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<h2>ヨエル書</h2>
<div class="chapter" id="1">
<h3 class="chapter">第1章</h3>
<div class="para">
<em>1:1</em>ペトエルの子ヨエルに臨んだ主の言葉。
<div class="quote">
<em>1:2</em>老人たちよ、これを聞け。<br>すべてこの地に住む者よ、<br>耳を傾けよ。<br>あなたがたの世、またはあなたがたの先祖の世に<br>このような事があったか。<br>
<em>1:3</em>これをあなたがたの子たちに語り、<br>子たちはまたその子たちに語り、<br>その子たちはまたこれを後の代に語り伝えよ。</div>
<div class="quote">
<em>1:4</em>かみ食らういなごの残したものは、<br>群がるいなごがこれを食い、<br>群がるいなごの残したものは、<br>とびいなごがこれを食い、<br>とびいなごの残したものは、滅ぼすいなごがこれを食った。<br>
<em>1:5</em>酔える者よ、目をさまして泣け。<br>すべて酒を飲む者よ、<br>うまい酒のゆえに泣き叫べ。<br>うまい酒はあなたがたの口から断たれるからだ。</div>
<div class="quote">
<em>1:6</em>一つの国民がわたしの国に攻めのぼってきた。<br>その勢いは強く、その数は計られず、<br>その歯はししの歯のようで、<br>雌じしのきばをもっている。<br>
<em>1:7</em>彼らはわがぶどうの木を荒し、<br>わがいちじくの木を折り、<br>その皮をはだかにして捨てた。<br>その枝は白くなった。</div>
<div class="quote">
<em>1:8</em>あなたがたは若い時の夫のために<br>荒布を腰にまとったおとめのように泣き悲しめ。<br>
<em>1:9</em>素祭と灌祭とは主の家に絶え、<br>主に仕える祭司たちは嘆き悲しむ。<br>
<em>1:10</em>畑は荒れ、地は悲しむ。<br>これは穀物が荒れはて、<br>新しい酒は尽き、油も絶えるためである。<br>
<em>1:11</em>小麦および大麦のために、<br>農夫たちよ、恥じよ、<br>ぶどう作りたちよ、泣け。<br>畑の収穫がうせ去ったからである。<br>
<em>1:12</em>ぶどうの木は枯れ、いちじくの木はしおれ、<br>ざくろ、やし、りんご、野のすべての木はしぼんだ。<br>それゆえ楽しみは人の子らからかれうせた。</div>
<div class="quote">
<em>1:13</em>祭司たちよ、荒布を腰にまとい、泣き悲しめ。<br>祭壇に仕える者たちよ、泣け。<br>神に仕える者たちよ、<br>来て、荒布をまとい、夜を過ごせ。<br>素祭も灌祭も<br>あなたがたの神の家から退けられたからである。</div>
<div class="quote">
<em>1:14</em>あなたがたは断食を聖別し、<br>聖会を召集し、長老たちを集め、<br>国の民をことごとくあなたがたの神、主の家に集め、<br>主に向かって叫べ。</div>
<div class="quote">
<em>1:15</em>ああ、その日はわざわいだ。<br>主の日は近く、<br>全能者からの滅びのように来るからである。<br>
<em>1:16</em>われわれの目の前に食物は絶え、<br>われわれの神の家から<br>喜びと楽しみが絶えたではないか。</div>
<div class="quote">
<em>1:17</em>種は土の下に朽ち、倉は荒れ、<br>穀物がつきたので、穀倉はこわされる。<br>
<em>1:18</em>いかに家畜はうめき鳴くか。<br>牛の群れはさまよう。<br>彼らには牧草がないからだ。<br>羊の群れも滅びうせる。</div>
<div class="quote">
<em>1:19</em>主よ、わたしはあなたに向かって呼ばわる。<br>火が荒野の牧草を焼き滅ぼし、<br>炎が野のすべての木を焼き尽したからである。<br>
<em>1:20</em>野の獣もまたあなたに向かって呼ばわる。<br>水の流れがかれはて、<br>火が荒野の牧草を焼き滅ぼしたからである</div>
</div>
</div>
<div class="chapter" id="2">
<h3 class="chapter">第2章</h3>
<div class="para">
<div class="quote">
<em>2:1</em>あなたがたはシオンでラッパを吹け。<br>わが聖なる山で警報を吹きならせ。<br>国の民はみな、ふるいわななけ。<br>主の日が来るからである。<br>それは近い。<br>
<em>2:2</em>これは暗く、薄暗い日、<br>雲の群がるまっくらな日である。<br>多くの強い民が<br>暗やみのようにもろもろの山をおおう。<br>このようなことは昔からあったことがなく、<br>後の代々の年にも再び起ることがないであろう。</div>
<div class="quote">
<em>2:3</em>火は彼らの前を焼き、炎は彼らの後に燃える。<br>彼らのこない前には、<br>地はエデンの園のようであるが、<br>その去った後は荒れ果てた野のようになる。<br>これをのがれうるものは一つもない。</div>
<div class="quote">
<em>2:4</em>そのかたちは馬のかたちのようであり、<br>その走ることは軍馬のようである。<br>
<em>2:5</em>山の頂でとびおどる音は、<br>戦車のとどろくようである。<br>また刈り株を焼く火の炎の音のようであり、<br>戦いの備えをした強い軍隊のようである。<br>
<em>2:6</em>その前にもろもろの民はなやみ、<br>すべての顔は色を失う。<br>
<em>2:7</em>彼らは勇士のように走り、<br>兵士のように城壁によじ登る。<br>彼らはおのおの自分の道を進んで行って、<br>その道を踏みはずさない。<br>
<em>2:8</em>彼らは互におしあわず、おのおのその道を進み行く。<br>彼らは武器の中にとびこんでも、身をそこなわない。<br>
<em>2:9</em>彼らは町にとび入り、城壁の上を走り、<br>家々によじ登り、盗びとのように窓からはいる。</div>
<div class="quote">
<em>2:10</em>地は彼らの前におののき、天はふるい、<br>日も月も暗くなり、星はその光を失う。<br>
<em>2:11</em>主はその軍勢の前で声をあげられる。<br>その軍隊は非常に多いからである。<br>そのみ言葉をなし遂げる者は強い。<br>主の日は大いにして、はなはだ恐ろしいゆえ、<br>だれがこれに耐えることができよう。</div>
<div class="quote">
<em>2:12</em>主は言われる、<br>「今からでも、あなたがたは心をつくし、<br>断食と嘆きと、悲しみとをもってわたしに帰れ。<br>
<em>2:13</em>あなたがたは衣服ではなく、心を裂け」。<br>あなたがたの神、主に帰れ。<br>主は恵みあり、あわれみあり、<br>怒ることがおそく、いつくしみが豊かで、<br>災を思いかえされるからである。<br>
<em>2:14</em>神があるいは立ち返り、<br>思いかえして祝福をその後に残し、<br>素祭と灌祭とを<br>あなたがたの神、主にささげさせられる事はないと<br>だれが知るだろうか。</div>
<div class="quote">
<em>2:15</em>シオンでラッパを吹きならせ。<br>断食を聖別し、聖会を召集し、<br>
<em>2:16</em>民を集め、会衆を聖別し、<br>老人たちを集め、幼な子、乳のみ子を集め、<br>花婿をその家から呼びだし、<br>花嫁をそのへやから呼びだせ。<br>
<em>2:17</em>主に仕える祭司たちは、<br>廊と祭壇との間で泣いて言え、<br>「主よ、あなたの民をゆるし、<br>あなたの嗣業をもろもろの国民のうちに、<br>そしりと笑い草にさせないでください。<br>どうしてもろもろの国民に、<br>『彼らの神はどこにいるのか』と<br>言わせてよいでしょうか」。</div>
<div class="quote">
<em>2:18</em>その時主は自分の地のために、ねたみを起し、<br>その民をあわれまれた。<br>
<em>2:19</em>主は答えて、その民に言われた、<br>「見よ、わたしは穀物と新しい酒と油とを<br>あなたがたに送る。<br>あなたがたはこれを食べて飽きるであろう。<br>わたしは重ねてあなたがたに<br>もろもろの国民のうちでそしりを受けさせない。</div>
<div class="quote">
<em>2:20</em>わたしは北から来る者をあなたがたから遠ざけ、<br>これをかわいた荒れ地に追いやり、<br>その前の者を東の海に、<br>その後の者を西の海に追いやる。<br>その臭いにおいは起り、その悪しきにおいは上る。<br>これは大いなる事をしたからである。<br>
<em>2:21</em>地よ恐るな、喜び楽しめ、<br>主は大いなる事を行われたからである。<br>
<em>2:22</em>野のもろもろの獣よ、恐るな。<br>荒野の牧草はもえいで、木はその実を結び、<br>いちじくの木とぶどうの木とは豊かに実る。</div>
<div class="quote">
<em>2:23</em>シオンの子らよ、<br>あなたがたの神、主によって喜び楽しめ。<br>主はあなたがたを義とするために秋の雨を賜い、<br>またあなたがたのために豊かに雨を降らせ、<br>前のように、秋の雨と春の雨とを降らせられる。</div>
<div class="quote">
<em>2:24</em>打ち場は穀物で満ち、<br>石がめは新しい酒と油とであふれる。<br>
<em>2:25</em>わたしがあなたがたに送った大軍、<br>すなわち群がるいなご、とびいなご、<br>滅ぼすいなご、かみ食らういなごの食った年をわたしはあなたがたに償う。</div>
<div class="quote">
<em>2:26</em>あなたがたは、じゅうぶん食べて飽き、<br>あなたがたに不思議なわざをなされた<br>あなたがたの神、主のみ名をほめたたえる。<br>わが民は永遠にはずかしめられることがない。
<em>2:27</em>あなたがたはイスラエルのうちに<br>わたしのいることを知り、<br>主なるわたしがあなたがたの神であって、<br>ほかにないことを知る。<br>わが民は永遠にはずかしめられることがない。</div>
<div class="quote">
<em>2:28</em>その後わたしはわが霊を<br>すべての肉なる者に注ぐ。<br>あなたがたのむすこ、娘は預言をし、<br>あなたがたの老人たちは夢を見、<br>あなたがたの若者たちは幻を見る。<br>
<em>2:29</em>その日わたしはまた<br>わが霊をしもべ、はしために注ぐ。</div>
<em>2:30</em>わたしはまた、天と地とにしるしを示す。すなわち血と、火と、煙の柱とがあるであろう。
<em>2:31</em>主の大いなる恐るべき日が来る前に、日は暗く、月は血に変る。
<em>2:32</em>すべて主の名を呼ぶ者は救われる。それは主が言われたように、シオンの山とエルサレムとに、のがれる者があるからである。その残った者のうちに、主のお召しになる者がある。
</div>
</div>
<div class="chapter" id="3">
<h3 class="chapter">第3章</h3>
<div class="para">
<em>3:1</em>見よ、わたしがユダとエルサレムとの幸福をもとに返すその日、その時、
<em>3:2</em>わたしは万国の民を集めて、これをヨシャパテの谷に携えくだり、その所でわが民、わが嗣業であるイスラエルのために彼らをさばく。彼らがわが民を諸国民のうちに散らして、わたしの地を分かち取ったからである。
<em>3:3</em>彼らはわが民をくじ引きにし、遊女のために少年をわたし、酒のために少女を売って飲んだ。
</div>
<div class="para">
<em>3:4</em>ツロとシドンよ、ペリシテのすべての地方よ、おまえたちは、わたしとなんのかかわりがあるか。おまえたちはわたしに報復をしようとするのか。もしおまえたちがわたしに報復しようとするなら、わたしは時をうつさず、すみやかに、おまえたちのおこないの報復をおまえたちの頭上にこさせる。
<em>3:5</em>これはおまえたちがわたしの銀と金とをとり、わたしの貴重な宝をおまえたちの宮に携え行き、
<em>3:6</em>またユダの人々とエルサレムの人々とをギリシヤびとに売って、その本国から遠く離れさせたからである。
<em>3:7</em>見よ、わたしはおまえたちが売ったその所から彼らを起して、おまえたちのおこないの報復をおまえたちの頭上にこさせる。
<em>3:8</em>わたしはおまえたちのむすこ娘たちをユダの人々の手に売る。彼らはこれを遠い国びとであるシバびとに売ると、主は言われる」。
<div class="quote">
<em>3:9</em>もろもろの国民の中に宣べ伝えよ。<br>戦いの備えをなし、<br>勇士をふるい立たせ、<br>兵士をことごとく近づかせ、のぼらせよ。<br>
<em>3:10</em>あなたがたのすきを、つるぎに、<br>あなたがたのかまを、やりに打ちかえよ。<br>弱い者に「わたしは勇士である」と言わせよ。</div>
<div class="quote">
<em>3:11</em>周囲のすべての国民よ、<br>急ぎ来て、集まれ。<br>主よ、あなたの勇士をかしこにお下しください。<br>
<em>3:12</em>もろもろの国民をふるい立たせ、<br>ヨシャパテの谷にのぼらせよ。<br>わたしはそこに座して、<br>周囲のすべての国民をさばく。</div>
<div class="quote">
<em>3:13</em>かまを入れよ、作物は熟した。<br>来て踏め、<br>酒ぶねは満ち、石がめはあふれている。<br>彼らの悪が大きいからだ。</div>
<div class="quote">
<em>3:14</em>群衆また群衆は、さばきの谷におる。<br>主の日がさばきの谷に近いからである。<br>
<em>3:15</em>日も月も暗くなり、星もその光を失う。</div>
<div class="quote">
<em>3:16</em>主はシオンから大声で叫び、<br>エルサレムから声を出される。<br>天も地もふるい動く。<br>しかし主はその民の避け所、<br>イスラエルの人々のとりでである。</div>
<div class="quote">
<em>3:17</em>「そこであなたがたは知るであろう、<br>わたしはあなたがたの神、主であって、<br>わが聖なる山シオンに住むことを。<br>エルサレムは聖所となり、<br>他国人は重ねてその中を通ることがない。</div>
<div class="quote">
<em>3:18</em>その日もろもろの山にうまい酒がしたたり、<br>もろもろの丘は乳を流し、<br>ユダのすべての川は水を流す。<br>泉は主の家から出て、<br>シッテムの谷を潤す。</div>
<div class="quote">
<em>3:19</em>エジプトは荒れ地となり、エドムは荒野となる。<br>彼らはその国でユダの人々をしえたげ、<br>罪なき者の血を流したからである。<br>
<em>3:20</em>しかしユダは永遠に人の住む所となり、<br>エルサレムは世々に保つ。<br>
<em>3:21</em>わたしは彼らに血の報復をなし、<br>とがある者をゆるさない。<br>主はシオンに住まわれる」。</div>
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