造り、<br>ただわたしだけが天をのべ、地をひらき、<br>――だれがわたしと共にいたか――<br>
<em>44:25</em>偽る物のしるしをむなしくし、<br>占う者を狂わせ、<br>賢い者をうしろに退けて、その知識を愚かにする。<br>
<em>44:26</em>わたしは、わがしもべの言葉を遂げさせ、<br>わが使の計りごとを成らせ、<br>エルサレムについては、<br>『これは民の住む所となる』と言い、<br>ユダのもろもろの町については、<br>『ふたたび建てられる、<br>わたしはその荒れ跡を興そう』と言い、<br>
<em>44:27</em>また淵については、『かわけ、わたしは<br>あなたのもろもろの川を干す』と言い、<br>
<em>44:28</em>またクロスについては、『彼はわが牧者、<br>わが目的をことごとくなし遂げる』と言い、<br>エルサレムについては、<br>『ふたたび建てられる』と言い、<br>神殿については、<br>『あなたの基がすえられる』と言う」。</div>
</div>
</div>
<div class="chapter" id="45">
<h3 class="chapter">第45章</h3>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>45:1</em>わたしはわが受膏者クロスの<br>右の手をとって、<br>もろもろの国をその前に従わせ、<br>もろもろの王の腰を解き、<br>とびらをその前に開かせて、<br>門を閉じさせない、と言われる主は<br>その受膏者クロスにこう言われる、<br>
<em>45:2</em>「わたしはあなたの前に行って、<br>もろもろの山を平らにし、<br>青銅のとびらをこわし、鉄の貫の木を断ち切り、<br>
<em>45:3</em>あなたに、暗い所にある財宝と、<br>ひそかな所に隠した宝物とを与えて、<br>わたしは主、あなたの名を呼んだ<br>イスラエルの神であることをあなたに知らせよう。<br>
<em>45:4</em>わがしもべヤコブのために、<br>わたしの選んだイスラエルのために、<br>わたしはあなたの名を呼んだ。<br>あなたがわたしを知らなくても、<br>わたしはあなたに名を与えた。<br>
<em>45:5</em>わたしは主である。<br>わたしのほかに神はない、ひとりもない。<br>あなたがわたしを知らなくても、<br>わたしはあなたを強くする。<br>
<em>45:6</em>これは日の出る方から、また西の方から、<br>人々がわたしのほかに神のないことを<br>知るようになるためである。<br>わたしは主である、わたしのほかに神はない。<br>
<em>45:7</em>わたしは光をつくり、また暗きを創造し、<br>繁栄をつくり、またわざわいを創造する。<br>わたしは主である、<br>すべてこれらの事をなす者である。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>45:8</em>天よ、上より水を注げ、<br>雲は義を降らせよ。<br>地は開けて救を生じ、また義をも、生えさせよ。<br>主なるわたしはこれを創造した。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>45:9</em>陶器が陶器師と争うように、<br>おのれを造った者と争う者はわざわいだ。<br>粘土は陶器師にむかって<br>『あなたは何を造るか』と言い、<br>あるいは『あなたの造った物には手がない』と<br>言うだろうか。<br>
<em>45:10</em>父にむかって<br>『あなたは、なぜ子をもうけるのか』と言い、<br>あるいは女にむかって<br>『あなたは、なぜ産みの苦しみをするのか』と<br>言う者はわざわいだ」。<br>
<em>45:11</em>イスラエルの聖者、<br>イスラエルを造られた主はこう言われる、<br>「あなたがたは、わが子らについてわたしに問い、<br>またわが手のわざについてわたしに命ずるのか。<br>
<em>45:12</em>わたしは地を造って、その上に人を創造した。<br>わたしは手をもって天をのべ、<br>その万軍を指揮した。<br>
<em>45:13</em>わたしは義をもってクロスを起した。<br>わたしは彼のすべての道をまっすぐにしよう。<br>彼はわが町を建て、<br>わが捕囚を価のためでなく、<br>また報いのためでもなく解き放つ」と<br>万軍の主は言われる。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>45:14</em>主はこう言われる、<br>「エジプトの富と、エチオピヤの商品と、<br>たけの高いセバびととは<br>あなたに来て、あなたのものとなり、あなたに従い、<br>彼らは鎖につながれて来て、あなたの前にひれ伏し、<br>あなたに願って言う、<br>『神はただあなたと共にいまし、<br>このほかに神はなく、ひとりもない』」。<br>
<em>45:15</em>イスラエルの神、救主よ、<br>まことに、あなたは<br>ご自分を隠しておられる神である。<br>
<em>45:16</em>偶像を造る者は皆恥を負い、はずかしめを受け、<br>ともに、あわてふためいて退く。<br>
<em>45:17</em>しかし、イスラエルは主に救われて、<br>とこしえの救を得る。<br>あなたがたは世々かぎりなく、<br>恥を負わず、はずかしめを受けない。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>45:18</em>天を創造された主、すなわち神であって<br>また地をも造り成し、これを堅くし、<br>いたずらにこれを創造されず、<br>これを人のすみかに造られた主はこう言われる、<br>「わたしは主である、わたしのほかに神はない。<br>
<em>45:19</em>わたしは隠れたところ、地の暗い所で語らず、<br>ヤコブの子孫に<br>『わたしを尋ねるのはむだだ』と言わなかった。<br>主なるわたしは正しい事を語り、<br>まっすぐな事を告げる。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>45:20</em>もろもろの国からのがれてきた者よ、<br>集まってきて、共に近寄れ。<br>木像をにない、<br>救うことのできない神に祈る者は無知である。<br>
<em>45:21</em>あなたがたの言い分を持ってきて述べよ。<br>また共に相談せよ。<br>この事をだれがいにしえから示したか。<br>だれが昔から告げたか。<br>わたし、すなわち主ではなかったか。<br>わたしのほかに神はない。<br>わたしは義なる神、救主であって、<br>わたしのほかに神はない。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>45:22</em>地の果なるもろもろの人よ、<br>わたしを仰ぎのぞめ、そうすれば救われる。<br>わたしは神であって、ほかに神はないからだ。<br>
<em>45:23</em>わたしは自分をさして誓った、<br>わたしの口から出た正しい言葉は帰ることがない、<br>『すべてのひざはわが前にかがみ、<br>すべての舌は誓いをたてる』。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>45:24</em>人はわたしについて言う、<br>『正義と力とは主にのみある』と。<br>人々は主にきたり、<br>主にむかって怒る者は皆恥を受ける。<br>
<em>45:25</em>しかしイスラエルの子孫は皆<br>主によって勝ち誇ることができる」。</div>
</div>
</div>
<div class="chapter" id="46">
<h3 class="chapter">第46章</h3>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>46:1</em>ベルは伏し、ネボはかがみ、<br>彼らの像は獣と家畜との上にある。<br>あなたがたが持ち歩いたものは荷となり、<br>疲れた獣の重荷となった。<br>
<em>46:2</em>彼らはかがみ、彼らは共に伏し、<br>重荷となった者を救うことができず<br>かえって、自分は捕われて行く。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>46:3</em>「ヤコブの家よ、<br>イスラエルの家の残ったすべての者よ、<br>生れ出た時から、わたしに負われ、<br>胎を出た時から、わたしに持ち運ばれた者よ、<br>わたしに聞け。<br>
<em>46:4</em>わたしはあなたがたの年老いるまで変らず、<br>白髪となるまで、あなたがたを持ち運ぶ。<br>わたしは造ったゆえ、必ず負い、<br>持ち運び、かつ救う。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>46:5</em>あなたがたは、わたしをだれにたぐい、<br>だれと等しくし、だれにくらべ、<br>かつなぞらえようとするのか。<br>
<em>46:6</em>彼らは袋からこがねを注ぎ出し、<br>はかりをもって、しろがねをはかり、<br>金細工人を雇って、それを神に造らせ、<br>これにひれ伏して拝む。<br>
<em>46:7</em>彼らはこれをもたげて肩に載せ、<br>持って行って、その所に置き、そこに立たせる。<br>これはその所から動くことができない。<br>人がこれに呼ばわっても答えることができない。<br>また彼をその悩みから救うことができない。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>46:8</em>あなたがたはこの事をおぼえ、よく考えよ。<br>そむける者よ、この事を心にとめよ、<br>
<em>46:9</em>いにしえよりこのかたの事をおぼえよ。<br>わたしは神である、わたしのほかに神はない。<br>わたしは神である、わたしと等しい者はない。<br>
<em>46:10</em>わたしは終りの事を初めから告げ、<br>まだなされない事を昔から告げて言う、<br>『わたしの計りごとは必ず成り、<br>わが目的をことごとくなし遂げる』と。<br>
<em>46:11</em>わたしは東から猛禽を招き、<br>遠い国からわが計りごとを行う人を招く。<br>わたしはこの事を語ったゆえ、必ずこさせる。<br>わたしはこの事をはかったゆえ、必ず行う。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>46:12</em>心をかたくなにして、救に遠い者よ、<br>わたしに聞け。<br>
<em>46:13</em>わたしはわが救を近づかせるゆえ、<br>その来ることは遠くない。<br>わが救はおそくない。<br>わたしは救をシオンに与え、<br>わが栄光をイスラエルに与える」。</div>
</div>
</div>
<div class="chapter" id="47">
<h3 class="chapter">第47章</h3>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>47:1</em>処女なるバビロンの娘よ、<br>下って、ちりの中にすわれ。<br>カルデヤびとの娘よ、<br>王座のない地にすわれ。<br>あなたはもはや、やさしく、たおやかな女と<br>となえられることはない。<br>
<em>47:2</em>石うすをとって粉をひけ、<br>顔おおいを取り去り、うちぎを脱ぎ、<br>すねをあらわして川を渡れ。<br>
<em>47:3</em>あなたの裸はあらわれ、<br>あなたの恥は見られる。<br>わたしはあだを報いて、何人とをも助けない。<br>
<em>47:4</em>われわれをあがなう者は<br>その名を万軍の主といい、<br>イスラエルの聖者である。<br>
<em>47:5</em>カルデヤびとの娘よ、<br>黙してすわれ、また暗い所にはいれ。<br>あなたはもはや、もろもろの国の女王と<br>となえられることはない。<br>
<em>47:6</em>わたしはわが民を憤り、<br>わが嗣業を汚して、これをあなたの手に渡した。<br>あなたはこれに、あわれみを施さず、<br>年老いた者の上に、はなはだ重いくびきを負わせた。<br>
<em>47:7</em>あなたは言った、<br>「わたしは、とこしえに女王となる」と。<br>そして、あなたはこれらの事を心にとめず、<br>またその終りを思わなかった。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>47:8</em>楽しみにふけり、安らかにおり、<br>心のうちに「ただわたしだけで、<br>わたしのほかにだれもなく、<br>わたしは寡婦となることはない、<br>また子を失うことはない」と言う者よ、<br>今この事を聞け。<br>
<em>47:9</em>これらの二つの事は一日のうちに、<br>またたくまにあなたに臨む。<br>すなわち子を失い、寡婦となる事は<br>たといあなたが多くの魔術を行い、<br>魔法の大いなる力をもってしても<br>ことごとくあなたに臨む。<br>
<em>47:10</em>あなたは自分の悪に寄り頼んで言う、<br>「わたしを見る者はない」と。<br>あなたの知恵と、あなたの知識とは<br>あなたを惑わした。<br>あなたは心のうちに言った、<br>「ただわたしだけで、わたしのほかにだれもない」と。<br>
<em>47:11</em>しかし、わざわいが、あなたに臨む、<br>あなたは、それをあがなうことができない。<br>なやみが、あなたを襲う、<br>あなたは、それをつぐなうことができない。<br>滅びが、にわかにあなたに臨む、<br>あなたは、それについて何も知らない。<br>
<em>47:12</em>あなたが若い時から勤め行ったあなたの魔法と、<br>多くの魔術とをもって立ちむかってみよ、<br>あるいは成功するかもしれない、<br>あるいは敵を恐れさせるかもしれない。<br>
<em>47:13</em>あなたは多くの計りごとによってうみ疲れた。<br>かの天を分かつ者、星を見る者、<br>新月によって、あなたに臨む事を告げる者を<br>立ちあがらせて、あなたを救わせてみよ。<br>
<em>47:14</em>見よ、彼らはわらのようになって、<br>火に焼き滅ぼされ、<br>自分の身を炎の勢いから、救い出すことができない。<br>その火は身を暖める炭火ではない、<br>またその前にすわるべき火でもない。<br>
<em>47:15</em>あなたが勤めて行ったものと、<br>あなたの若い時からあなたと売り買いした者とは、<br>ついにこのようになる。<br>彼らはめいめい自分の方向にさすらいゆき、<br>ひとりもあなたを救う者はない。</div>
</div>
</div>
<div class="chapter" id="48">
<h3 class="chapter">第48章</h3>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>48:1</em>ヤコブの家よ、これを聞け。<br>あなたがたはイスラエルの名をもってとなえられ、<br>ユダの腰から出、<br>主の名によって誓い、<br>イスラエルの神をとなえるけれども、<br>真実をもってせず、正義をもってしない。<br>
<em>48:2</em>彼らはみずから聖なる都のものととなえ、<br>イスラエルの神に寄り頼む。<br>その名は万軍の主という。<br>
<em>48:3</em>「わたしはさきに成った事を、いにしえから告げた。<br>わたしは口から出して彼らに知らせた。<br>わたしは、にわかにこの事を行い、そして成った。<br>
<em>48:4</em>わたしはあなたが、かたくなで、その首は鉄の筋、<br>その額は青銅であることを知るゆえに、<br>
<em>48:5</em>いにしえから、かの事をあなたに告げ、<br>その成らないさきに、これをあなたに聞かせた。<br>そうでなければ、あなたは言うだろう、<br>『わが偶像がこれをしたのだ、<br>わが刻んだ像と、鋳た像がこれを命じたのだ』と。<br>
<em>48:6</em>あなたはすでに聞いた、<br>すべてこれが成ったことを見よ。<br>あなたがたはこれを宣べ伝えないのか。<br>わたしは今から新しい事、<br>あなたがまだ知らない隠れた事を<br>あなたに聞かせよう。<br>
<em>48:7</em>これらの事はいま創造されたので、<br>いにしえからあったのではない。<br>この日以前には、あなたはこれを聞かなかった。<br>そうでなければ、あなたは言うだろう、<br>『見よ、わたしはこれを知っていた』と。<br>
<em>48:8</em>あなたはこれを聞くこともなく、知ることもなく、<br>あなたの耳は、いにしえから開かれなかった。<br>わたしはあなたが全く不信実で、<br>生れながら反逆者ととなえられたことを<br>知っていたからである。<br>
<em>48:9</em>わが名のために、わたしは怒りをおそくする。<br>わが誉のために、わたしはこれをおさえて、<br>あなたを断ち滅ぼすことをしない。<br>
<em>48:10</em>見よ、わたしはあなたを練った。<br>しかし銀のようにではなくて、<br>苦しみの炉をもってあなたを試みた。<br>
<em>48:11</em>わたしは自分のために、自分のためにこれを行う。<br>どうしてわが名を汚させることができよう。<br>わたしはわが栄光を<br>ほかの者に与えることをしない。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>48:12</em>ヤコブよ、わたしの召したイスラエルよ、<br>わたしに聞け。<br>わたしはそれだ、わたしは初めであり、<br>わたしはまた終りである。<br>
<em>48:13</em>わが手は地の基をすえ、<br>わが右の手は天をのべた。<br>わたしが呼ぶと、彼らはもろともに立つ。<br>
<em>48:14</em>あなたがたは皆集まって聞け。<br>彼らのうち、だれがこれらの事を告げたか。<br>主の愛せられる彼は<br>主のみこころをバビロンに行い、<br>その腕はカルデヤびとの上に臨む。<br>
<em>48:15</em>語ったのは、ただわたしであって、<br>わたしは彼を召した。<br>わたしは彼をこさせた。<br>彼はその道に栄える。<br>
<em>48:16</em>あなたがたはわたしに近寄って、これを聞け。<br>わたしは初めから、ひそかに語らなかった。<br>それが成った時から、わたしはそこにいたのだ」。<br>いま主なる神は、わたしとその霊とをつかわされた。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>48:17</em>あなたのあがない主、イスラエルの聖者、<br>主はこう言われる、<br>「わたしはあなたの神、主である。<br>わたしは、あなたの利益のために、あなたを教え、<br>あなたを導いて、その行くべき道に行かせる。<br>
<em>48:18</em>どうか、あなたはわたしの戒めに聞き従うように。<br>そうすれば、あなたの平安は川のように、<br>あなたの義は海の波のようになり、<br>
<em>48:19</em>あなたのすえは砂のように、<br>あなたの子孫は砂粒のようになって、<br>その名はわが前から断たれることなく、滅ぼされることはない」。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>48:20</em>あなたがたはバビロンから出、<br>カルデヤからのがれよ。<br>喜びの声をもってこれをのべ聞かせ、<br>地の果にまで語り伝え、<br>「主はそのしもべヤコブをあがなわれた」と言え。<br>
<em>48:21</em>主が彼らを導いて、さばくを通らせられたとき、<br>彼らは、かわいたことがなかった。<br>主は彼らのために岩から水を流れさせ、<br>また岩を裂かれると、水がほとばしり出た。<br>
<em>48:22</em>主は言われた、<br>「悪い者には平安がない」と。</div>
</div>
</div>
<div class="chapter" id="49">
<h3 class="chapter">第49章</h3>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>49:1</em>海沿いの国々よ、わたしに聞け。<br>遠いところのもろもろの民よ、耳を傾けよ。<br>主はわたしを生れ出た時から召し、<br>母の胎を出た時からわが名を語り告げられた。<br>
<em>49:2</em>主はわが口を鋭利なつるぎとなし、<br>わたしをみ手の陰にかくし、<br>とぎすました矢となして、<br>箙にわたしを隠された。<br>
<em>49:3</em>また、わたしに言われた、<br>「あなたはわがしもべ、<br>わが栄光をあらわすべきイスラエルである」と。<br>
<em>49:4</em>しかし、わたしは言った、<br>「わたしはいたずらに働き、<br>益なく、むなしく力を費した。<br>しかもなお、まことにわが正しきは主と共にあり、<br>わが報いはわが神と共にある」と。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>49:5</em>ヤコブをおのれに帰らせ、<br>イスラエルをおのれのもとに集めるために、<br>わたしを腹の中からつくって<br>そのしもべとされた主は言われる。<br>(わたしは主の前に尊ばれ、<br>わが神はわが力となられた)<br>
<em>49:6</em>主は言われる、<br>「あなたがわがしもべとなって、<br>ヤコブのもろもろの部族をおこし、<br>イスラエルのうちの残った者を帰らせることは、<br>いとも軽い事である。<br>わたしはあなたを、もろもろの国びとの光となして、<br>わが救を地の果にまでいたらせよう」と。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>49:7</em>イスラエルのあがない主、<br>イスラエルの聖者なる主は、<br>人に侮られる者、民に忌みきらわれる者、<br>つかさたちのしもべにむかってこう言われる、<br>「もろもろの王は見て、立ちあがり、<br>もろもろの君は立って、拝する。<br>これは真実なる主、イスラエルの聖者が、<br>あなたを選ばれたゆえである」。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>49:8</em>主はこう言われる、<br>「わたしは恵みの時に、あなたに答え、<br>救の日にあなたを助けた。<br>わたしはあなたを守り、<br>あなたを与えて民の契約とし、<br>国を興し、荒れすたれた地を嗣業として継がせる。<br>
<em>49:9</em>わたしは捕えられた人に『出よ』と言い、<br>暗きにおる者に『あらわれよ』と言う。<br>彼らは道すがら食べることができ、<br>すべての裸の山にも牧草を得る。<br>
<em>49:10</em>彼らは飢えることがなく、かわくこともない。<br>また熱い風も、太陽も彼らを撃つことはない。<br>彼らをあわれむ者が彼らを導き、<br>泉のほとりに彼らを導かれるからだ。<br>
<em>49:11</em>わたしは、わがもろもろの山を道とし、<br>わが大路を高くする。<br>
<em>49:12</em>見よ、人々は遠くから来る。<br>見よ、人々は北から西から、<br>またスエネの地から来る」。<br>
<em>49:13</em>天よ、歌え、地よ、喜べ。<br>もろもろの山よ、声を放って歌え。<br>主はその民を慰め、<br>その苦しむ者をあわれまれるからだ。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>49:14</em>しかしシオンは言った、<br>「主はわたしを捨て、主はわたしを忘れられた」と。<br>
<em>49:15</em>「女がその乳のみ子を忘れて、<br>その腹の子を、あわれまないようなことがあろうか。<br>たとい彼らが忘れるようなことがあっても、<br>わたしは、あなたを忘れることはない。<br>
<em>49:16</em>見よ、わたしは、たなごころにあなたを彫り刻んだ。<br>あなたの石がきは常にわが前にある。<br>
<em>49:17</em>あなたを建てる者は、あなたをこわす者を追い越し、<br>あなたを荒した者は、あなたから出て行く。<br>
<em>49:18</em>あなたの目をあげて見まわせ。<br>彼らは皆集まって、あなたのもとに来る。<br>主は言われる、わたしは生きている、<br>あなたは彼らを皆、飾りとして身につけ、<br>花嫁の帯のようにこれを結ぶ。<br>
<em>49:19</em>あなたの荒れ、かつすたれた所、こわされた地は、<br>住む人の多いために狭くなり、<br>あなたを、のみつくした者は、はるかに離れ去る。<br>
<em>49:20</em>あなたが子を失った後に生れた子らは、<br>なおあなたの耳に言う、<br>『この所はわたしには狭すぎる、<br>わたしのために住むべき所を得させよ』と。<br>
<em>49:21</em>その時あなたは心のうちに言う、<br>『だれがわたしのためにこれらの者を産んだのか。<br>わたしは子を失って、子をもたない。<br>わたしは捕われ、かつ追いやられた。<br>だれがこれらの者を育てたのか。<br>見よ、わたしはひとり残された。<br>これらの者はどこから来たのか』と」。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>49:22</em>主なる神はこう言われる、<br>「見よ、わたしは手をもろもろの国にむかってあげ、<br>旗をもろもろの民にむかって立てる。<br>彼らはそのふところにあなたの子らを携え、<br>その肩にあなたの娘たちを載せて来る。<br>
<em>49:23</em>もろもろの王は、あなたの養父となり、<br>その王妃たちは、あなたの乳母となり、<br>彼らはその顔を地につけて、あなたにひれ伏し、<br>あなたの足のちりをなめる。<br>こうして、あなたはわたしが主であることを知る。<br>わたしを待ち望む者は恥をこうむることがない」。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>49:24</em>勇士が奪った獲物を<br>どうして取り返すことができようか。<br>暴君がかすめた捕虜を<br>どうして救い出すことができようか。<br>
<em>49:25</em>しかし主はこう言われる、<br>「勇士がかすめた捕虜も取り返され、<br>暴君が奪った獲物も救い出される。<br>わたしはあなたと争う者と争い、<br>あなたの子らを救うからである。<br>
<em>49:26</em>わたしはあなたをしえたげる者にその肉を食わせ、<br>その血を新しい酒のように飲ませて酔わせる。<br>こうして、すべての人はわたしが主であって、<br>あなたの救主、またあなたのあがない主、<br>ヤコブの全能者であることを知るようになる」。</div>
</div>
</div>
<div class="chapter" id="50">
<h3 class="chapter">第50章</h3>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>50:1</em>主はこう言われる、<br>「わたしがあなたがたの母を去らせたその離縁状は、<br>どこにあるか。<br>わたしはどの債主にあなたがたを売りわたしたか。<br>見よ、あなたがたは、その不義のために売られ、<br>あなたがたの母は、<br>あなたがたのとがのために出されたのだ。<br>
<em>50:2</em>わたしが来たとき、<br>なぜひとりもいなかったか。<br>わたしが呼んだとき、<br>なぜひとりも答える者がなかったか。<br>わたしの手が短くて、<br>あがなうことができないのか。<br>わたしは救う力を持たないのか。<br>見よ、わたしが、しかると海はかれ、<br>川は荒野となり、<br>その中の魚は水がないために、<br>かわき死んで悪臭を放つ。<br>
<em>50:3</em>わたしは黒い衣を天に着せ、<br>荒布をもってそのおおいとする」。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>50:4</em>主なる神は教をうけた者の舌をわたしに与えて、<br>疲れた者を言葉をもって助けることを知らせ、<br>また朝ごとにさまし、わたしの耳をさまして、<br>教をうけた者のように聞かせられる。<br>
<em>50:5</em>主なる神はわたしの耳を開かれた。<br>わたしは、そむくことをせず、<br>退くことをしなかった。<br>
<em>50:6</em>わたしを打つ者に、わたしの背をまかせ、<br>わたしのひげを抜く者に、わたしのほおをまかせ、<br>恥とつばきとを避けるために、<br>顔をかくさなかった。<br>
<em>50:7</em>しかし主なる神はわたしを助けられる。<br>それゆえ、わたしは恥じることがなかった。<br>それゆえ、わたしは顔を火打石のようにした。<br>わたしは決してはずかしめられないことを知る。<br>
<em>50:8</em>わたしを義とする者が近くおられる。<br>だれがわたしと争うだろうか、<br>われわれは共に立とう。<br>わたしのあだはだれか、<br>わたしの所へ近くこさせよ。<br>
<em>50:9</em>見よ、主なる神はわたしを助けられる。<br>だれがわたしを罪に定めるだろうか。<br>見よ、彼らは皆衣のようにふるび、<br>しみのために食いつくされる。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>50:10</em>あなたがたのうち主を恐れ、<br>そのしもべの声に聞き従い、<br>暗い中を歩いて光を得なくても、なお主の名を頼み、<br>おのれの神にたよる者はだれか。<br>
<em>50:11</em>見よ、火を燃やし、たいまつをともす者よ、<br>皆その火の炎の中を歩め、<br>またその燃やした、たいまつの中を歩め。<br>あなたがたは、これをわたしの手から受けて、<br>苦しみのうちに伏し倒れる。</div>
</div>
</div>
<div class="chapter" id="51">
<h3 class="chapter">第51章</h3>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>51:1</em>「義を追い求め、<br>主を尋ね求める者よ、わたしに聞け。<br>あなたがたの切り出された岩と、<br>あなたがたの掘り出された穴とを思いみよ。<br>
<em>51:2</em>あなたがたの父アブラハムと、<br>あなたがたを産んだサラとを思いみよ。<br>わたしは彼をただひとりであったときに召し、<br>彼を祝福して、その子孫を増し加えた。<br>
<em>51:3</em>主はシオンを慰め、<br>またそのすべて荒れた所を慰めて、<br>その荒野をエデンのように、<br>そのさばくを主の園のようにされる。<br>こうして、その中に喜びと楽しみとがあり、<br>感謝と歌の声とがある。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>51:4</em>わが民よ、わたしに聞け、<br>わが国びとよ、わたしに耳を傾けよ。<br>律法はわたしから出、<br>わが道はもろもろの民の光となる。<br>
<em>51:5</em>わが義はすみやかに近づき、<br>わが救は出て行った。<br>わが腕はもろもろの民を治める。<br>海沿いの国々はわたしを待ち望み、<br>わが腕に寄り頼む。<br>
<em>51:6</em>目をあげて天を見、また下なる地を見よ。<br>天は煙のように消え、地は衣のようにふるび、<br>その中に住む者は、ぶよのように死ぬ。<br>しかし、わが救はとこしえにながらえ、<br>わが義はくじけることがない。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>51:7</em>義を知る者よ、<br>心のうちにわが律法をたもつ者よ、わたしに聞け。<br>人のそしりを恐れてはならない、<br>彼らのののしりに驚いてはならない。<br>
<em>51:8</em>彼らは衣のように、しみに食われ、<br>羊の毛のように虫に食われるからだ。<br>しかし、わが義はとこしえにながらえ、<br>わが救はよろず代に及ぶ」。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>51:9</em>主のかいなよ、<br>さめよ、さめよ、力を着よ。<br>さめて、いにしえの日、昔の代にあったようになれ。<br>ラハブを切り殺し、<br>龍を刺し貫いたのは、あなたではなかったか。<br>
<em>51:10</em>海をかわかし、大いなる淵の水をかわかし、<br>また海の深き所を、<br>あがなわれた者の過ぎる道とされたのは、<br>あなたではなかったか。<br>
<em>51:11</em>主にあがなわれた者は、<br>歌うたいつつ、シオンに帰ってきて、<br>そのこうべに、とこしえの喜びをいただき、<br>彼らは喜びと楽しみとを得、<br>悲しみと嘆きとは逃げ去る。<br>
<em>51:12</em>「わたしこそあなたを慰める者だ。<br>あなたは何者なれば、死ぬべき人を恐れ、<br>草のようになるべき人の子を恐れるのか。<br>
<em>51:13</em>天をのべ、地の基をすえられた<br>あなたの造り主、主を忘れて、<br>なぜ、しえたげる者が滅ぼそうと備えをするとき、<br>その憤りのゆえに常にひねもす恐れるのか。<br>しえたげる者の憤りはどこにあるか。<br>
<em>51:14</em>身をかがめている捕われ人は、すみやかに解かれて、<br>死ぬことなく、穴にくだることなく、<br>その食物はつきることがない。<br>
<em>51:15</em>わたしは海をふるわせ、<br>その波をなりどよめかすあなたの神、主である。<br>その名を万軍の主という。<br>
<em>51:16</em>わたしはわが言葉をあなたの口におき、<br>わが手の陰にあなたを隠した。<br>こうして、わたしは天をのべ、地の基をすえ、<br>シオンにむかって、あなたはわが民であると言う」。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>51:17</em>エルサレムよ、起きよ、起きよ、立て。<br>あなたはさきに主の手から憤りの杯をうけて飲み、<br>よろめかす大杯を、滓までも飲みほした。<br>
<em>51:18</em>その産んだもろもろの子のなかに、<br>自分を導く者なく、<br>その育てたもろもろの子のなかに、<br>自分の手をとる者がない。<br>
<em>51:19</em>これら二つの事があなたに臨んだ――<br>だれがあなたと共に嘆くだろうか――<br>荒廃と滅亡、ききんとつるぎ。<br>だれがあなたを慰めるだろうか。<br>
<em>51:20</em>あなたの子らは息絶えだえになり、<br>網にかかった、かもしかのように、<br>すべてのちまたのすみに横たわり、<br>主の憤りと、あなたの神の責めとは、<br>彼らに満ちている。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>51:21</em>それゆえ、苦しめる者、<br>酒にではなく酔っている者よ、これを聞け。<br>
<em>51:22</em>あなたの主、おのが民の訴えを弁護される<br>あなたの神、主はこう言われる、<br>「見よ、わたしはよろめかす杯を<br>あなたの手から取り除き、<br>わが憤りの大杯を取り除いた。<br>あなたは再びこれを飲むことはない。<br>
<em>51:23</em>わたしはこれをあなたを悩ます者の手におく。<br>彼らはさきにあなたにむかって言った、<br>『身をかがめよ、われわれは越えていこう』と。<br>そしてあなたはその背を地のようにし、<br>ちまたのようにして、<br>彼らの越えていくにまかせた」。</div>
</div>
</div>
<div class="chapter" id="52">
<h3 class="chapter">第52章</h3>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>52:1</em>シオンよ、さめよ、さめよ、<br>力を着よ。<br>聖なる都エルサレムよ、美しい衣を着よ。<br>割礼を受けない者および汚れた者は、<br>もはやあなたのところに、はいることがないからだ。<br>
<em>52:2</em>捕われたエルサレムよ、<br>あなたの身からちりを振り落せ、起きよ。<br>捕われたシオンの娘よ、<br>あなたの首のなわを解きすてよ。</div>
<em>52:3</em>主はこう言われる、「あなたがたは、ただで売られた。金を出さずにあがなわれる」。
<em>52:4</em>主なる神はこう言われる、「わが民はさきにエジプトへ下って行って、かしこに寄留した。またアッスリヤびとはゆえなく彼らをしえたげた。
<em>52:5</em>それゆえ、今わたしはここに何をしようか。わが民はゆえなく捕われた」と主は言われる。主は言われる、「彼らをつかさどる者はわめき、わが名は常にひねもす侮られる。
<em>52:6</em>それゆえ、わが民はわが名を知るにいたる。その日には彼らはこの言葉を語る者がわたしであることを知る。わたしはここにおる」。
<div class="quote">
<em>52:7</em>よきおとずれを伝え、平和を告げ、<br>よきおとずれを伝え、救を告げ、<br>シオンにむかって「あなたの神は王となられた」と<br>言う者の足は山の上にあって、<br>なんと麗しいことだろう。<br>
<em>52:8</em>聞けよ、あなたの見張びとは声をあげて、<br>共に喜び歌っている。<br>彼らは目と目と相合わせて、<br>主がシオンに帰られるのを見るからだ。<br>
<em>52:9</em>エルサレムの荒れすたれた所よ、<br>声を放って共に歌え。<br>主はその民を慰め、<br>エルサレムをあがなわれたからだ。<br>
<em>52:10</em>主はその聖なるかいなを、<br>もろもろの国びとの前にあらわされた。<br>地のすべての果は、われわれの神の救を見る。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>52:11</em>去れよ、去れよ、そこを出て、<br>汚れた物にさわるな。<br>その中を出よ、主の器をになう者よ、<br>おのれを清く保て。<br>
<em>52:12</em>あなたがたは急いで出るに及ばない、<br>また、とんで行くにも及ばない。<br>主はあなたがたの前に行き、<br>イスラエルの神はあなたがたの<br>しんがりとなられるからだ。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>52:13</em>見よ、わがしもべは栄える。<br>彼は高められ、あげられ、ひじょうに高くなる。<br>
<em>52:14</em>多くの人が彼に驚いたように――<br>彼の顔だちは、そこなわれて人と異なり、<br>その姿は人の子と異なっていたからである――<br>
<em>52:15</em>彼は多くの国民を驚かす。<br>王たちは彼のゆえに口をつむぐ。<br>それは彼らがまだ伝えられなかったことを見、<br>まだ聞かなかったことを悟るからだ。</div>
</div>
</div>
<div class="chapter" id="53">
<h3 class="chapter">第53章</h3>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>53:1</em>だれがわれわれの聞いたことを<br>信じ得たか。<br>主の腕は、だれにあらわれたか。<br>
<em>53:2</em>彼は主の前に若木のように、<br>かわいた土から出る根のように育った。<br>彼にはわれわれの見るべき姿がなく、威厳もなく、<br>われわれの慕うべき美しさもない。<br>
<em>53:3</em>彼は侮られて人に捨てられ、<br>悲しみの人で、病を知っていた。<br>また顔をおおって忌みきらわれる者のように、<br>彼は侮られた。われわれも彼を尊ばなかった。<br>
<em>53:4</em>まことに彼はわれわれの病を負い、<br>われわれの悲しみをになった。<br>しかるに、われわれは思った、<br>彼は打たれ、神にたたかれ、苦しめられたのだと。<br>
<em>53:5</em>しかし彼はわれわれのとがのために傷つけられ、<br>われわれの不義のために砕かれたのだ。<br>彼はみずから懲しめをうけて、<br>われわれに平安を与え、<br>その打たれた傷によって、<br>われわれはいやされたのだ。<br>
<em>53:6</em>われわれはみな羊のように迷って、<br>おのおの自分の道に向かって行った。<br>主はわれわれすべての者の不義を、<br>彼の上におかれた。<br>
<em>53:7</em>彼はしえたげられ、苦しめられたけれども、<br>口を開かなかった。<br>ほふり場にひかれて行く小羊のように、<br>また毛を切る者の前に黙っている羊のように、<br>口を開かなかった。<br>
<em>53:8</em>彼は暴虐なさばきによって取り去られた。<br>その代の人のうち、だれが思ったであろうか、<br>彼はわが民のとがのために打たれて、<br>生けるものの地から断たれたのだと。<br>
<em>53:9</em>彼は暴虐を行わず、<br>その口には偽りがなかったけれども、<br>その墓は悪しき者と共に設けられ、<br>その塚は悪をなす者と共にあった。<br>
<em>53:10</em>しかも彼を砕くことは主のみ旨であり、<br>主は彼を悩まされた。<br>彼が自分を、とがの供え物となすとき、<br>その子孫を見ることができ、<br>その命をながくすることができる。<br>かつ主のみ旨が彼の手によって栄える。<br>
<em>53:11</em>彼は自分の魂の苦しみにより光を見て満足する。<br>義なるわがしもべはその知識によって、<br>多くの人を義とし、また彼らの不義を負う。<br>
<em>53:12</em>それゆえ、わたしは彼に大いなる者と共に<br>物を分かち取らせる。<br>彼は強い者と共に獲物を分かち取る。<br>これは彼が死にいたるまで、自分の魂をそそぎだし、<br>とがある者と共に数えられたからである。<br>しかも彼は多くの人の罪を負い、<br>とがある者のためにとりなしをした。</div>
</div>
</div>
<div class="chapter" id="54">
<h3 class="chapter">第54章</h3>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>54:1</em>「子を産まなかったうまずめよ、歌え。<br>産みの苦しみをしなかった者よ、<br>声を放って歌いよばわれ。<br>夫のない者の子は、<br>とついだ者の子よりも多い」と主は言われる。<br>
<em>54:2</em>「あなたの天幕の場所を広くし、<br>あなたのすまいの幕を張りひろげ、<br>惜しむことなく、あなたの綱を長くし、<br>あなたの杭を強固にせよ。<br>
<em>54:3</em>あなたは右に左にひろがり、<br>あなたの子孫はもろもろの国を獲、<br>荒れすたれた町々をも住民で満たすからだ。<br>
<em>54:4</em>恐れてはならない。<br>あなたは恥じることがない。<br>あわてふためいてはならない。<br>あなたは、はずかしめられることがない。<br>あなたは若い時の恥を忘れ、<br>寡婦であった時のはずかしめを、<br>再び思い出すことがない。<br>
<em>54:5</em>あなたを造られた者はあなたの夫であって、<br>その名は万軍の主。<br>あなたをあがなわれる者は、<br>イスラエルの聖者であって、<br>全地の神ととなえられる。<br>
<em>54:6</em>捨てられて心悲しむ妻、<br>また若い時にとついで出された妻を招くように<br>主はあなたを招かれた」と<br>あなたの神は言われる。<br>
<em>54:7</em>「わたしはしばしばあなたを捨てたけれども、<br>大いなるあわれみをもってあなたを集める。<br>
<em>54:8</em>あふれる憤りをもって、<br>しばしわが顔を隠したけれども、<br>とこしえのいつくしみをもって、<br>あなたをあわれむ」と<br>あなたをあがなわれる主は言われる。<br>
<em>54:9</em>「このことはわたしにはノアの時のようだ。<br>わたしはノアの洪水を、<br>再び地にあふれさせないと誓ったが、<br>そのように、わたしは再びあなたを怒らない、<br>再びあなたを責めないと誓った。<br>
<em>54:10</em>山は移り、丘は動いても、<br>わがいつくしみはあなたから移ることなく、<br>平安を与えるわが契約は動くことがない」と<br>あなたをあわれまれる主は言われる。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>54:11</em>「苦しみをうけ、あらしにもてあそばれ、<br>慰めを得ない者よ、<br>見よ、わたしはアンチモニーであなたの石をすえ、<br>サファイヤであなたの基をおき、<br>
<em>54:12</em>めのうであなたの尖塔を造り、<br>紅玉であなたの門を造り、<br>あなたの城壁をことごとく宝石で造る。<br>
<em>54:13</em>あなたの子らはみな主に教をうけ、<br>あなたの子らは大いに栄える。<br>
<em>54:14</em>あなたは義をもって堅く立ち、<br>しえたげから遠ざかって恐れることはない。<br>また恐怖から遠ざかる、<br>それはあなたに近づくことがないからである。<br>
<em>54:15</em>たとい争いを起す者があっても<br>わたしによるのではない。<br>すべてあなたと争う者は、あなたのゆえに倒れる。<br>
<em>54:16</em>見よ、炭火を吹きおこして、<br>その目的にかなう武器を造り出す鍛冶は、<br>わたしが創造した者、<br>また荒し滅ぼす者も、わたしが創造した者である。<br>
<em>54:17</em>すべてあなたを攻めるために造られる武器は、<br>その目的を達しない。<br>すべてあなたに逆らい立って、争い訴える舌は、<br>あなたに説き破られる。<br>これが主のしもべらの受ける嗣業であり、<br>また彼らがわたしから受ける義である」と<br>主は言われる。</div>
</div>
</div>
<div class="chapter" id="55">
<h3 class="chapter">第55章</h3>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>55:1</em>「さあ、かわいている者は<br>みな水にきたれ。<br>金のない者もきたれ。<br>来て買い求めて食べよ。<br>あなたがたは来て、金を出さずに、<br>ただでぶどう酒と乳とを買い求めよ。<br>
<em>55:2</em>なぜ、あなたがたは、<br>かてにもならぬもののために金を費し、<br>飽きることもできぬもののために労するのか。<br>わたしによく聞き従え。<br>そうすれば、良い物を食べることができ、<br>最も豊かな食物で、自分を楽しませることができる。<br>
<em>55:3</em>耳を傾け、わたしにきて聞け。<br>そうすれば、あなたがたは生きることができる。<br>わたしは、あなたがたと、とこしえの契約を立てて、<br>ダビデに約束した変らない確かな恵みを与える。<br>
<em>55:4</em>見よ、わたしは彼を立てて、<br>もろもろの民への証人とし、<br>また、もろもろの民の君とし、命令する者とした。<br>
<em>55:5</em>見よ、あなたは知らない国民を招く、<br>あなたを知らない国民は<br>あなたのもとに走ってくる。<br>これはあなたの神、主、<br>イスラエルの聖者のゆえであり、<br>主があなたに光栄を与えられたからである。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>55:6</em>あなたがたは主にお会いすることのできるうちに、<br>主を尋ねよ。<br>近くおられるうちに呼び求めよ。<br>
<em>55:7</em>悪しき者はその道を捨て、<br>正らぬ人はその思いを捨てて、主に帰れ。<br>そうすれば、主は彼にあわれみを施される。<br>われわれの神に帰れ、<br>主は豊かにゆるしを与えられる。<br>
<em>55:8</em>わが思いは、あなたがたの思いとは異なり、<br>わが道は、あなたがたの道とは異なっていると<br>主は言われる。<br>
<em>55:9</em>天が地よりも高いように、<br>わが道は、あなたがたの道よりも高く、<br>わが思いは、あなたがたの思いよりも高い。<br>
<em>55:10</em>天から雨が降り、雪が落ちてまた帰らず、<br>地を潤して物を生えさせ、芽を出させて、<br>種まく者に種を与え、<br>食べる者にかてを与える。<br>
<em>55:11</em>このように、わが口から出る言葉も、<br>むなしくわたしに帰らない。<br>わたしの喜ぶところのことをなし、<br>わたしが命じ送った事を果す。<br>
<em>55:12</em>あなたがたは喜びをもって出てきて、<br>安らかに導かれて行く。<br>山と丘とはあなたの前に声を放って喜び歌い、<br>野にある木はみな手を打つ。<br>
<em>55:13</em>いとすぎは、いばらに代って生え、<br>ミルトスの木は、おどろに代って生える。<br>これは主の記念となり、<br>また、とこしえのしるしとなって、<br>絶えることはない」。</div>
</div>
</div>
<div class="chapter" id="56">
<h3 class="chapter">第56章</h3>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>56:1</em>主はこう言われる、<br>「あなたがたは公平を守って正義を行え。<br>わが救の来るのは近く、<br>わが助けのあらわれるのが近いからだ。<br>
<em>56:2</em>安息日を守って、これを汚さず、<br>その手をおさえて、悪しき事をせず、<br>このように行う人、<br>これを堅く守る人の子はさいわいである」。<br>
<em>56:3</em>主に連なっている異邦人は言ってはならない、<br>「主は必ずわたしをその民から分かたれる」と。<br>宦官もまた言ってはならない、<br>「見よ、わたしは枯れ木だ」と。<br>
<em>56:4</em>主はこう言われる、<br>「わが安息日を守り、わが喜ぶことを選んで、<br>わが契約を堅く守る宦官には、<br>
<em>56:5</em>わが家のうちで、わが垣のうちで、<br>むすこにも娘にもまさる記念のしるしと名を与え、<br>絶えることのない、とこしえの名を与える。<br>
<em>56:6</em>また主に連なり、主に仕え、<br>主の名を愛し、そのしもべとなり、<br>すべて安息日を守って、これを汚さず、<br>わが契約を堅く守る異邦人は――<br>
<em>56:7</em>わたしはこれをわが聖なる山にこさせ、<br>わが祈の家のうちで楽しませる、<br>彼らの燔祭と犠牲とは、<br>わが祭壇の上に受けいれられる。<br>わが家はすべての民の<br>祈の家ととなえられるからである」。<br>
<em>56:8</em>イスラエルの追いやられた者を集められる<br>主なる神はこう言われる、<br>「わたしはさらに人を集めて、<br>すでに集められた者に加えよう」と。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>56:9</em>野のすべての獣よ、<br>林におるすべての獣よ、来て食らえ。<br>
<em>56:10</em>見張人らはみな目しいで、知ることがなく、<br>みな、おしの犬で、ほえることができない。<br>みな夢みる者、伏している者、<br>まどろむことを好む者だ。<br>
<em>56:11</em>この犬どもは強欲で、飽くことを知らない。<br>彼らはまた悟ることのできない牧者で、<br>皆おのが道にむかいゆき、<br>おのおのみな、おのれの利を求める。<br>
<em>56:12</em>彼らは互に言う、<br>「さあ、われわれは酒を手に入れ、<br>濃い酒をあびるほど飲もう。<br>あすも、きょうのようであるだろう、<br>すばらしい日だ」と。</div>
</div>
</div>
<div class="chapter" id="57">
<h3 class="chapter">第57章</h3>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>57:1</em>正しい者が滅びても、<br>心にとめる人がなく、<br>神を敬う人々が取り去られても、悟る者はない。<br>正しい者は災の前に取り去られて、<br>
<em>57:2</em>平安に入るからである。<br>すべて正直に歩む者は、その床に休むことができる。<br>
<em>57:3</em>しかし、あなたがた女魔法使の子よ、<br>姦夫と遊女のすえよ、こちらへ近寄れ。<br>
<em>57:4</em>あなたがたは、だれにむかって戯れをなすのか。<br>だれにむかって口を開き、舌を出すのか。<br>あなたがたは背信の子ら、<br>偽りのすえではないか。<br>
<em>57:5</em>あなたがたは、かしの木の間、<br>すべての青木の下で心をこがし、<br>谷の中、岩のはざまで子どもを殺した。<br>
<em>57:6</em>あなたは谷のなめらかな石を自分の嗣業とし、<br>これを自分の分け前とし、<br>これに灌祭をそそぎ、供え物をささげた。<br>わたしはこれらの物によってなだめられようか。<br>
<em>57:7</em>あなたは高くそびえた山の上に自分の床を設け、<br>またそこに登って行って犠牲をささげた。<br>
<em>57:8</em>また戸および柱のうしろに、<br>あなたのしるしを置いた。<br>あなたはわたしを離れて自分の床をあらわし、<br>それにのぼって、その床をひろくした。<br>また彼らと契約をなし、彼らの床を愛し、<br>その裸を見た。<br>
<em>57:9</em>あなたは、におい油を携えてモレクに行き、<br>多くのかおり物をささげた。<br>またあなたの使者を遠くにつかわし、<br>陰府の深い所にまでつかわした。<br>
<em>57:10</em>あなたは道の長いのに疲れても、<br>なお「望みがない」とは言わなかった。<br>あなたはおのが力の回復を得たので、<br>衰えることがなかった。<br>
<em>57:11</em>あなたはだれをおじ恐れて、偽りを言い、<br>わたしを覚えず、また心におかなかったのか。<br>わたしが久しく黙っていたために、<br>あなたはわたしを恐れなかったのではなかったか。<br>
<em>57:12</em>わたしはあなたの義と、あなたのわざを告げ示そう、<br>しかしこれらはあなたを益しない。<br>
<em>57:13</em>あなたが呼ばわる時、<br>あなたが集めておいた偶像にあなたを救わせよ。<br>風は彼らを運び去り、<br>息は彼らを取り去る。<br>しかしわたしに寄り頼む者は地を継ぎ、<br>わが聖なる山をまもる。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>57:14</em>主は言われる、<br>「土を盛り、土を盛って道を備えよ、<br>わが民の道から、つまずく物を取り去れ」と。<br>
<em>57:15</em>いと高く、いと上なる者、とこしえに住む者、<br>その名を聖ととなえられる者がこう言われる、<br>「わたしは高く、聖なる所に住み、<br>また心砕けて、へりくだる者と共に住み、<br>へりくだる者の霊をいかし、<br>砕ける者の心をいかす。<br>
<em>57:16</em>わたしはかぎりなく争わない、<br>また絶えず怒らない。<br>霊はわたしから出、<br>いのちの息はわたしがつくったからだ。<br>
<em>57:17</em>彼のむさぼりの罪のゆえに、<br>わたしは怒って彼を打ち、<br>わが顔をかくして怒った。<br>しかし彼はなおそむいて、おのが心の道へ行った。<br>
<em>57:18</em>わたしは彼の道を見た。<br>わたしは彼をいやし、<br>また彼を導き、慰めをもって彼に報い、<br>悲しめる者のために、くちびるの実を造ろう。<br>
<em>57:19</em>遠い者にも近い者にも平安あれ、平安あれ、<br>わたしは彼をいやそう」と主は言われる。<br>
<em>57:20</em>しかし悪しき者は波の荒い海のようだ。<br>静まることができないで、<br>その水はついに泥と汚物とを出す。<br>
<em>57:21</em>わが神は言われる、<br>「よこしまな者には平安がない」と。</div>
</div>
</div>
<div class="chapter" id="58">
<h3 class="chapter">第58章</h3>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>58:1</em>「大いに呼ばわって声を惜しむな。<br>あなたの声をラッパのようにあげ、<br>わが民にそのとがを告げ、<br>ヤコブの家にその罪を告げ示せ。<br>
<em>58:2</em>彼らは日々わたしを尋ね求め、<br>義を行い、神のおきてを捨てない国民のように、<br>わが道を知ることを喜ぶ。<br>彼らは正しいさばきをわたしに求め、<br>神に近づくことを喜ぶ。<br>
<em>58:3</em>彼らは言う、<br>『われわれが断食したのに、<br>なぜ、ごらんにならないのか。<br>われわれがおのれを苦しめたのに、<br>なぜ、ごぞんじないのか』と。<br>見よ、あなたがたの断食の日には、<br>おのが楽しみを求め、<br>その働き人をことごとくしえたげる。<br>
<em>58:4</em>見よ、あなたがたの断食するのは、<br>ただ争いと、いさかいのため、<br>また悪のこぶしをもって人を打つためだ。<br>きょう、あなたがたのなす断食は、<br>その声を上に聞えさせるものではない。<br>
<em>58:5</em>このようなものは、わたしの選ぶ断食であろうか。<br>人がおのれを苦しめる日であろうか。<br>そのこうべを葦のように伏せ、<br>荒布と灰とをその下に敷くことであろうか。<br>あなたは、これを断食ととなえ、<br>主に受けいれられる日と、となえるであろうか。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>58:6</em>わたしが選ぶところの断食は、<br>悪のなわをほどき、くびきのひもを解き、<br>しえたげられる者を放ち去らせ、<br>すべてのくびきを折るなどの事ではないか。<br>
<em>58:7</em>また飢えた者に、あなたのパンを分け与え、<br>さすらえる貧しい者を、あなたの家に入れ、<br>裸の者を見て、これを着せ、<br>自分の骨肉に身を隠さないなどの事ではないか。<br>
<em>58:8</em>そうすれば、あなたの光が暁のようにあらわれ出て、<br>あなたは、すみやかにいやされ、<br>あなたの義はあなたの前に行き、<br>主の栄光はあなたのしんがりとなる。<br>
<em>58:9</em>また、あなたが呼ぶとき、主は答えられ、<br>あなたが叫ぶとき、<br>『わたしはここにおる』と言われる。<br>もし、あなたの中からくびきを除き、<br>指をさすこと、悪い事を語ることを除き、<br>
<em>58:10</em>飢えた者にあなたのパンを施し、<br>苦しむ者の願いを満ち足らせるならば、<br>あなたの光は暗きに輝き、<br>あなたのやみは真昼のようになる。<br>
<em>58:11</em>主は常にあなたを導き、<br>良き物をもってあなたの願いを満ち足らせ、<br>あなたの骨を強くされる。<br>あなたは潤った園のように、<br>水の絶えない泉のようになる。<br>
<em>58:12</em>あなたの子らは久しく荒れすたれたる所を興し、<br>あなたは代々やぶれた基を立て、<br>人はあなたを『破れを繕う者』と呼び、<br>『市街を繕って住むべき所となす者』と<br>呼ぶようになる。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>58:13</em>もし安息日にあなたの足をとどめ、<br>わが聖日にあなたの楽しみをなさず、<br>安息日を喜びの日と呼び、<br>主の聖日を尊ぶべき日ととなえ、<br>これを尊んで、おのが道を行わず、<br>おのが楽しみを求めず、<br>むなしい言葉を語らないならば、<br>
<em>58:14</em>その時あなたは主によって喜びを得、<br>わたしは、あなたに地の高い所を乗り通らせ、<br>あなたの先祖ヤコブの嗣業をもって、<br>あなたを養う」。<br>これは主の口から語られたものである。</div>
</div>
</div>
<div class="chapter" id="59">
<h3 class="chapter">第59章</h3>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>59:1</em>見よ、主の手が短くて、<br>救い得ないのではない。<br>その耳が鈍くて聞き得ないのでもない。<br>
<em>59:2</em>ただ、あなたがたの不義が<br>あなたがたと、あなたがたの神との間を隔てたのだ。<br>またあなたがたの罪が<br>主の顔をおおったために、お聞きにならないのだ。<br>
<em>59:3</em>あなたがたの手は血で汚れ、<br>あなたがたの指は不義で汚れ、<br>あなたがたのくちびるは偽りを語り、<br>あなたがたの舌は悪をささやき、<br>
<em>59:4</em>ひとりも正義をもって訴え、<br>真実をもって論争する者がない。<br>彼らはむなしきことを頼み、偽りを語り、<br>害悪をはらみ、不義を産む。<br>
<em>59:5</em>彼らはまむしの卵をかえし、くもの巣を織る。<br>その卵を食べる者は死ぬ。<br>卵が踏まれると破れて毒蛇を出す。<br>
<em>59:6</em>その織る物は着物とならない。<br>その造る物をもって身をおおうことができない。<br>彼のわざは不義のわざであり、<br>彼らの手には暴虐の行いがある。<br>
<em>59:7</em>彼らの足は悪に走り、<br>罪のない血を流すことに速い。<br>彼らの思いは不義の思いであり、<br>荒廃と滅亡とがその道にある。<br>
<em>59:8</em>彼らは平和の道を知らず、<br>その行く道には公平がない。<br>彼らはその道を曲げた。<br>すべてこれを歩む者は平和を知らない。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>59:9</em>それゆえ、公平は遠くわれわれを離れ、<br>正義はわれわれに追いつかない。<br>われわれは光を望んでも、暗きを見、<br>輝きを望んでも、やみを行く。<br>
<em>59:10</em>われわれは盲人のように、かきを手さぐりゆき、<br>目のない者のように手さぐりゆき、<br>真昼でも、たそがれのようにつまずき、<br>強壮な者の中にあっても死人のようだ。<br>
<em>59:11</em>われわれは皆くまのようにほえ、<br>はとのようにいたくうめき、<br>公平を望んでも、きたらず、<br>救を望んでも、遠くわれわれを離れ去る。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>59:12</em>われわれのとがは、あなたの前に多く、<br>罪は、われわれを訴えて、あかしをなし、<br>とがは、われわれと共にあり、<br>不義は、われわれがこれを知る。<br>
<em>59:13</em>われわれは、そむいて主をいなみ、<br>退いて、われわれの神に従わず、<br>しえたげと、そむきとを語り、<br>偽りの言葉を心にはらんで、それを言いあらわす。<br>
<em>59:14</em>公平はうしろに退けられ、<br>正義ははるかに立つ。<br>それは、真実は広場に倒れ、<br>正直は、はいることができないからである。<br>
<em>59:15</em>真実は欠けてなく、<br>悪を離れる者はかすめ奪われる。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">主はこれを見て、<br>公平がなかったことを喜ばれなかった。<br>
<em>59:16</em>主は人のないのを見られ、<br>仲に立つ者のないのをあやしまれた。<br>それゆえ、ご自分のかいなをもって、勝利を得、<br>その義をもって、おのれをささえられた。<br>
<em>59:17</em>主は義を胸当としてまとい、<br>救のかぶとをその頭にいただき、<br>報復の衣をまとって着物とし、<br>熱心を外套として身を包まれた。<br>
<em>59:18</em>主は彼らの行いにしたがって報いをなし、<br>あだにむかって怒り、<br>敵にむかって報いをなし、<br>海沿いの国々にむかって報いをされる。<br>
<em>59:19</em>こうして、人々は西の方から主の名を恐れ、<br>日の出る方からその栄光を恐れる。<br>主は、せき止めた川を、<br>そのいぶきで押し流すように、こられるからである。<br>
<em>59:20</em>主は言われる、<br>「主は、あがなう者としてシオンにきたり、<br>ヤコブのうちの、とがを離れる者に至る」と。</div>
<em>59:21</em>主は言われる、「わたしが彼らと立てる契約はこれである。あなたの上にあるわが霊、あなたの口においたわが言葉は、今から後とこしえに、あなたの口から、あなたの子らの口から、あなたの子らの子の口から離れることはない」と。
</div>
</div>
<div class="chapter" id="60">
<h3 class="chapter">第60章</h3>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>60:1</em>起きよ、光を放て。<br>あなたの光が臨み、<br>主の栄光があなたの上にのぼったから。<br>
<em>60:2</em>見よ、暗きは地をおおい、<br>やみはもろもろの民をおおう。<br>しかし、あなたの上には主が朝日のごとくのぼられ、<br>主の栄光があなたの上にあらわれる。<br>
<em>60:3</em>もろもろの国は、あなたの光に来、<br>もろもろの王は、のぼるあなたの輝きに来る。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>60:4</em>あなたの目をあげて見まわせ、<br>彼らはみな集まってあなたに来る。<br>あなたの子らは遠くから来、<br>あなたの娘らは、かいなにいだかれて来る。<br>
<em>60:5</em>その時あなたは見て、喜びに輝き、<br>あなたの心はどよめき、かつ喜ぶ。<br>海の富が移ってあなたに来、<br>もろもろの国の宝が、あなたに来るからである。<br>
<em>60:6</em>多くのらくだ、ミデアンおよびエパの若きらくだは<br>あなたをおおい、<br>シバの人々はみな黄金、乳香を携えてきて、<br>主の誉を宣べ伝える。<br>
<em>60:7</em>ケダルの羊の群れはみなあなたに集まって来、<br>ネバヨテの雄羊はあなたに仕え、<br>わが祭壇の上にのぼって受けいれられる。<br>こうして、わたしはわが栄光の家を輝かす。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>60:8</em>雲のように飛び、<br>はとがその小屋に<br>飛び帰るようにして来る者はだれか。<br>
<em>60:9</em>海沿いの国々はわたしを待ち望み、<br>タルシシの船はいや先に<br>あなたの子らを遠くから載せて来、<br>また彼らの金銀を共に載せて来て、<br>あなたの神、主の名にささげ、<br>イスラエルの聖者にささげる。<br>主があなたを輝かされたからである。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>60:10</em>異邦人はあなたの城壁を築き、<br>彼らの王たちはあなたに仕える。<br>わたしは怒りをもってあなたを打ったけれども、<br>また恵みをもってあなたをあわれんだからである。<br>
<em>60:11</em>あなたの門は常に開いて、<br>昼も夜も閉ざすことはない。<br>これは人々が国々の宝をあなたに携えて来、<br>その王たちを率いて来るためである。<br>
<em>60:12</em>あなたに仕えない国と民とは滅び、<br>その国々は全く荒れすたれる。<br>
<em>60:13</em>レバノンの栄えはあなたに来、<br>いとすぎ、すずかけ、まつは皆共に来て、<br>わが聖所をかざる。<br>またわたしはわが足をおく所を尊くする。<br>
<em>60:14</em>あなたを苦しめた者の子らは、<br>かがんで、あなたのもとに来、<br>あなたをさげすんだ者は、<br>ことごとくあなたの足もとに伏し、<br>あなたを主の都、<br>イスラエルの聖者のシオンととなえる。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>60:15</em>あなたは捨てられ、憎まれて、<br>その中を過ぎる者もなかったが、<br>わたしはあなたを、とこしえの誇、<br>世々の喜びとする。<br>
<em>60:16</em>あなたはまた、もろもろの国の乳を吸い、<br>王たちの乳ぶさを吸い、<br>そして主なるわたしが、あなたの救主、<br>また、あなたのあがない主、<br>ヤコブの全能者であることを知るにいたる。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>60:17</em>わたしは青銅の代りに黄金を携え、<br>くろがねの代りにしろがねを携え、<br>木の代りに青銅を、石の代りに鉄を携えてきて、<br>あなたのまつりごとを平和にし、<br>あなたのつかさびとを正しくする。<br>
<em>60:18</em>暴虐は、もはやあなたの地に聞かれず、<br>荒廃と滅亡は、もはやあなたの境のうちに聞かれず、<br>あなたはその城壁を「救」ととなえ、<br>その門を「誉」ととなえる。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>60:19</em>昼は、もはや太陽があなたの光とならず、<br>夜も月が輝いてあなたを照さず、<br>主はとこしえにあなたの光となり、<br>あなたの神はあなたの栄えとなられる。<br>
<em>60:20</em>あなたの太陽は再び没せず、<br>あなたの月はかけることがない。<br>主がとこしえにあなたの光となり、<br>あなたの悲しみの日が終るからである。<br>
<em>60:21</em>あなたの民はことごとく正しい者となって、<br>とこしえに地を所有する。<br>彼らはわたしの植えた若枝、わが手のわざ、<br>わが栄光をあらわすものとなる。<br>
<em>60:22</em>その最も小さい者は氏族となり、<br>その最も弱い者は強い国となる。<br>わたしは主である。<br>その時がくるならば、すみやかにこの事をなす。</div>
</div>
</div>
<div class="chapter" id="61">
<h3 class="chapter">第61章</h3>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>61:1</em>主なる神の霊がわたしに臨んだ。<br>これは主がわたしに油を注いで、<br>貧しい者に福音を宣べ伝えることをゆだね、<br>わたしをつかわして心のいためる者をいやし、<br>捕われ人に放免を告げ、<br>縛られている者に解放を告げ、<br>
<em>61:2</em>主の恵みの年と<br>われわれの神の報復の日とを告げさせ、<br>また、すべての悲しむ者を慰め、<br>
<em>61:3</em>シオンの中の悲しむ者に喜びを与え、<br>灰にかえて冠を与え、<br>悲しみにかえて喜びの油を与え、<br>憂いの心にかえて、<br>さんびの衣を与えさせるためである。<br>こうして、彼らは義のかしの木ととなえられ、<br>主がその栄光をあらわすために<br>植えられた者ととなえられる。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>61:4</em>彼らはいにしえの荒れた所を建てなおし、<br>さきに荒れすたれた所を興し、<br>荒れた町々を新たにし、<br>世々すたれた所を再び建てる。<br>
<em>61:5</em>外国人は立ってあなたがたの群れを飼い、<br>異邦人はあなたがたの畑を耕す者となり、<br>ぶどうを作る者となる。<br>
<em>61:6</em>しかし、あなたがたは主の祭司ととなえられ、<br>われわれの神の役者と呼ばれ、<br>もろもろの国の富を食べ、<br>彼らの宝を得て喜ぶ。<br>
<em>61:7</em>あなたがたは、さきに受けた恥にかえて、<br>二倍の賜物を受け、<br>はずかしめにかえて、その嗣業を得て楽しむ。<br>それゆえ、あなたがたはその地にあって、<br>二倍の賜物を獲、<br>とこしえの喜びを得る。<br>
<em>61:8</em>主なるわたしは公平を愛し、<br>強奪と邪悪を憎み、<br>真実をもって彼らに報いを与え、<br>彼らと、とこしえの契約を結ぶからである。<br>
<em>61:9</em>彼らの子孫は、もろもろの国の中で知られ、<br>彼らの子らは、もろもろの民の中に知られる。<br>すべてこれを見る者は<br>これが主の祝福された民であることを認める。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>61:10</em>わたしは主を大いに喜び、<br>わが魂はわが神を楽しむ。<br>主がわたしに救の衣を着せ、<br>義の上衣をまとわせて、<br>花婿が冠をいただき、<br>花嫁が宝玉をもって飾るようにされたからである。<br>
<em>61:11</em>地が芽をいだし、園がまいたものを生やすように、<br>主なる神は義と誉とを、<br>もろもろの国の前に、生やされる。</div>
</div>
</div>
<div class="chapter" id="62">
<h3 class="chapter">第62章</h3>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>62:1</em>シオンの義が<br>朝日の輝きのようにあらわれいで、<br>エルサレムの救が燃えるたいまつの様になるまで、<br>わたしはシオンのために黙せず、<br>エルサレムのために休まない。<br>
<em>62:2</em>もろもろの国はあなたの義を見、<br>もろもろの王は皆あなたの栄えを見る。<br>そして、あなたは主の口が定められる<br>新しい名をもってとなえられる。<br>
<em>62:3</em>また、あなたは主の手にある麗しい冠となり、<br>あなたの神の手にある王の冠となる。<br>
<em>62:4</em>あなたはもはや「捨てられた者」と言われず、<br>あなたの地はもはや「荒れた者」と言われず、<br>あなたは「わが喜びは彼女にある」ととなえられ、<br>あなたの地は「配偶ある者」ととなえられる。<br>主はあなたを喜ばれ、<br>あなたの地は配偶を得るからである。<br>
<em>62:5</em>若い者が処女をめとるように<br>あなたの子らはあなたをめとり、<br>花婿が花嫁を喜ぶように<br>あなたの神はあなたを喜ばれる。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>62:6</em>エルサレムよ、<br>わたしはあなたの城壁の上に見張人をおいて、<br>昼も夜もたえず、もだすことのないようにしよう。<br>主に思い出されることを求める者よ、<br>みずから休んではならない。<br>
<em>62:7</em>主がエルサレムを堅く立てて、<br>全地に誉を得させられるまで、<br>お休みにならぬようにせよ。<br>
<em>62:8</em>主はその右の手をさし、<br>大能のかいなをさして誓われた、<br>「わたしは再びあなたの穀物を<br>あなたの敵に与えて食べさせない。<br>また、あなたが労して得たぶどう酒を<br>異邦人に与えて飲ませない。<br>
<em>62:9</em>しかし、穀物を刈り入れた者は<br>これを食べて主をほめたたえ、<br>ぶどうを集めた者は<br>わが聖所の庭でこれを飲む」。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>62:10</em>門を通って行け、通って行け。<br>民の道を備えよ。<br>土を盛り、土を盛って大路を設けよ。<br>石を取りのけ。<br>もろもろの民の上に旗をあげよ。<br>
<em>62:11</em>見よ、主は地の果にまで告げて言われた、<br>「シオンの娘に言え、<br>『見よ、あなたの救は来る。<br>見よ、その報いは主と共にあり、<br>その働きの報いは、その前にある』と。<br>
<em>62:12</em>彼らは『聖なる民、<br>主にあがなわれた者』ととなえられ、<br>あなたは『人に尋ね求められる者、<br>捨てられない町』ととなえられる」。</div>
</div>
</div>
<div class="chapter" id="63">
<h3 class="chapter">第63章</h3>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>63:1</em>「このエドムから来る者、<br>深紅の衣を着て、ボズラから来る者はだれか。<br>その装いは、はなやかに、<br>大いなる力をもって進み来る者はだれか」。<br>「義をもって語り、<br>救を施す力あるわたしがそれだ」。<br>
<em>63:2</em>「何ゆえあなたの装いは赤く、<br>あなたの衣は酒ぶねを踏む者のように赤いのか」。<br>
<em>63:3</em>「わたしはひとりで酒ぶねを踏んだ。<br>もろもろの民のなかに、<br>わたしと事を共にする者はなかった。<br>わたしは怒りによって彼らを踏み、<br>憤りによって彼らを踏みにじったので、<br>彼らの血がわが衣にふりかかり、<br>わが装いをことごとく汚した。<br>
<em>63:4</em>報復の日がわが心のうちにあり、<br>わがあがないの年が来たからである。<br>
<em>63:5</em>わたしは見たけれども、助ける者はなく、<br>怪しんだけれども、ささえる者はなかった。<br>それゆえ、わがかいながわたしを勝たせ、<br>わが憤りがわたしをささえた。<br>
<em>63:6</em>わたしは怒りによって、もろもろの民を踏みにじり、<br>憤りによって彼らを酔わせ、<br>彼らの血を、地に流れさせた」。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>63:7</em>わたしは主がわれわれになされた<br>すべてのことによって、<br>主のいつくしみと、主の誉とを語り告げ、<br>また、そのあわれみにより、<br>その多くのいつくしみによって、<br>イスラエルの家に施された<br>その大いなる恵みを語り告げよう。<br>
<em>63:8</em>主は言われた、「まことに彼らはわが民、<br>偽りのない子らである」と。<br>そして主は彼らの救主となられた。<br>
<em>63:9</em>彼らのすべての悩みのとき、主も悩まれて、<br>そのみ前の使をもって彼らを救い、<br>その愛とあわれみとによって彼らをあがない、<br>いにしえの日、つねに彼らをもたげ、<br>彼らを携えられた。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>63:10</em>ところが彼らはそむいて<br>その聖なる霊を憂えさせたので、<br>主はひるがえって彼らの敵となり、<br>みずから彼らと戦われた。<br>
<em>63:11</em>その時、民はいにしえのモーセの日を<br>思い出して言った、<br>「その群れの牧者を、<br>海から携えあげた者はどこにいるか。<br>彼らの中に聖なる霊をおいた者はどこにいるか。<br>
<em>63:12</em>栄光のかいなをモーセの右に行かせ、<br>彼らの前に水を二つに分けて、<br>みずから、とこしえの名をつくり、<br>
<em>63:13</em>彼らを導いて、馬が野を走るように、<br>つまずくことなく淵を通らせた者はどこにいるか。<br>
<em>63:14</em>谷にくだる家畜のように、<br>主の霊は彼らをいこわせられた。<br>このように、あなたはおのれの民を導いて<br>みずから栄光の名をつくられた」。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>63:15</em>どうか、天から見おろし、<br>その聖なる栄光あるすみかからごらんください。<br>あなたの熱心と、大能とはどこにありますか。<br>あなたのせつなる同情とあわれみとは<br>おさえられて、わたしにあらわれません。<br>
<em>63:16</em>たといアブラハムがわれわれを知らず、<br>イスラエルがわれわれを認めなくても、<br>あなたはわれわれの父です。<br>主よ、あなたはわれわれの父、<br>いにしえからあなたの名は<br>われわれのあながい主です。<br>
<em>63:17</em>主よ、なぜ、われわれをあなたの道から離れ迷わせ、<br>われわれの心をかたくなにして、<br>あなたを恐れないようにされるのですか。<br>どうぞ、あなたのしもべらのために、<br>あなたの嗣業である部族らのために、<br>お帰りください。<br>
<em>63:18</em>あなたの聖なる民が、<br>あなたの聖所を獲て間もないのに、<br>われわれのあだは、それを踏みにじりました。<br>
<em>63:19</em>われわれはあなたによって、<br>いにしえから治められない者のようになり、<br>あなたの名をもって、<br>となえられない者のようになりました。</div>
</div>
</div>
<div class="chapter" id="64">
<h3 class="chapter">第64章</h3>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>64:1</em>どうか、あなたが天を裂いて下り、<br>あなたの前に山々が震い動くように。<br>
<em>64:2</em>火が柴木を燃やし、<br>火が水を沸かすときのごとく下られるように。<br>そして、み名をあなたのあだにあらわし、<br>もろもろの国をあなたの前に<br>震えおののかせられるように。<br>
<em>64:3</em>あなたは、われわれが期待しなかった恐るべき事を<br>なされた時に下られたので、山々は震い動いた。<br>
<em>64:4</em>いにしえからこのかた、<br>あなたのほか神を待ち望む者に、<br>このような事を行われた神を聞いたことはなく、<br>耳に入れたこともなく、目に見たこともない。<br>
<em>64:5</em>あなたは喜んで義を行い、<br>あなたの道にあって、<br>あなたを記念する者を迎えられる。<br>見よ、あなたは怒られた、われわれは罪を犯した。<br>われわれは久しく罪のうちにあった。<br>われわれは救われるであろうか。<br>
<em>64:6</em>われわれはみな汚れた人のようになり、<br>われわれの正しい行いは、<br>ことごとく汚れた衣のようである。<br>われわれはみな木の葉のように枯れ、<br>われわれの不義は風のようにわれわれを吹き去る。<br>
<em>64:7</em>あなたの名を呼ぶ者はなく、<br>みずから励んで、あなたによりすがる者はない。<br>あなたはみ顔を隠して、われわれを顧みられず、<br>われわれをおのれの不義の手に渡された。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>64:8</em>されど主よ、あなたはわれわれの父です。<br>われわれは粘土であって、あなたは陶器師です。<br>われわれはみな、み手のわざです。<br>
<em>64:9</em>主よ、ひどくお怒りにならぬように、<br>いつまでも不義をみこころにとめられぬように。<br>どうぞ、われわれを顧みてください。<br>われわれはみな、あなたの民です。<br>
<em>64:10</em>あなたの聖なる町々は荒野となり、<br>シオンは荒野となり、<br>エルサレムは荒れすたれた。<br>
<em>64:11</em>われわれの先祖があなたをほめたたえた<br>聖なる麗しいわれわれの宮は火で焼かれ、<br>われわれが慕った所はことごとく荒れはてた。<br>
<em>64:12</em>主よ、これらの事があっても<br>なお、あなたはみずからをおさえ、<br>黙して、われわれをいたく苦しめられるのですか。</div>
</div>
</div>
<div class="chapter" id="65">
<h3 class="chapter">第65章</h3>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>65:1</em>わたしはわたしを求めなかった者に<br>問われることを喜び、<br>わたしを尋ねなかった者に<br>見いだされることを喜んだ。<br>わたしはわが名を呼ばなかった国民に言った、<br>「わたしはここにいる、わたしはここにいる」と。<br>
<em>65:2</em>よからぬ道に歩み、<br>自分の思いに従うそむける民に、<br>わたしはひねもす手を伸べて招いた。<br>
<em>65:3</em>この民はまのあたり常にわたしを怒らせ、<br>園の中で犠牲をささげ、<br>かわらの上で香をたき、<br>
<em>65:4</em>墓場にすわり、ひそかな所にやどり、<br>豚の肉を食らい、<br>憎むべき物の、あつものをその器に盛って、<br>
<em>65:5</em>言う、「あなたはそこに立って、<br>わたしに近づいてはならない。<br>わたしはあなたと区別されたものだから」と。<br>これらはわが鼻の煙、ひねもす燃える火である。<br>
<em>65:6</em>見よ、この事はわが前にしるされた、<br>「わたしは黙っていないで報い返す。<br>そうだ、わたしは彼らのふところに、<br>
<em>65:7</em>彼らの不義と、彼らの先祖たちの不義とを<br>共に報い返す。<br>彼らが山の上で香をたき、<br>丘の上でわたしをそしったゆえ、<br>わたしは彼らのさきのわざを量って、<br>そのふところに返す」と主は言われる。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>65:8</em>主はこう言われる、<br>「人がぶどうのふさの中に、<br>ぶどうのしるのあるのを見るならば、<br>『それを破るな、その中に祝福があるから』と言う。<br>そのようにわたしは、わがしもべらのために行って、<br>ことごとくは滅ぼさない。<br>
<em>65:9</em>わたしはヤコブから子孫をいだし、<br>ユダからわが山々を受けつぐべき者をいだす。<br>わたしが選んだ者はこれを受けつぎ、<br>わがしもべらはそこに住む。<br>
<em>65:10</em>シャロンは羊の群れの牧場となり、<br>アコルの谷は牛の群れの伏す所となって、<br>わたしを尋ね求めたわが民のものとなる。<br>
<em>65:11</em>しかし主を捨て、<br>わが聖なる山を忘れ、<br>机を禍福の神に供え、<br>混ぜ合わせた酒を盛って<br>運命の神にささげるあなたがたよ、<br>
<em>65:12</em>わたしは、あなたがたを<br>つるぎに渡すことに定めた。<br>あなたがたは皆かがんでほふられる。<br>あなたがたはわたしが呼んだときに答えず、<br>わたしが語ったときに聞かず、<br>わたしの目に悪い事をおこない、<br>わたしの好まなかった事を選んだからだ」。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>65:13</em>それゆえ、主なる神はこう言われる、<br>「見よ、わがしもべたちは食べる、<br>しかし、あなたがたは飢える。<br>見よ、わがしもべたちは飲む、<br>しかし、あなたがたはかわく。<br>見よ、わがしもべたちは喜ぶ、<br>しかし、あなたがたは恥じる。<br>
<em>65:14</em>見よ、わがしもべたちは心の楽しみによって歌う、<br>しかし、あなたがたは心の苦しみによって叫び、<br>たましいの悩みによって泣き叫ぶ。<br>
<em>65:15</em>あなたがたの残す名は<br>わが選んだ者には、のろいの文句となり、<br>主なる神はあなたがたを殺される。<br>しかし、おのれのしもべたちを、<br>ほかの名をもって呼ばれる。<br>
<em>65:16</em>それゆえ、地にあって<br>おのれのために祝福を求める者は、<br>真実の神によっておのれの祝福を求め、<br>地にあって誓う者は、真実の神をさして誓う。<br>さきの悩みは忘れられて、とわが目から隠れうせるからである。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>65:17</em>見よ、わたしは新しい天と、新しい地とを創造する。<br>さきの事はおぼえられることなく、<br>心に思い起すことはない。<br>
<em>65:18</em>しかし、あなたがたはわたしの創造するものにより、<br>とこしえに楽しみ、喜びを得よ。<br>見よ、わたしはエルサレムを造って喜びとし、<br>その民を楽しみとする。<br>
<em>65:19</em>わたしはエルサレムを喜び、わが民を楽しむ。<br>泣く声と叫ぶ声は再びその中に聞えることはない。<br>
<em>65:20</em>わずか数日で死ぬみどりごと、<br>おのが命の日を満たさない老人とは、<br>もはやその中にいない。<br>百歳で死ぬ者も、なお若い者とせられ、<br>百歳で死ぬ者は、のろわれた罪びととされる。<br>
<em>65:21</em>彼らは家を建てて、それに住み、<br>ぶどう畑を作って、その実を食べる。<br>
<em>65:22</em>彼らが建てる所に、ほかの人は住まず、<br>彼らが植えるものは、ほかの人が食べない。<br>わが民の命は、木の命のようになり、<br>わが選んだ者は、<br>その手のわざをながく楽しむからである。<br>
<em>65:23</em>彼らの勤労はむだでなく、<br>その生むところの子らは災にかからない。<br>彼らは主に祝福された者のすえであって、<br>その子らも彼らと共におるからである。<br>
<em>65:24</em>彼らが呼ばないさきに、わたしは答え、<br>彼らがなお語っているときに、わたしは聞く。<br>
<em>65:25</em>おおかみと小羊とは共に食らい、<br>ししは牛のようにわらを食らい、<br>へびはちりを食物とする。<br>彼らはわが聖なる山のどこでもそこなうことなく、<br>やぶることはない」と主は言われる。</div>
</div>
</div>
<div class="chapter" id="66">
<h3 class="chapter">第66章</h3>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>66:1</em>主はこう言われる、<br>「天はわが位、地はわが足台である。<br>あなたがたはわたしのためにどんな家を建てようとするのか。<br>またどんな所がわが休み所となるのか」。<br>
<em>66:2</em>主は言われる、<br>「わが手はすべてこれらの物を造った。<br>これらの物はことごとくわたしのものである。<br>しかし、わたしが顧みる人はこれである。<br>すなわち、へりくだって心悔い、<br>わが言葉に恐れおののく者である。<br>
<em>66:3</em>牛をほふる者は、また人を殺す者、<br>小羊を犠牲とする者は、また犬をくびり殺す者、<br>供え物をささげる者は、また豚の血をささげる者、<br>乳香を記念としてささげる者は、<br>また偶像をほめる者である。<br>これはおのが道を選び、<br>その心は憎むべきものを楽しむ。<br>
<em>66:4</em>わたしもまた彼らのために悩みを選び、<br>彼らの恐れるところのものを彼らに臨ませる。<br>これは、わたしが呼んだときに答える者なく、<br>わたしが語ったときに聞くことをせず、<br>わたしの目に悪い事を行い、<br>わたしの好まなかった事を選んだからである」。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>66:5</em>あなたがた、主の言葉に恐れおののく者よ、<br>主の言葉を聞け、<br>「あなたがたの兄弟たちはあなたがたを憎み、<br>あなたがたをわが名のために追い出して言った、<br>『願わくは主がその栄光をあらわして<br>われわれにあなたがたの喜びを見させよ』と。<br>しかし彼らは恥を受ける。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>66:6</em>聞けよ、町から起る騒ぎを。<br>宮から聞える声を。<br>主がその敵に報復される声を。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>66:7</em>シオンは産みの苦しみをなす前に産み、<br>その苦しみの来ない前に男子を産んだ。<br>
<em>66:8</em>だれがこのような事を聞いたか、<br>だれがこのような事どもを見たか。<br>一つの国は一日の苦しみで生れるだろうか。<br>一つの国民はひと時に生れるだろうか。<br>しかし、シオンは産みの苦しみをするやいなや<br>その子らを産んだ。<br>
<em>66:9</em>わたしが出産に臨ませて<br>産ませないことがあろうか」と<br>主は言われる。<br>「わたしは産ませる者なのに<br>胎をとざすであろうか」と<br>あなたの神は言われる。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>66:10</em>「すべてエルサレムを愛する者よ、<br>彼女と共に喜べ、彼女のゆえに楽しめ。<br>すべて彼女のために悲しむ者よ、<br>彼女と共に喜び楽しめ。<br>
<em>66:11</em>あなたがたは慰めを与えるエルサレムの乳ぶさから<br>乳を吸って飽くことができ、<br>またその豊かな栄えから<br>飲んで楽しむことができるからだ」。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>66:12</em>主はこう言われる、<br>「見よ、わたしは川のように彼女に繁栄を与え、<br>みなぎる流れのように、もろもろの国の富を与える。<br>あなたがたは乳を飲み、腰に負われ、<br>ひざの上であやされる。<br>
<em>66:13</em>母のその子を慰めるように、<br>わたしもあなたがたを慰める。<br>あなたがたはエルサレムで慰めを得る。<br>
<em>66:14</em>あなたがたは見て、心喜び、<br>あなたがたの骨は若草のように栄える。<br>主の手はそのしもべらと共にあり、<br>その憤りはその敵にむかっていることを知る。</div>
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>66:15</em>見よ、主は火の中にあらわれて来られる。<br>その車はつむじ風のようだ。<br>激しい怒りをもってその憤りをもらし、<br>火の炎をもって責められる。<br>
<em>66:16</em>主は火をもって、またつるぎをもって、<br>すべての人にさばきを行われる。<br>主に殺される者は多い」。</div>
</div>
<div class="para">
<em>66:17</em>「みずからを聖別し、みずからを清めて園に行き、その中にあるものに従い、豚の肉、憎むべき物およびねずみを食う者はみな共に絶えうせる」と主は言われる。
</div>
<div class="para">
<em>66:18</em>「わたしは彼らのわざと、彼らの思いとを知っている。わたしは来て、すべての国民と、もろもろのやからとを集める。彼らは来て、わが栄光を見る。
<em>66:19</em>わたしは彼らの中に一つのしるしを立てて、のがれた者をもろもろの国、すなわちタルシシ、よく弓をひくプトおよびルデ、トバル、ヤワン、またわが名声を聞かず、わが栄光を見ない遠くの海沿いの国々につかわす。彼らはわが栄光をもろもろの国民の中に伝える。
<em>66:20</em>彼らはイスラエルの子らが清い器に供え物を盛って主の宮に携えて来るように、あなたがたの兄弟をことごとくもろもろの国の中から馬、車、かご、騾馬、らくだに乗せて、わが聖なる山エルサレムにこさせ、主の供え物とする」と主は言われる。
<em>66:21</em>「わたしはまた彼らの中から人を選んで祭司とし、レビびととする」と主は言われる。
</div>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>66:22</em>「わたしが造ろうとする新しい天と、新しい地が<br>わたしの前にながくとどまるように、<br>あなたの子孫と、あなたの名は<br>ながくとどまる」と主は言われる。<br>
<em>66:23</em>「新月ごとに、安息日ごとに、<br>すべての人はわが前に来て礼拝する」と<br>主は言われる。</div>
</div>
<div class="para">
<em>66:24</em>「彼らは出て、わたしにそむいた人々のしかばねを見る。そのうじは死なず、その火は消えることがない。彼らはすべての人に忌みきらわれる」。
</div>
</div>